ロバート・ロドリゲスとクエンティン・タランティーノによるオムニバス作品『グラインドハウス』のロドリゲスside『プラネット・テラー in グラインドハウス』を観ました。きっかけはもちろん『フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996)』で熱が上がったから!
なお、タランティーノsideの『デス・プルーフ in グラインドハウス』は昨年鑑賞済み。
こんな気合いの入った記事を書くほどにはストライクだったようです。「グラインドハウスとは何ぞや?」についてもこちらからどうぞ。
あらすじ
生物兵器“プロジェクト・テラー”が蔓延してしまった世界で、かつて愛し合った男と女、兄弟の絆、夫婦間の不和など、あらゆる人間模様を切り取った物語と言えないこともない。
雑感
いやあ、びっちょびちょでした。こう見ると、タランティーノのバイオレンスは比較的カラッとしているんだなと思えます。ロドリゲスのはなんていうか、水分量が多いし粘度も強い。人の肉がやわらかい。悪趣味(ダイレクト)。
そういえば『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でもヴァンパイアの身体やわらかいんだよーん、みたいな話になってた記憶があるのでこれロドリゲスの持論なのでしょうね。感染者の身体は脆いぜ!っていう。そうそう、何気にパンデミックものでした(笑) あんな医療崩壊は嫌だ。
『フロム・ダスク〜』とあえて寄せてるのか、揺るがぬ作風なのか、そこは分かりませんが、ヒャッハー!!な超B級ネチョネチョ案件から一転、ちょっと「いい話“風”」になるのはすごく似てるなあと思いました。また、「弾の残りは?」「多くない」というセリフ回し、これも全く同じのが両方にあります。署名なのかな。あ、あと! ラストの古代遺跡じみた意味深エンドも全く同じ! 気になる!
タランティーノ絡みのネタとしては、お馴染みのタバコ「レッド・アップル」が登場したり、『デス・プルーフ』から“ジャングル・ジュリア”のラジオ(追悼。笑)が流れてたり、TO DOリストに「KILL BILL」って書いてあったり。
タランティーノ本人も登場しますが、こいつが、マジ、クソです。『フロム・ダスク〜』の性犯罪者役といい、もはや好き好んでこういう役ばかりやってるようにしか見えなくてやばい。この二作を観たらタランティーノが嫌いになること請け合い。
そんなタランティーノも一応含めて、キャストは見栄えのする個性派ぞろい。特に女性陣がよくて、まずなんといってもキービジュアルの片脚マシンガン女子ローズ・マッコーワンさん(言わずもがな、記事冒頭の画像)は期待通り! でもこの姿になるのは最後の最後で、そこまでにはちょっと「いい話」もあったりして。
ちなみに、このキービジュアルを初めて見たときからずっと連想しっぱなしだったのが、アニメ『攻殻機動隊SAC』シリーズに登場する武装メイドアンドロイド。
わたし元からこういうのがお好きでね…。
もうひとり、夫ジョシュ・ブローリンと別れたがっている女医のマーリー・シェルトンさんも、流れ落ちたアイメイクと麻酔でグニャグニャな手のマッチングなどが狂気の極みですばらしい。このシーンは狂気をはらみつつ美しくて恍惚としてしまいました。子供の銃暴発っていう、アメリカ社会を反映した切ないシーンなんですけどね。
女のひとを最大限魅力的に撮っている映画はよいです。その点かなり評価できる映画です。最後に女性が勝ち残るのもロドリゲス作品の特徴、なのかも。
(2020年57本目/U-NEXT)
PrimeVideoでは現在『グラインドハウス』2作とも会員特典! 『デス・プルーフ』とあわせて是非どうぞ!余談ですが、劇中でローズ・マッコーワンさんがタランティーノ演じるクソから「似てるね」と言われる往年の女優エヴァ・ガードナー。彼女が出演している作品に『渚にて』という1959年の映画があります。第三次世界大戦下、放射能汚染に抗えないまま全滅していく人類のお話。非常に淡々と怖い映画でした。今観ると別の意味で怖いとは思いますが!