ナラタージュ(2017)
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あらすじ
雨の日、残業中の工藤泉(有村架純)は窓の外を眺めながら、学生時代を思い出していた。
大学二年生のある日、泉のもとに高校時代の教師から電話がかかってきた。所属する演劇部の顧問だった葉山(松本潤)というその教師は、部員不足の演劇部を文化祭まで手伝ってもらえないかとOBたちに声をかけていたのだった。泉は話を請け、久しぶりに母校を訪れる。彼女にとって葉山は恩師であり、そして同時に淡い恋の対象でもあった。
ナラタージュ=回想
有村架純のナレーションで進行していく、回想の物語です。「ナラタージュ」という言葉は、ナレーションを軸にした回想形式のことを指す用語なのだそうです。
非常に邦画的な、控えめな劇伴のなかに生活音が小気味よく響くような、そんなタイプの本作。じっとりしています。「雨」「教師と生徒」「靴」など、原作は本作のほうが先ではありますが「言の葉の庭(2013)」を連想するような作品でした。なんなら「言の葉」と「秒速」を同時に見せられたような、それくらいじっとり切ないお話です。
松潤が演じる過去ありげな寡黙メガネ男子の先生は「響け!ユーフォニアム」シリーズの滝先生みたいだなあとか思ったりも。これ、ずっと頭のなかで既視感がもやもやしててなかなか思い出せなかったんですけど思い出してすっきり。こんな先生いるかよ?!とは思いつつも、松潤による「これは泉の回想の物語だから、泉視点の葉山を演じるつもりで役作りをしている」という旨の発言を目にして、なるほどなあと。
もうひとり印象的なのは坂口健太郎演じる小野という大学生。彼の豹変っぷりは怖くて良かったです。あんな好青年だったのに付き合ったら束縛系DV彼氏になっちゃうなんて、ありそう、すごくありそう、リアル。まあいきなり実家連れてくあたりで完全になんだこいつとは思ってましたけど。坂口健太郎、こーいうのがうまい。彼の演じる役、基本的に好かんわ〜〜〜!です(笑)
こじらせ映画オタク要素たっぷり
葉山先生と泉の共通の趣味は映画。泉にいたっては映画配給会社に就職するほど。てなわけで、こじらせた映画ファンの好きそうな作品(偏見)がたくさん出てきます。
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なお映画関連ネタで一番好きなのは、市川実日子さん演じるワケありな奥さんのフェイバリット・ムービーが「ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)」っていう設定。なんか、っぽすぎて。っぽすぎるよその設定は。冗談ポイですよ尾頭さん。ちなみに先生は好きじゃないそうな。
ツッコミどころモヤりどころは多し
松潤の葉山先生がどうにも感情移入できないなあというところがあって、でもまあそこは「泉視点の葉山」なんだったらあれでいいのか〜と一応の納得。他には、あの子が死ぬのって物語上そんなに必要あった…??とか(原作および著者の他作品においては深く掘り下げられているようです)、残業して思い出話してたら「朝になっちゃったな〜〜〜by瀬戸康史」とかそれそんな爽やかなことではなくない??とか。
あと、これいろんな映画観てて思うんですけど、主人公か誰かが体調崩して寝てるとこに長ネギやら携えてご飯作りに来てくれる系の展開あるじゃないですか、よく。あれ、一人暮らしの女の子が具合悪いのにわざわざインターホンで起き上がってカメラはおろか覗き窓すら見ることなくドア開けるなんてことあります??? 体調不良時の抜き打ち訪問で部屋がしっかり片付いてるあたりは百歩譲ってよしとして。インターホン対応のところだけは有り得ないと思ってしまうわたしなのでした。
とまあ全体的に首を傾げるシーンは多いですが、有村架純を堪能できたのでオールオッケーです。どうもありがとうございました!
(2018年203本目)