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主に映画の感想文を書いています

三度目の「カメラを止めるな!」

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去年いちばん「アンテナ張っててよかった」と思った作品「カメラを止めるな!」。


まだ都内数館での上映だった7月中旬に、満席御礼&立ち見座り見な渋谷のミニシアターで衝撃の初鑑賞。そこからあれよあれよと展開が広がり、一ヶ月後には最寄りの過疎気味なTOHOシネマズでもぷらっと見れるほどに。

とんでもなく面白かったし全人類に観て欲しかったけど、まさかここまで文字通りの「大ヒット」になるとは全く思っていなかったので、当時なんとも複雑なファン心理でした。ちょっと気持ちが遠のいちゃったのは事実です。

そんなところで、2019年3月8日。ついにここまで来たか…! 「金曜ロードショー」で放送されました。

これがねえ。遠のいていた気持ちが一気に引き戻されたといいますか。やっぱりめちゃくちゃ面白かった。そりゃそうだ、当時あんだけ興奮してたんですから。

でも正直、テレビで観てこんなに楽しめる作品だとは思っていなくて(当時の記事でも書いていますが、完全に劇場体験型の作品だと思っていて)。いやはや、テレビでもこんなに楽しめる作品だったとは。作品の魅力をいまひとつ信じきれていなかった自分が恥ずかしい。

今回は生放送で副音声を付けてくれるという企画がありましてそっちで観たんですけど、そもそもこの映画って「副音声的な楽しさがウリ」な作品なんですよね。裏側を見て楽しむという。元から三層の構成になっているわけですよ。

そこにプラスして四層目、厳密に言えば三層目を拡大したかたちでの副音声が付くことによる、面白さの損なわれなさがすごい。ていうかより面白くなっている*1。この副音声をもって完成する作品なのでは、とすら感じました。副音声との親和性が異常。

これってもしかすると初鑑賞のミニシアターで涙が出るほど笑いながら観たあの体験とも似てるのかもしれません。静かに観る映画じゃないのかも。そういう意味では、ヘタにそのへんの大きな映画館で「上映中はお静かに」を守りながら観るよりは、家のテレビでげらげら観るほうがよっぽどいいのかも。テレビ向き映画だった可能性、大。

今回の放送にあたって、日テレさんかなり頑張ってくれていました。まず冒頭37分ノーカットは本当にCMなしのノーカット! そのあとも劇中のシーンとシンクロした粋なCM入り、そしてもちろんエンドロールまでしっかり放送。ありがとう日テレさん…。

冒頭37分で離脱されてしまうかもというテレビ的懸念に関してもかなりしつこく入念に「そのあとから面白くなるんで!」「言っちゃえば冒頭37分はつまんないんで!」「チャンネルはそのまま!」のアナウンス(笑) いやでも、テレビならあれくらいやらないとですね。どう考えても初見なら最初のエンドロールで消しますもん。いいネタバレだと思います。

初見の人たちの反応が心配でしたが、ざっとツイッターを見回した限り、日テレさんのそんな配慮が功を奏したような感触でした。これから毎年放送するような定番映画になってくれるかもしれませんね。バルス的要素もたっぷりありますしね。「春のポン!祭り」を恒例にしちゃえばいい。

というわけで、去年の7月に受けた衝撃が単にミニシアターの熱気だけではなく、作品自体の奇跡的な魅力だったということを遅ればせながら確認できて、とても嬉しい気持ちになる「金ロー」でした。心を込めてもう一度。「カメラを止めるな!」は楽しい映画です!

(2019年28本目)

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*1:副音声の内容がめちゃくちゃ面白いからというのも当然ありますが。これ以降のBDには金ロー版コメンタリーも収録してくれないかしら(笑)