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レディ・プレイヤー1【吹替3D】(2018)

レディ・プレイヤー1(2018) - 353log

「レディプレ」吹き替え3Dでおかわりしてきましたので、新たに思ったことなどをつらつらと。基本的な感想は上記の初回感想記事からどうぞ。

吹き替えと3D

坂本真綾の吹き替え担当キャラがおもっきしヒロインだったためこれは吹き替えで観なきゃ!というのが吹き替え版視聴の主な動機です。坂本さん、先日の「パシフィック・リム:アップライジング」では超サブキャラでしょんぼりしたのもあり(なおあちらは吹き替え未見)。レディプレにしろパシリムにしろ、なんかここんとこしっかり本職声優陣を起用してくれるパターンが多いように思います。ありがたいですね。

基本的に実写映画の吹き替えは(よほど金ローなどで馴染みのある古めの作品を除いて)苦手ですが、本作の場合はフルCGのアバターなシーンが半分以上を占めるため、予想通り違和感少なめでした(「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」を前例としての予想。あちらは実写ながら、アバターものと日本語吹き替えの相性はいいですね!)。

ただなんとなく違和感があったのは、本作で多数登場する「作品名」が台詞に含まれているときでしょうか。例えば「バカルー・バンザイ」とか。日本人(坂本真綾)の声で「バカルー・バンザイ?! サイコー!大好き!」とか言われても、「日本人的にはおそらくニッチな反応を“日本人の声”でしている」のってどうもピンとこないんですよね(笑) すごい微妙なラインですけど。

大量の「イースターエッグ=80年代ポップカルチャー的ワード」が出てくる映画なので、そのワードに関しては字幕で見たほうが情報的にもニュアンス的にも合ってるかな〜と思った次第です。

3Dは、地元の小さいスクリーンで観たっていうのもあると思うんですが、やはりあまり自分との相性は良くないなという印象。オアシスの世界観に入り込む前に闘うべき違和感が多い、という感じでした。細かいところを見たいなら2Dのほうが集中できてよさそう。IMAXの3Dとかならまた全然違うんでしょうね。

予習した作品

初回鑑賞後に「予習」した作品と感想記事は以下の通りです。

アイアン・ジャイアント(1999) - 353log
ウォー・ゲーム(1983) - 353log
ブレックファスト・クラブ(1985) - 353log
サタデー・ナイト・フィーバー(1977) - 353log

アイアン・ジャイアントは直接の登場頻度が高い&わたしの中での認知度が極端に低いので優先的に鑑賞しましたが、とても素晴らしいアニメーション作品でした。レディプレ劇中での「彼」の動きが、ひと味もふた味も違って見えるようになることでしょう。

ウォー・ゲームは、全体的に漂う「サマーウォーズ」感について検証するべく鑑賞。結果的にそこまで関係ないように思えたので、予習という意味では観なくてもよかったかなと思う感じの作品でした。

「ブレックファスト・クラブ」は、すごくよい映画でした。予習とか関係なしにぜひ観ていただきたい良作! なおレディプレ劇中ではソレントの台詞(ホログラムのウェイドと会話するシーン)に登場するほか、「ハリデー年鑑」エントランスのデザインが本作の図書館をベースにしてるみたいです。言われてみれば手すりの雰囲気とか確かに、です。

サタデー・ナイト・フィーバーはもちろんあのダンスシーンのために。最初はジョン・トラボルタのバタ臭さに耐えられるかしらと不安だったものの、音楽よし、ダンスよし、ほろ苦いストーリーもよし、何よりトラボルタよし!の、まごうことなき名作でした。

他にも観たいものは多数ありましたが、時間の関係でとりあえずこの4本。どれか1本だけオススメするなら…うーん、やはり「アイアン・ジャイアント」ですかね!

予習したほうがいいと思った作品

「シャイニング」はもちろん外せません。ただ、あれは「予習してから観ると楽しめるよ!」っていうのともまた違うと思っていて。この点はライムスター宇多丸師匠が直近の「ムービーウォッチメン」でおっしゃってましたが(こちらに後日書き起こしが上がるはずです)、出てくると分かったうえで予習してもあの感覚は味わえないんですよね。

これ、ほんとに2回目の鑑賞で思ったことで、例のシーンにまったく衝撃を覚えなくなってしまったんですよ。わりとショックだったんですけど。あの「興奮」は1回ぽっきりのものであって、しかも「シャイニングを観たことがあって」かつ「まさか出てくるとは思ってない」状態で観ないと味わえない興奮なわけですよ。ただ、その「1回ぽっきり」は自分史に残るくらい凄まじい衝撃なんですけどね。その、ある意味使い捨てな衝撃のために製作陣があそこまで頑張ってくれたのかと思うと、すごい映画ですねやっぱり。


というわけで完全に話は逸れましたが、そんなことを踏まえた上で「予習したほうがいい映画」というと市民ケーンだとわたしは思いました。「バラのつぼみ」、あれ結構大事っぽい台詞として出てくるから流せないっていうか、知らないとだいぶモヤッとするんじゃないかな?と思うんですよね。その(2回目の)流れで出てくる「ソリ」というワードも、こちらは流せますが意味はわかんないですよね。

市民ケーン [Blu-ray]

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「バラのつぼみ」「ソリ」、どちらも「市民ケーン」を象徴するワードでありアイテムです。しかも調べてみたら「ソリ」はなんとスピルバーグが持ってる!笑

『市民ケーン』のソリ、スティーブン・スピルバーグが所有。|ニュース(海外セレブ・ゴシップ)|VOGUE JAPAN

ガッテン!って感じですよね。

ストーリー的にも似た骨格を持っている「レディプレ」と「市民ケーン」。映画史に残る、スピルバーグ監督も愛してやまない名作ということで、未見でしたらぜひ。

描写の気付き

意外と、新たなイースターエッグなどは大して見つかりませんでした。見落としてたソードフィッシュを確認したり、ほんとそれくらいかなあ。それよりもキャラクター描写のほうで「なるほど」と思う部分が多かったです。

例えば、モローのアバターだと知った上で案内人に注目すると、ハリデーと会話してるシーンの「動画」を観ているとき不自然に「もう結構ですか」と再生を止めようとしたりすることに合点がいったりとか。アルテミスに夢中なパーシヴァルをエイチがやたらと嫌がるシーンとか(エイチは本当は女だから嫉妬しているという解釈)、「シャイニング」の「237号室」で裸の女性が迫ってきたときにさほどドギマギしないエイチとか(だって女だから)。結構おもしろいところがいろいろありました。

ラストシーンのこと

ものすごく複雑な気分、とわたしのなかでも賛否両論なラストシーン。2回目の気付きとして、その直前に「あまり評判はよくなかったが」と言ってるんですね。オアシスのみんなが、スクリーンの前のみんなが期待してるのとはちょっと違うことをやるよ、言うよ、っていう前触れがあるんですね。そんならまあ仕方ねえなと思いました(笑) でもあのサマンサ妙にムチムチしてて好きじゃない。あ、R2がいた!(散漫)

んでそのあとのエンドロール、ホール&オーツの「You Make My Dreams」。今回聴くまで知らない曲だったんですが、何回か聴いてるうちにクセになりました。エレピとギターの織り成す複雑な和音構成がなんとも好きです。

この曲の歌詞、下記リンクの方が和訳してくださったものによれば、こんな一節があるようです。

I'm down on my daydream
But that sleepwalk should be over by now
I know

白昼夢にのめりこんでた
だけどそんな夢遊病はそろそろ
卒業しなくちゃ

【和訳】Hall & Oats - I Can't Go for That (No Can Do) / You Make My Dreams ~ einzelzelle 様より転載

ちゃんと、そういう曲だったんですね。

2回目の鑑賞を終えて

先にも書いたことですが、「初見の衝撃」という要素がかなり大きい作品だったということがわかりました。なので、じつはそんなに何度も同じようには楽しめないのかもしれません。折に触れて何度も何度も見返すタイプの映画というより、「2018年のあの時に映画館で受けた衝撃」をいつまでも大切にしていく、そんなタイプの映画なのかも、です。

しかしほんと、すごい映画であることには変わりありません。公開初日、映画館のエスカレーターですれ違った大学生くらいの子達が「デロリアンが超カッコよかった!!」とか言い合っていたのが印象的です。2018年にスクリーンでデロリアンを観れるというまさかの体験、そしてそれがスピルバーグ監督の新作であるという事実、うーん、いまだ夢っぽいですなあ。

(2018年85本目 2回目の劇場鑑賞)