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主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

渚にて(1959)

フレッド・アステアが歌い踊っていないレアな作品ということで中身も気にせずチェックしたのだけど、まったく予想外のノワールでした。これはすごい。

公開は59年、劇中で見えるカレンダーは64年。当時でいう近未来。第三次世界大戦がもたらした放射能汚染で地球の北半球はすでに全滅した状態から物語はスタートします(という設定を理解するのにしばらく時間がかかったせいで、遅れて気付いた頃には背筋がゾッと)。南半球に残された時間は長くて5ヶ月。そんな絶望的な世界の最期を生きる人たちのお話。

劇的な展開があるでもなく、迫りくる放射能に抗えないまま淡々と消えていく地球上の生命反応。「その時」が来たとみなされた地域の住民には安楽死用の薬が無料で提供されることになっており、薬を求めて整然と並ぶ人たちの列。パニック演出など過剰な描き方を一切していないのが、逆に怖い。

公開年は余裕でカラー時代なので、モノクロなのはノワール感を重視したものかなと思いましたが、これがまた効果的で、没入感すごいです。設定としてはありふれた終末世界モノかもしれないけれど、こうも淡々と描いた作品はなかなかないのでは…? SFとは言い切れないリアルがあり、未見ならばぜひ観ていただきたい一本です。

(2018年12本目)
(しかしすまぬ、エヴァ・ガードナーがおばさん役にしか見えない…度:★★★★★)