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主に映画の感想文を書いています

映画「透明人間(2020)」雑感

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エリザベス・モス主演、『ソウ』シリーズのリー・ワネル監督作『透明人間』を劇場で観てきました。ちなみに洋画で2020年本国公開の作品を観たのは、なんと今年初です! 直接的なネタバレは避けていますが、鑑賞前に読むとある程度の楽しみを削ぐことにはなると思うのでご注意くださいね。

あらすじ

男の束縛から逃げたい一心でセキュリティ完備な大豪邸を抜け出したセシリア(エリザベス・モス)。友人に匿ってもらうも恐怖心でいっぱいの日々を過ごしていたが、彼が自殺したと聞き次第に平穏を取り戻していく。しかしその一方で、死んだはずの彼にすぐそばから監視されているような感覚も時折覚えるのであった。エスカレートしていくセシリアの「妄想」には、友人すら怪訝な目を隠せない。そんな頃、決定的かつ最悪な出来事が起きてしまう。

雑感

過去の「透明人間」関連作を観ていないので他がどうなのか分からないのですが、これはまあざっくりホラー/スリラーの類でございます。上映前の予告編もホラー映画ばっかり。怖いの苦手な方は避けたほうがよいでしょう(主に「びっくり系」の怖さです)。

なおわたしのホラー耐性は、心霊ものでなければまあ大丈夫かなというレベル。かといってそんなに観たいというほどでもなくスルーしていたのですけど、今週のムービーウォッチメン宇多丸さんが「めちゃくちゃ面白いよ!!」と大絶賛していたので結局ホイホイ釣られて行ってしまいました。

なるほど確かに面白かった。ただ個人的にはそこまでストライクじゃなかったです。いろいろと小さい違和感が重なってしまって、怖がることに集中できなくて。でも「うわ!」と思わせる面白ポイントは幾つかあったのでそのへんに触れていきますね。

これは名シーン

間違いなく面白かったのは「決定的かつ最悪な出来事」のシーン。あーれは、不意打ちってのもありますけどとにかく面白かった! アレがフッと浮いて、えっ、どうすんの、何を、どうすんのって、えーーーーーー!!! ………えええええええ。うわあ……………。ちょっともうこれ、どうしようもないですやん、っていう。

まあフラグは立ってるっちゃ立ってたわけですよ、「やっと味方ができそう」なんていう状況ですもん。ただ、ああくるとは思ってなかった! 不謹慎極まりないけどめっちゃ面白い! このシーンは「えっ」が効果的なんですよね、その「間」が。誰でもああなるでしょうね。なんたってあの人すら、おっと。

ちなみに宇多丸さんが観た回では、このシーンの直前でトイレに立ったお客さんが2名もいたそうです。残念すぎるぜ。


他作品を連想したところ

オープニング、邸宅からの大脱走。これはなんだか『ドラゴン・タトゥーの女(2011)』でやはり丘の上のガラス張りな邸宅から逃げ出すシーンを思い出しました。『ドラゴン・タトゥーの女』では(北欧版とリメイク版どっちだったか忘れましたが)ナイフスタンドから包丁を取るシーンがありましたけど、こっちも違う場面で同じことしてますね。

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

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最初にセシリアが彼の存在を確信させられることとなる「サプライズ」シーンは、あれはすごく『ヘレディタリー/継承(2018)』のそれでした。まあホラー映画というのも過去作へのオマージュに満ちているのでしょうからおそらく更に元ネタがあるのだと思いますが。しかしあのシーンの導かれていく感、全て掌握されている感、たまらなくいやですね〜〜〜。面白かった!

ヘレディタリー 継承(字幕版)

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  • 発売日: 2019/04/10
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その後だったか、キッチンでのひとり相撲シーン(撮影のメイキングが見てみたい)。ここは部屋の間取りが似ているというのもあって、マイフェイバリットムービー『暗くなるまで待って(1967)』の明るい版という感じでした。透明人間ってことは明るいまま盲人ホラーができるってことですからね。

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小さな違和感

集中できなかった小さな違和感は、まず人間関係の描写。脈絡のない偽メールであんな絶交レベルに激昂しちゃう妹どうなの?? それまですごく親身だった友人親子の離れよう、なんなの?? 大幅カット*1したんじゃないかと思うほど唐突な「離れていく周囲」の描写がじつにノイズでした。娘ちゃんも、どう見たってあの状況セシリアは殴ってないじゃん! 恩人レベルの援助までしてくれてたじゃん! おかしいでしょ!(唐突な激昂)

あとは、自傷のくだり。え、あれって「ふり」じゃないよね? 実際にやってたよね? 水につけてないとはいえ、あんなダメージないことなくない?? 血すら出てなかったけど?? ていうかそのあと雨のなか走り回ってるじゃん! なんなのタフなの??

このへんがもう少し丁寧に描かれてたら文句なしに「面白かった!」と言ってた気がするんですけどね。でも、124分という尺にしては体感あっという間に終わったのでそれなりにしっかり面白かったんだと思います。

(2020年109本目/劇場鑑賞)

最後にこんなこと書くのもあれなんですけど、観終わって携帯の電源を入れたら三浦春馬さんの訃報という信じられないものが飛び込んできて、現実は映画よりもショッキングだよと頭が真っ白になりました。じつのところ映画の感想はすっかり飛んでしまいました。特別ファンだったわけでもないけれど非常にこたえています。

*1:予告を観直していたら、劇中にないシーンが幾つもあったような……。実際かなりカットはしてそうですね。