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主に映画の感想文を書いています

ソフィーの選択(1982)

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大統領の陰謀(1976)」のアラン・J・パクラ監督作品(だったんですね、知らずに観ていた)。主演はメリル・ストリープ、他。

この作品を知ったのはつい最近、「午前十時の映画祭」に取り上げられていたことから。ホロコースト絡みの重い内容と思われたので気が進まず、上映期間中に観ることはありませんでした。

しかし先日、同じくホロコースト題材の「サウルの息子(2015)」を観たことで心変わりして鑑賞。いやーでもこれ、映画館では観なくて正解だったかも。ものすごく消耗する作品です。「RENT/レント(2005)」あたりに通じる雰囲気も感じました。

第二次世界大戦直後の1947年アメリカ。作家志望の青年スティンゴが、南部からブルックリンへと越してきます。いかにも物語が始まりそうなアパートに部屋を借り、そこで一組のカップル<ソフィーとネイサン>に出会います。3人は超絶仲良しな親友となるのですが、スティンゴは彼らが時折見せる闇や情緒の波に引っかかりを感じていました。

語り部スティンゴが物語をナビゲートしていくなかで、その真相は少しずつ明らかになっていきます。そして最終的に、タイトルである「ソフィーの選択」へと辿り着きます。

ソフィーの選択とは

「午前十時の映画祭」公式プログラムの解説文を読むと、肝心の部分は全て『選択』という単語に置き換えられていました。なるほどネタバレ厳禁系なのね、と把握。

一見しっとり系の映画っぽいのに意外や意外、この作品のウリは「衝撃の展開」だと思います。ファーストインパクト勝負型の映画です。2回目以降の鑑賞では大きく感想が変わるだろう、という評を見て確かにそうかもしれないなあと。初見の衝撃を大切にしまっておくタイプの名作なのかもしれないです。

ちなみにわたしは『選択』のシーンを少し通り過ぎたところで「今のがそうか!!!」と振り返るかたちになりました。

ホロコースト描写

『選択』に大きく絡むホロコーストについては回想として出てくるのみですが、「サウルの息子」や関連書籍等で少し知識を入れてはいたので状況の理解がスムーズでした。時代設定および袖の陰から見える烙印だけで、ああこの人にはとてつもなく重たい「過去」があるんだと察せてしまう演出の巧さ。またそれが同時にミスリードにもなっていくので、なおのこと巧み。

アウシュビッツのシーンでは、ドイツ将校の居住区が主な舞台となります。見たことのない視点です。とてもあの黒煙巻き上がる地獄と同じ敷地内にあるとは思えない日常的な空間が奇妙でした。

演技に圧倒される映画

DV彼氏ネイサンと、彼に依存しまくっている彼女ソフィーと、そんな二人とどうにかうまく付き合おうとする語り部スティンゴ。基本的にこの3人の物語なので、役者それぞれの演技が際立ちます。

スティンゴを演じるピーター・マクニコルは引き立て役として最良の演技でした。ラスト、帰ってきたシーンの表情もすごかった。

ソフィー曰く「普段は優しいのよ」なネイサンにDVスイッチが入った様は本当にリアル。演じるケヴィン・クラインはこれが映画初出演というのが驚きですが、その前に舞台役者としてのキャリアがあるようなので納得の演技力です。ソフィーとの出会いのシーンで長ネギを鍋に投げ入れるエンターティナーっぷりが一番印象的(笑)

そしてやはりソフィー、メリル・ストリープ。キャリア初期の彼女は、彫刻のような顔立ちが唯一無二という感じですね。これと同時に「マンハッタン(1979)」を借りていて、偶然そちらにも同時期のメリル・ストリープが出ています。ソフィーの薄幸さとは対極の攻撃的なキャラクターで、キャリア初期でこの幅広さはすごいなと思いました。「マンマ・ミーア!(2008)」以降の彼女しか知らなかったので若い頃の作品をもっと観てみたいです。

橋!

「マンハッタン」との共通点がもうひとつあって、それはニューヨークの橋! あちらはクイーンズボロ橋が印象的に登場する作品なのですが、こちらはブルックリン橋がかなり印象的に出てきます。

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めちゃくちゃ幻想的

「マンハッタン」や「スパイダーマン」シリーズのクイーンズボロ橋、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のマンハッタン橋、「サタデー・ナイト・フィーバー」のヴェラザノ・ナローズ橋などなど、ニューヨークの橋を印象的に登場させた映画っていろいろあると思うのですが、ブルックリン橋をここまでフィーチャーしてくれた映画は初めて観たので嬉しかったです。

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ニューヨークのランドマークではやっぱり橋が一番好きでございます。

なんか書きたいことが多くて数週間放置してましたが、それだけ見所たくさんの作品ということで! おすすめです。

(2019年50本目)