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主に映画の感想文を書いています

いそしぎ(1965)|知らぬが名画

ジャズのスタンダードなんかにもなっていて有名な曲「いそしぎ」。元々はこの同名映画の曲ですが、曲の知名度に対してあまりにも映像ソフトが流通していない作品でございます。どれくらい流通していないかというと、TSUTAYAの在庫検索結果が「渋谷店にVHS有。以上」っていう、そのレベル。平成も終わろうとしているのにVHSて。

わたし吹奏楽をやっておりまして近々演奏会で「いそしぎ」を取り上げるのですけども、真面目なオタクとしてはやはり観ておきたいなと。で、まあ一応DVDは出てるので買えば観れます。ただし65年の映画にしてはいっちょまえに高いです。んーしかしまあ、悔いの残らないように生きたいので買うことにしました。買いました。観ました。

いそしぎ [DVD]

いそしぎ [DVD]

そんな特別ツボでもないメロドラマなんだろうなという予想はしてたんですが、思った以上になかなかアレな映画でした。思い入れのある方は読まれないほうがよろしいかと(笑)

概要

自然派シングルマザーの画家と妻子持ちの牧師が不倫して奥さんかわいそうな話。

なんていうか

ただの不倫映画やないかーい!って感じで、いやそりゃただの不倫映画なんて世に溢れてはいるんでしょうけどひときわイラつくといいますか(笑) ソフトが流通しないのも納得な気がしちゃいました。これは音楽だけ一人歩きさせるのが吉かも。

冒頭の掴みは悪くございません。のっけから「いそしぎ」が聴けるし、海が綺麗だなあとか、この鉄橋が大事な役割を果たすんだろうなあとか、潮風吹くテラスにピアノ置いてある家すごいなあとか(これは冷笑)、いろいろ期待できるんです。

で、エリザベス・テイラー演じるシングルマザーの溺愛する息子がミッションスクールに強制転入させられちゃうところからの、ステレオタイプだと思ってた校長がじつは結構な理解者で、徐々に心が雪解けしていき、みたいな感じかなと思ったんですよ。だのに、ただの不倫映画やないかーい!(再)

これ、リチャード・バートン演じる校長(かつ牧師)が妻帯者である必要あったんですかね。聖職者ってだけじゃだめだったんですかね。まあ不倫映画作ろうとしてんだからだめか。だったらせめて嫌気のさすような恐妻設定にでもしといてくれないと、あんまりにも奥さんかわいそうで。教会のシーンとかどう考えても改心するところでしょ。あのシーンを経て「罪の意識が消える」とか、い、意味がわからない…!

身も蓋もないこと言うと、エリザベス・テイラーが全然タイプじゃないです。ええ、すんません。内容がアレでも、例えば同時期の「パリの恋人」だったらヘプバーンかわいい!!!!!っていうそれだけで作品の価値があるわけですよ。生憎このエリザベス・テイラーさんはどうにもただのお色気ムッチリ熟女さんでわたしの好みじゃないゆえ加点できなくてですね。だから彼女のビジュアルがストライクな人であればそれなりに楽しめるんじゃないかと。

f:id:threefivethree:20190124231735p:plain ただの熟女モノやないかーい。

逆に、リチャード・バートンがめちゃくちゃかっこいいんですよ(上のスウェット姿は除く)。多分初めて拝見したんですけど、007出ててほしいなっていう、ボンド的イケオジなんですよ。ルックスもキャラクターも超魅力的なだけに、突然「あなたが欲しい」とか血迷ったことを言い出して「は?!」ですよ。ほんともう、この映画をざっくり言うなら「は?!」です、はい。

ちなみにエリザベス・テイラーリチャード・バートンは実際に結婚していた時期があって、それも不倫からの結婚だったそうで(本作出演時も夫婦)。ついでにエリザベス・テイラーは7人と結婚&離婚を繰り返していたという。すごい重なるものがありますね、っていうか思いっきり重ねてるんでしょうかね。エリザベス・テイラーWikipediaジュディ・ガーランドマリリン・モンローと張り合えるくらい読み応えがあっておもしろかったのでおすすめです。特に葬式のところ。

唯一「あ、ちょっといいな」と思ったのはラストシーン、これまで絵に描いてこなかった「人間」を描いてる!っていうところが、グッときちゃいました。まあその動機付けの部分が明らかに足りてない感はあるので表面上グッときちゃっただけなんですが。中身が伴っていたら、ボロ泣きのラストシーンかもしれません。

てなわけで、うわ〜〜〜って映画ほど筆が進むというやつでございました。高い勉強代だったけど印象には残る作品だったのでよかったです。以上です。

(2019年7本目)

いそしぎ [DVD]

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なんでもあるTSUTAYA DISCASにすらありません。絶望的名作!