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主に映画の感想文を書いています

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018)

大根仁監督作品。韓国映画をリメイクしたものだそう。大根さんは原作ものリメイクものが多いですけど、とても好きな監督です。

去年の秋口ごろから監督のTwitterにルーズソックスの女子高生が現れ始めて、監督の撮る女の子に絶対の信頼を置いているわたしとしましては大層わくわくしておりました。もちろん公開日の劇場鑑賞です。

あらすじ

淡路島から東京へ転校してきた阿部奈美広瀬すずは、見たこともないようなド派手女子たちに囲まれ困惑していた。1995年。〝アムラー〟が増殖し、茶髪にミニスカ、ルーズソックスが女子高生のドレスコードだった時代である。そんな女子校に投げ込まれた天然記念物の奈美だが、黒髪の伊藤芹香率いるグループに受け入れてもらい、楽しい高校生活を送っていた。陽だまりの部屋を溜まり場としていた彼女らは、自分たち6人に「SUNNY」というグループ名をつけた。

2018年。奈美篠原涼子は結婚し、高校生の娘もいた。誰もがそうであるように、高校時代の仲間とはもう20年以上会っていない。母親の見舞いに病院を訪れた際、通りがかった病室の名札に目がとまる。「伊藤芹香」。20年ぶりに再会したかつての友人は、余命1ヶ月の末期ガン患者だった。芹香は奈美に「SUNNYのバカたちに会いたい」と頼む。

雑感

わけわからんほど泣きました。みんな気をつけろ!! 泣くぞこれは!!

ルーズソックスとソックタッチの時代を生きた特定の世代に刺さる系なのかな?と思ってたんですけど、そこはあまり関係なさそうです。もちろん、人生経験の度合いということではちょうどそのルーズソックス世代ど真ん中のアラフォーあたりに刺さるのは間違いないでしょう。ウリにしている90年代J-POPにしてもそうです。とはいえきっと普遍的に楽しめて、思い当たるところがあればうっかりボロボロ泣いちゃう映画です。50〜60'sアメリカンハイスクールものを普通に楽しめるのと同じ!

ジャンルとしてはそれこそタイムリーな「マンマ・ミーア!」に近いかなと。どちらかというと一作目のほうですけど。圧倒的眩しさでハートにオラオラオラァ!!!って感じの。「ダンシング・クイーン」で泣いちゃう勢は100%泣くやつですね。はい。どうぞお気をつけて。かと思えば交錯する時間軸の到達点には「おもひでぽろぽろ(1991)」的なものもあったりして。

まーとにかく、眩しい。90'sパートの女子高生たちが眩しい。わたしは86年生まれなのでルーズソックス全盛期は中学の頃でしたが、「このルーズ3日洗ってねェ」なボロ雑巾みたいなルーズとか、ド派手に書き込まれた汚ったない上履きとか、「〜〜〜!!!」って感じでした。ポスカとかさあ! ケータイもSNSもない、いい時代だったよね!!(懐古しちゃうぞ)

最初、母校にやってきた奈美が当時をフラッシュバックさせて久保田利伸に巻き込まれるあたりは正直ちょっとサムいかもと思ってしまって。でも、SUNNYの彼女らが出てきてからは、ただただその眩しさと魅力に心掴まれまくりでした。90'sキャストが本当にみんなよかった。ヒロインの星に生まれた広瀬すずは言わずもがな(篠原涼子寄せの表情がめっちゃいい)、芹香の山本舞香、奈々の池田エライザ、梅の富田望生、やっぱり女の子を撮らせたら大根監督の右に出るものはいない!

彼女らが見事にそのまま成長したような2018年キャストももちろん最高。なかでも芹香の板谷由夏さんが、おうつくしい……。かっこいい……。揺るがぬ圧倒的リーダー感。遺影になってあんなかっこいい人もなかなかいませんよ。そして篠原涼子(呼び捨てにしたい女優さんとさん付けしたい女優さん、あるよね)。わたし篠原涼子のトレンディな佇まいが苦手だったんですけど今作ですっかり好きになってしまいました。くたびれ感と可愛さのバランスは、きっと今の年齢だから出せるやつ。

劇伴担当は小室哲哉。安室ちゃんに始まり、安室ちゃんに終わる映画。まだTKの引退も安室ちゃんの引退も知る由のない頃に制作が始まった作品です。結果的にすごい記念碑のような一本が完成して、よかったなあと。そして忘れちゃいけない、本作のサブタイトルであり、一番の見せ場を作ってくれたオザケンの名曲「強い気持ち・強い愛」。複数回登場するうちのひとつ、広瀬すず出世作海街diary(2015)」を彷彿とさせるようなシーンもよかったです。

これ、公開に合わせて小沢健二オフィシャルが上げてくれてるんですよ最高じゃないですか。オザケンのBPM130前後は幸せすぎてヤバいんですよ。涙がこぼれてはずっと頬を伝うんですよ。じつはわたし今年5月に小沢健二@武道館行ってきまして。別段ファンじゃないのに誘われて行っただけなんですが、人生トップ5に入りそうなほどの超絶ハッピーなライブでした。もちろんこの曲でも歌い踊ってきました。なんかすごいなあ2018年。

笑えて泣けて、って言うとすごい陳腐な感じですけど、「笑えて泣けて」の極みみたいな映画でした。いろいろ洗い流しちゃいたい人におすすめです。

(2018年195本目 劇場鑑賞)