NY旅行記9本目。この記事の続きです。
前回までのあらすじ:マンハッタン中心部からどうにかホテルまで辿り着いた353。懲りずにあのスポットへと向かいます。
交差するルーツ
疲れていたとしてもなんとか初日のうちに拝んでおきたい光景があった。タイムズスクエアである。映画の中のニューヨーク。テレビの中のニューヨーク。旅ブログ、旅ツイートのニューヨーク。いかなるときも外せないのはやはりあの場所だろう。
再び地下鉄に乗って出かける。スーツケースもない、リュックもない、カメラバッグだけだ。一気に気持ちが軽くなる。
今度の車両は新しい。なんでもこの車両は日本人のデザイナーが手がけたものらしい。シートが硬いくらいで、日本との違いはほぼないと言っていいだろう。乗客たちの過ごし方も日本と同じだ。立っていたり座っていたり、スマホをいじっていたり。地下鉄車内でスマホなど出すと格好の餌食だから気をつけよう、というガイド記事を読んだが、2018年現在その心配はあまりなさそうだ。
ホテルからタイムズスクエア最寄りの駅までは一本で行ける。マンハッタン、基本的にどこへもアクセスがいい。そして想像している以上に狭い。このへんはまた追って。
どこからどう出たのかはもう忘れてしまった。覚えているのは、やはり圧倒されたということだ。その証拠に、このとき撮った写真はどれもこれも極端に上を見上げたり斜めったり、明らかにくらくらしている写真ばかり。写真は撮った人の心理をよくあらわすと日頃思っているが、こんなにもわかりやすく出るものなのだなと、あとから見てちょっと可笑しいくらいである。
出た場所は所謂タイムズスクエアのスポットからは少し外れたところだった。ひときわ明るい地点を目指して歩いてみる。もっと一発で分かるものかと思っていたが、ネオンとデジタルサイネージの洪水は広範囲に及んでおり意外と「ここ!」が見つからない。
リムジンがいた。とてつもなく似合う。
ここか?と思ったがまだ違うようだ。目を凝らすと奥のほうに「tkts」の赤階段が見えるような気がする。とするとその地点がゴールで、そこから振り返ると「あのタイムズスクエア」が目の前いっぱいに広がるはずだ。まだあまり実感がない。
なるべく後ろを振り返らず、赤階段めがけてずんずん歩いた。赤階段に着いた。遠目にも人がいないなと思っていたが、閉鎖されていた。おそらく、翌日のサンクスギビングパレードに備えてなのであろう(場所取りできないようにしてあるのか、当日も使えなかったのか、そのへんは不明)。
それでは満を持して、180°ターンしよう。
光の辻褄が合致して「あのタイムズスクエア」が完成した。いつか立ってみたい、と思っていた場所に立っている。
しかしじつは、震えるほどの感動はしていなかった。どちらかというと「こんなもんか」と思っていたところもある。これについては単純に「階段に登れなかったから」かもしれないという説が有力。3日目にあらためて階段のてっぺんから見たとき、今度はしばらくその場を離れられないくらいに惹きつけられたからだ。角度は思いのほか重要だ。
少しだけ寄ってみたり。
一気に引いてみたり。
タイムズスクエアというのはもっと、どう撮っても絵になるのだと思っていた。実際には、イメージしたようなタイムズスクエアを撮るのは案外難しかった。それは、この空間を作り出しているのが無数のデジタルサイネージであるということに関係する。
たとえば上の写真の左側、大きなサイネージに黒く表示されたキングコングの広告。これははっきり言って地味である。このタイミングで撮ったタイムズスクエアは、ほかと比べて暗くなる。やはり1枚目のように明るい広告が眩しく表示されていたほうが、よりタイムズスクエアらしくなるのだ。
このタイミングの組み合わせというのがなかなか難しく、だいぶ運と言える。タイムズスクエアは生き物だった。
いっそ横を向いて撮ってみるのも悪くない。そういえばこのマクドナルドのネオン、映画などで見るより圧倒的に地味だった。もっとギラギラさせればいいのにと思った。
tkts階段スポットより少し奥に行ってみるのも良い。ここのほうが光の洪水になりやすい。それにしたってこのサイネージの数はすごい。
旅とカメラ
この旅にはカメラを二台携えていた。ひとつの景色につきカメラ二台にiPhoneに、みたいなカメラ小僧っぷりを全身で出しているからか、写真を頼まれる率は非常に高かった。このとき初めて、アジア系の男性二人組から声を掛けられて写真を撮った。せっかくなので自分も撮ってもらった。まだマンハッタンとは心の距離があるらしく、だいぶぎこちない笑顔だったが記念になった。
普段はしないが、さすがに今回は自撮りを沢山した。ひとり旅の唯一の難点は、自分がそこにいた記録を残しにくいことだ。画質や構図は悪くとも、とりあえずiPhoneのインカメラで自分を撮っておいた。普通の観光地なら不慣れゆえにちょっと恥ずかしさを覚えるところだが、ここは普通の観光地ではない。激烈観光地だ。何も気にすることはない。
写真を撮ってあげたすぐ後くらいだったか、素敵な白人カップルのプロポーズに遭遇した。よくある光景なのだろうけど、居合わせたことがなんとなくうれしい。
タイムズスクエアで巻き起こる人間ドラマといえば、先日観た映画「ニューイヤーズ・イブ(2011)」に出てくる「ボールドロップ」のボールが高々と掲げられていて感動した。これは一年中あるのだろうか。それともこの時期だけなのだろうか。この目で見れてうれしい。いつかニューイヤーズ・イブにも来てみたいものである。
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: Prime Video
- この商品を含むブログを見る
帰ろう
だいぶ圧倒されて疲れている。とにかく、初日にここまで来れた。予定通り、完璧だ。
最後にハードロックカフェのショップに寄り、ピンズを購入。いつしかHRCピンズコレクターになっていた友人への土産。カードで買おうと思ったのだがなんとなく現金を減らしておきたいと思い、現金払い。ショップのお姉さんがめんどくさそうな顔をしている。やはりカードのほうがいいのだなと学ぶ。
見るものすべてがでかい。正直なところずっとくらくらしている。帰るべきだ。地下鉄の大きな入り口に吸い込まれ、タイムズスクエアをあとにする。
駅のホームで太鼓を叩いているおじいさんがいた。同じ太鼓叩きとして、心地よいビートにはチップを払うべきだと思った。払ったら喜ばれたが、写真を撮ろうとしたらものすごい剣幕でノーピクチャーと叫ばれた。無表情で歩いて逃げた。なるほど、こういうこともあるわけだ。最後でいろいろ学んでいる。
帰り道、明日はThanksgiving Dayだから朝食を食いっぱぐれるのではと思い、勇気を出してホテル近くのデリに入ってみる。ホテルの日本語おじさんとは違うタイプの日本語おじさんがコンニチワーと出迎えてくれた。水と、大きなマフィン的なものと、ついでに夜だけどとてもコーヒーが飲みたいから頼もう。水以外の買い方がさっぱり分からないので強引にどうにか伝える。マフィンあっためる?と言ってくれたのでYes!とお願いする。ただごめん、会話したかっただけでほんとはそのマフィン明日食べるんだ。
地味に手間取ったが欲しいものはすべて買えた。アリガトーと送り出してくれた。優しい人だった。日本語はもちろん挨拶だけで、あとは英語。こういう注文系は初めてだったけれど、気持ちでどうにかなることがよくわかった。多分もうなんでもどうにかなるだろう。ちなみに旅の間、挨拶だけでも日本語を使ってくれたのはこのデリとホテルの日本語おじさんくらいだった。それぐらいでよい。
タイムズスクエアのあたりは正直まったく自分に主導権がなくて街のパワーに完全に丸め込まれる感じというか、チェックしてた見たいとこを回ろう!みたいな器用なことができそうになかったので先行き不安です。パワースポットとしては強すぎる。 #353inNY
— 353 (@threefivethree) 2018年11月22日
ホテルへ戻り、しっかりバスタブで風呂に浸かって、脚のケアを入念にして、ちょっと弱気なツイートなどして、目覚ましをかけ就寝。長い長い一日が、初めての海外ひとり旅初日が終わった。
旅メモ: 到着日の行動範囲まとめ
はい、353氏の長い長い一日が終わりましたね。書いてる本人が一番「やっと寝たのかよ」と思っています。行きの飛行機は時間を逆行していくので、日本で朝起きてからニューヨークで夜寝るまで本当にずっと11月21日だったんですよね。なんだか変な感じです。
この日の行動範囲をGoogleMapのマイマップでざっくりまとめました。
旅行記の続きはこちら。この後も少しずつ書き進めていきます。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。