353log

主に映画の感想文を書いています

VRゴーグル「Oculus Quest 2」体験記

VRゴーグル「Oculus Quest 2」を買いました。一週間前の今頃はオキュラスのオの字も意識していなかったというのに、VR道の伝道師さんからパワープッシュを受けてつい物欲の波に乗ってしまいました。

わたしはゲームをやらない人なのでゲーム方面の魅力を語られてもピンとこないのですが、「でっかい画面で映画が観れるよ!」と言われてしまうと揺らぎます。安いプロジェクターと安いスクリーンのなんちゃってホームシアター環境はあるけれどそろそろいいプロジェクターに買い換えたいなあと思っていたところ。狭いワンルームで大きなテレビを置く場所はないし、まあそれくらいしか視聴環境向上の策はないよなあと思っていたところ。しかしなるほど、仮想現実という手があったか。それならば物理的スペースを問わないし最適解なのではないか。

問題はお値段。さんまんななせんえん。ううむ、なんて絶妙な価格設定。生活に余裕があるわけではないがしかし衝動買いできない値段ではない。こういうときは「〜〜だと思えば」を一生懸命考える。そして一瞬で思いつく。さんまんななせんえん。披露宴と二次会お呼ばれ1セット。そうだ、今年はコロナ禍もあり例年よりこの部門の出費が少ないではないか。そういうことにしよう。未来への門出を祝おう。

ということで、パワープッシュの24時間後には“未来”が手元にありました。物流インフラに感謝です。

f:id:threefivethree:20201130202905j:plain

Apple製品を思わせるシンプルなパッケージにアガります。開封してみるとさらにApple製品っぽくて、

f:id:threefivethree:20201130203229j:plain

こんな感じ。説明書もシンプルを極めており、髭剃りくらいの内容しか書いてありません。とりあえずかぶれ、話はそれからだ。そういうことでしょう。ちなみにゴーグルの内側には瓶底メガネみたいなレンズがふたつ収まってます。

f:id:threefivethree:20201130203944j:plain

かぶってみた

真っ白でだだっ広い空間に放り込まれ、眼下にはコントローラーのフォルムが浮いている。別段派手なことはないものの、すでにこの時点で「ものすごく広い空間」を脳が信じ込んでいることに半信半疑ドギマギです。

最初に「ガーディアン」という安全地帯の設定作業をおこなうのですが、ここで自分の部屋に線引きをしていく体験がとても未来。単身用アパートのワンルームに「障害物のない広い空間」などという概念は希薄なため、多少ウソはついてベッドなんかも安全地帯に指定してみたりするのですけど、未来のゴーグルくんはそのへんも全部お見通しで「障害物があります。片付けてください。」とか言ってきよります。母さん、ぼくはディストピアにいます。

騙し騙し設定を終えると、ホーム画面へ。これが、すごい。めっちゃ部屋。というか家。オリエンタルムード漂う和風の邸宅が、さんまんななせんえんでは絶対に住めないような住環境が手に入ってしまいました。十分すぎるファーストインパクトです。

はじめてのQuest

さて手始めに、伝道師さんから「まずはこれをやってみて、未来きちゃうから」と言われていたチュートリアルアプリを起動してみます。これはですね、本当に未来がきます。

Oqulus Quest 2はワイヤレスのコントローラーを両手に持つのが基本スタイルなのですが、このコントローラーでは「掴む」とか「押し込む」とかいった動作が感覚的にできるのです。んで、ディストピア託児所みたいなスペースに投げ込まれたVR新生児こと我々はですね、なんか適当に遊んでみなよと言われるわけです。ならば言われるがまま、そこにあるブロックを……掴めた……! 投げたら……飛んだ……! じゃあその紙飛行機は……掴めた……飛ばせた……!! 卓球の球とラケットが……サーブできた……!!

感動レベルでいえばほんと赤ちゃんレベルなんですけど、これがどっこいとんでもなく感動します。チュートリアルでは他にもいろいろな体験ができて、なかでもゾクッとするほど感動したのが「ダンス」。いきなり目の前に火星人みたいなのが現れて、エスコートしてくるんですよ。VR新生児は適応力が高いので、まんまと信じ込んでそいつの手を取るわけ。すると本当に手をつないだような感覚があって(コントローラーに内蔵されたバイブレーターが錯覚を増幅…!)本当にそいつと踊ってしまっている自分がいて。嗚呼、誰にも見られたくない姿ですが、しかし今本当に踊っているのよわたしは。火星人と。

といった具合のファーストステップ。人間は思っている以上に目の前のものをあっけなく信じ込む。そう知った衝撃体験でした。

旅をしてみる

コロナ禍に入ってから旅行も全くできていないんだ、VRゴーグルくらい買ったっていいだろ! 口実のひとつです。そんなわけで次に試してみたのが、GoogleMapのストリートビューを360度展開できるアプリ「Wander」。これもまた感動でした。

本来なら今年は6月にニューヨークへ行くはずだったんです。あんま考えないようにしてたけど、擬似的にでも行けるのならそれはもちろん行きたい。早速音声入力で「New York」と指定。自動的に飛んだ先は……ウールワースビルが見えて……これはブルックリン橋の、マンハッタン側の入り口だ!

2Dの画面上で見ればこれはただのストリートビューにすぎないのだけど、360度展開された空間で見ると、まぎれもなくわたしはここにいる。ニューヨークにいる。かつて実際に歩いた場所に、再び降り立てている。物理的にウールワースビルを見上げることができる。涙が出そうになりました。

次は欲を出してタイムズスクエアへ。これがまた圧巻。まさにタイムズスクエアのど真ん中に立っている気持ち。続けて、2年前に泊まったホテルのあたりへ。目星をつけてジャンプし、ぐるっと見回すと、ちょうど目の前に懐かしいエントランスが。涙が、出ました。

既に大満足ではあるも、強いていえば喧騒がないのは物足りない。マンハッタンはやはりあの喧騒がなければ。ということで今度はYouTubeで、マンハッタンを車で走るVR動画をお試し。うわわ、これは、すごい。すごすぎる。酔った。しばし現実のアパートへ帰還。ダイブは疲れる。ポテンシャルは十二分に理解した。

映画を観てみる

うっかり忘れてしまいそうな購入動機、映画鑑賞。PrimeVideoやNetflixのアプリだと、ちゃんと仮想映画館のシートに座らせてくれるのです。が、アプリのないU-NEXTで観たいやつだったので初体験はブラウザのフルスクリーンにて。この方法でも湾曲した画面になるのでかなりスクリーンっぽいです。ただ、やはり、酔った。没入度の高すぎる映画をVRで観るのはわりと危険かもしれません。初VR鑑賞の感想はこちらから。

初回で酔ったため、若干のトラウマになってまだ次は観れていません(観た映画も悪い)。でも一番突き詰めたいところなので、また追って。

追記:ベストマッチな作品を見つけました。


音ゲーにハマる

VR界で大人気らしい「Beat Saber」という音ゲーがあります。これも伝道師さんから手始めに遊んでみて〜とプッシュされていましたが、3,000円くらいする有料アプリなのでまずはデモ版でお試し。10分後には買っていました。おもろ。めっちゃ、おもろ。

彼方から飛んでくるブロックをライトセーバーでぶった切るだけのシンプルなゲームなのですが、それだけに奥深い。そしてめちゃくちゃ楽しい。両手にライトセーバーを持っているという体験からしてうおおだし、おまけにライトセーバー交差させるとヴヴヴンッてなるんですよ、うおおおおですよ。

んで、音楽に合わせておいしそうなスケルトンのブロックが近う寄ってきまして、そのブロックに矢印マークがついてるんでその向きに合わせてぶった切るんですね。たまに巨大な壁が迫ってくるんでぶつからないように避けたりしながら必死にそんなことをやっているとですね、気分はライゾマ演出のPerfumeなんですよ。だいたいの曲は最後ドォォォォン……って終わるんですけど、そこで仁王立ちの決めポーズをしてですね、さながらMステの曲終わりなんですよ。現実世界では、暑くてパンツ一丁になったおじさんがゴーグルかけてアパートの一室に仁王立ちしてるだけなんですけど、これが本当のワンルームディスコってもんですよ。

でもこれ、伝道師さんに画像見せてもらっただけじゃ全くピンとこなかったんですよね。ゴーグルをかぶってみてようやく、しかし瞬時にピンときました。一瞬で心掴まれる何かがこのゲーム世界にはある。騙されたと思って買って、騙されたと思ってまずはかぶってみてほしいです。

ちなみにわたし楽器をやる人だけども音ゲーは苦手で、丸やらなんやらで表現されるタイミングが感覚的に掴めないなという印象をずっと持っていました。譜面で流れてこいよと。そしたらパーフェクト出してやるよと。それが、このBeat Saberは全然なかったのです。複雑なリズムでも、感覚と正解が一致してる。ノンストレス。こんな音ゲーならやるよ、やりますよ。そんな感じでございました。すごいよくできたゲームなのだと思います。

以上、とりあえずここまで

引き続きいろいろ試してみて、なにかご報告事案があればまた書きますね。ステイホームが強いられるこのご時世、おうち時間の充実に間違いなく貢献してくれる未来のひみつ道具「Oculus Quest 2」。体験の価値ありです。

あそうそう、ゴーグルをかぶったままでも現実世界を確認できる機能があるんですけど(ゴーグルの四隅についたカメラが現実世界の360度映像を出してくれるのである)、もしかしたらこれが一番“未来”を感じるかもしれません。こめかみのあたりトントンッて叩くと周囲が見えるの。