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主に映画の感想文を書いています

ピグマリオン(1938)

ピグマリオン [DVD]

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1913年初演の同名戯曲を映画化したもの(が、これ)で、それをブロードウェイでミュージカル化したのちに再映画化した(ややこしい)のが、かの有名な「マイ・フェア・レディ(1964)」。以前「マイ・フェア・レディ」を観た頃はまだ「1938年の映画を観るという選択肢」がそもそもなかったのですが、そういえば今なら余裕で観れるねとふと思って鑑賞しました。TSUTAYA DISCASにあります。 レンタルも配信もされてないような古い映画はそもそもどうやって見るねん、というところがあるかと思いましたので今後はなるべくリンク貼るようにしていきますね。観たい映画はほとんどある、信頼のTSUTAYA DISCASさまさまです。

あらすじ

マイ・フェア・レディ」と同じ。みすぼらしく口も悪い花売り娘のイライザを言語学の教授が淑女に仕立て上げていくお話。

びっくりするほど「マイ・フェア・レディ

もっとなんかこう、「原案」的な感じなのかなと思っていたんですよ。そしたら、びっくりするほどそのまんまでした。「マイ・フェア・レディ」からミュージカル要素を抜いただけ、っていう感じ。人物名はもちろん、シチュエーションやアングルまでほぼほぼ同じなんじゃないかというレベルです。そのうえ90分というコンパクトさ。「マイ・フェア・レディ」が3時間弱の長尺なので、観終わって真っ先に思ったのは「90分で出来るんじゃん!」でした(笑)

ここまで変わりがないのは、原作の完成度が相当高かったっていうことですよね多分。なおWikipedia等によれば「ヒギンズ教授とのハッピーエンド」というのは原作者ジョージ・バーナード・ショーの望むところではなかったそうで、しかし最初の舞台化の時点で既に(勝手に)ハッピーエンド要素を加えられてしまい、そのままのかたちで「マイ・フェア・レディ」に引き継がれるという、原作者にとってはなんともアレなお話。

本作でイライザを演じているのはウェンディ・ヒラーという女優さん。上がり眉タレ目がなんとなくイングリッド・バーグマンに似てるかな?というような、もちろん淑女になったらバッチリ綺麗なお方。ちなみにイングリッド・バーグマンとは「オリエント急行殺人事件(1974)」で共演していて、ウェンディ・ヒラーさんはあのちょっと不気味な老婆役でした。イングリッド・バーグマンと3歳しか違わないのにビジュアルの差がすごい…(あれは特殊メイク…?)。

170分の「マイ・フェア・レディ」と比較したときに「80分の差分とは」と思ってしまうほどこれ一本で十分に物語を堪能できる充実の90分なのですが、「マイ・フェア・レディ」の大きな付加価値というのはまあ言うまでもなくオードリー・ヘプバーンの存在っていうことで。やっぱりあの「最終試験会場」における圧倒的淑女感はヘプバーンのイライザが抜きん出ております。はい。カラーですしね(本作はモノクロ)。

歌は、正直そんな必要ない物語だなと本作を観て思いました。普通にお話がおもしろい。バーナード・ショーがすごい。なので、忙しい人向けの「マイ・フェア・レディとしても非常におすすめできます(笑)

(2018年202本目)