蜘蛛の巣を払う女(2018)|まごうことなきリスベット
サスペンス小説「ミレニアム」シリーズの映画化プロジェクト第三弾。最も有名であろうデヴィッド・フィンチャーによるハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女(2011)」ですっかりハマってしまい、後追いでスウェーデン版三部作も鑑賞。そして今回、また新たに映画化されたということで公開初日に観てきました。
今作はざっくり、姉と妹のお話。少女時代のリスベットと妹がチェスをしているシーンからのタイトルバック、もうこの数分だけで「好き!!!」のガッツポーズ。「ドラゴン〜」もアバンタイトルからの数分にやられたんだったなあ。ここは製作総指揮のフィンチャーを色濃く感じます。
第四部まで出ている原作小説は全て「〜の女」的な題がついていて、第一部がおなじみ「ドラゴン・タトゥーの女」、今回の「蜘蛛の巣を払う女(The Girl in the Spider's Web)」は第四部のものです。第二部と第三部の映画化はスウェーデン版しかないため、ハリウッド版としては第一部からいきなり第四部へ飛ぶことになります。おまけにキャストも毎回一新されてしまうという敷居の高さ。
だもんできっと劇場公開はすぐに終わっちゃうと思います。だからこそ言っておきたい。リスベットっていう超かっちょいいウィザード級ハッカーのお話です! これといって予備知識なくいきなり観ても大丈夫です! かっこいい女の人が見たかったら是非観てください!
シリーズの中心となる人物は主に二人。背中には龍のタトゥー、刈り上げベリーショートで黒しか着ない天才ハッカーかつ武闘派の女主人公リスベット。ヒロインという言い方もできなくはないですが、攻殻機動隊の草薙素子的なキャラクター、と言うのがしっくりきます。まだ若くてバイクも乗り回すので「ARISE」の素子が一番近いです。攻殻が好きな人は絶対好きです。
もう一人はジャーナリストのミカエル。原作タイトルの「ミレニアム」とは彼が携わっている雑誌の名前で、リスベットとはかつて同じ事件に取り組んだことからいい仲。公私混同でリスベットの特集号を出してしまったことも。ただし今回は完全に添え物程度の扱いなので無視してOK。リスベットだけ見ていましょう。むしろお友達ハッカー君のほうがよっぽど活躍してる。
雪降る北欧サスペンス、っていう独特の雰囲気がすごく好きだった過去作。今回もその空気感はしっかり継承されてます。三代目リスベットとなるクレア・フォイさんも、ウエンツ顔だけどちゃんとリスベットしてます。のっけから黒いバイクをギュインギュイン言わせ、少佐よろしくセーフハウスに愛人を飼う、まごうことなきリスベットです。安心しました。
過去作と比べるとやや大作映画的エンタメ色が強くて「北欧のミッションインポッシブル」とでも言うべきリスベット無双になっているので、そのへんは好みの分かれるところかも。それどういう技術よ?!みたいなのとか、姉妹の確執という分かりやすい要素とか、少年との交流とか。でも、少年のリクエストにお応えしてマットブラックのカウンタックを奪うところなんて最高ですけどね。文字通り「紅一点」の妹も好きだったし、ミカエルとリスベットの再会シーンも超絶エモい映像でございましたね、はい。
ひとつ気になったのは、これまでずっとApple縛りだったのが今回はSONYに魂売っちゃってて、ミカエルもVAIOで原稿書いてたりして。え〜〜って思ってたら最後の最後だけMacに戻ってて。あれは少々どういうこっちゃ案件です。最後だけ戻るのが謎。
とりあえず、フィンチャー版「ドラゴン・タトゥーの女」が好きなら違和感なく楽しめるはず。そしてしつこいようですが初めての方も、攻殻機動隊と草薙素子が好きだったらきっとストライクです。ルーニー・マーラとダニエル・クレイグで華のある「ドラゴン〜」からでもいいので是非。あと、ほとんど蜘蛛は出てきません!
(2019年3本目/劇場鑑賞)
▼デヴィッド・フィンチャー監督によるハリウッド版
- 発売日: 2013/11/26
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