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主に映画の感想文を書いています

映画「21ブリッジ(2019)」感想|求めていた橋は供給されなかった

映画「21ブリッジ」ポスター現在公開中の映画『21ブリッジ』を観てきました。昨年早世したチャドウィック・ボーズマンの、劇場映画としては遺作になるんでしょうか。

犯人を捕まえるためマンハッタン島に架かる21の橋を全て封鎖する!という掴みが最高にキャッチーで、ニューヨークの橋好きとして*1かなり期待値を上げていた本作。仮にお話が凡庸だったとしても「橋要素」だけで人の数倍は楽しめるじゃろと踏んでいました。

が、結論。橋要素、全然ないでやんの。

あのー、決してチャドウィック・ボーズマンの遺作を悪く言いたいわけではないが、これタイトル詐欺ではないか? 『21ブリッジ』なんてタイトルにする必要があったのか? 橋がモブだったのだが? ※ここから先すみません、橋過激派として文句を垂れます。ネタバレもしてます。*2

とりあえず冒頭、マンハッタンの空撮でニューヨークに恋い焦がれた直後、あまりの治安に戦慄。え、めっちゃ人死ぬやん。こんなバイオレンスなガンアクション映画だったんかい。まあそれはそれでいいけど。音響も妙にいいし。腹にズドンとくるし。

さて、ブルックリン橋をマンハッタン側に渡っていく強盗たちが映し出され、いよいよ舞台はマンハッタンへ。そしてチャドウィック・ボーズマンが「マンハッタン完全封鎖」を発案。よしきた! しかし深夜1時台から早朝5時までとの時間制限がつく。ってことはほぼ夜か。暗いじゃん。橋よく見えないじゃん。ごまかす気満々じゃん。早くも嫌な予感がしてきた。

案の定、橋たちのディテールはほぼ描かれることなく、むしろ「21ブリッジ」案件自体ここでフェードアウト。おいおいおい。ちょっとちょっとちょっと。犯人のプロフィールとかどうでもいいから橋×21のプロフィールを見せてよ。橋を!!見せなさいよ!!(扉を叩きながら号泣)

そうこうしている間に犯人は死ぬし陰謀が暴かれるし逃走犯たったひとりにNYPD苦戦しすぎだしJ・K・シモンズはやっぱり悪い奴だったし辞世のパスワードよくそんなんで伝わったなって感じだしであたしの橋は……あたしの橋はどうしたのよ……とコーラの残りをすすりながら無心でエンドロール眺めていました。冷凍肉ぶら下がりまくりのシーンはよかったです。

違うタイトルで出会えていたら、あたしたちうまくいったかもしれないね。

(2021年64本目/劇場鑑賞)

今年の映画館30本目。

ニューヨークの橋を供給されたいあなたへ

求めていたものが供給されなかったあなたへ。わたしが昨年夢中になったハードコア橋映画『マザーレス・ブルックリン』をおすすめしておきます。

*1:「ニューヨーク 橋」とかで検索かけていただければわたしの橋好きっぷりがうかがえると思います。

*2:ちなみに原題も『21 Bridges』なので邦題のせいではありません。