“ワンハリ”劇中に登場する映画「サイレンサー第4弾/破壊部隊(1968)」雑感
先日書いた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の記事、Twitterで多くの反響をいただき嬉しい限りです。いつもあんな濃度の高い記事を書いているわけじゃないんだけど……とややプレッシャーではありますが、お気楽な映画でさらっと流すことにいたしましょう。
というわけで「サイレンサー第4弾/破壊部隊」鑑賞しました。「ワンハリ」劇中でマーゴット・ロビー演じるシャロン・テートが観ていた、自身出演の映画です(原題:The Wrecking Crew)。
※本稿の前提となっている女優シャロン・テートおよび映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」については前述したこちらの記事に書いているので省きます。
この「サイレンサー」シリーズというのは全4作出ているようです。1作目は「サイレンサー/沈黙部隊(1966)」で、原作タイトルが「The Silencers」だったことから付けられた邦題。以降、シリーズ化された原作のタイトルは「The 〇〇ers」とサイレンスではなくなっていくのですが、なぜか邦題には「サイレンサー」がそのまま定着してしまった、のだそう。
内容は当時人気の高かった「007」シリーズを模したというかパロったスパイコメディもので、シナトラファミリーのディーン・マーティンが演じるジェームズ・ボンドならぬ「マット・ヘルム」が主役。ボンドガールならぬヘルムガール的にいろんな女の子が出るよ、っていう感じの映画です。たぶん。
で、その第4弾にあたる本作ではシャロン・テートが「ヘルムガール」。ただし全然ヘルムからは相手にされないドジッ娘の諜報員。それどころかひたすら邪険にされながらもヘルムとコンビで動くシャロンなのですが、あれっ、もしかしてこのコ、可愛いカモ…とミッションコンプリートの段で気付いたヘルムおじさんにシャロンが「召し上がれ(はあと)」で幕。
お察しいただけたかと思います、ものすごくどうでもいい映画です。「アウトオブ眼中だったメガネっ娘が、着替えてメガネを外したら超かわい子ちゃんだった」ってだけの映画です。しかもシャロンの変貌がすごすぎて気付かないレベルなんだな。あれじゃ映画館の係員も本人と気付かないわけよ。「グリース」を途中までしか観てない人の前に真っ黒なオリビア・ニュートン=ジョンが現れるようなもんよ。
なお「ワンハリ」劇中でも回想が被さってくるように、本作におけるシャロンの格闘シーンをコーチングしたのはまだスターになる前のブルース・リーなのだそう。と一応書いておきつつ、わたしブルース・リー映画は全く観ていない(のとあまり興味がない)のでこれ以上のコメントはできません。
こんな機会でもない限り絶対に観なかったであろう作品ですけども、タランティーノ監督の計らいで実際こうして「女優シャロン・テート」を観る人が増え、2019年にもなって本作の感想ブログが増え、わりと本当に「シャロンを墓から救い出す」ことができているのは素敵なことだなと思いました。映画のこういうところが好きです。
とはいえ、(先日観たもうひとつのシャロン出演作「ロマン・ポランスキーの吸血鬼(1967)」のほうは悲劇のヒロイン的なキャラクターだったため気になりませんでしたが、)こういう明るい役柄でのシャロンを見てしまうとやはり何ともやるせない気持ちになりますね。
(2019年91本目)
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