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主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

コンチネンタル(1934)

コンチネンタル THE RKO COLLECTION [Blu-ray]

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フレッド・アステアジンジャー・ロジャースという名コンビによる初の主演映画(前年の「空中レヴュー時代」もコンビで出演しているがともに主演ではない)。「コンチネンタル」とは劇中で使用される楽曲名で、原題は「陽気な離婚」。

あらすじ

税関で偶然出会ったミミ(ジンジャー・ロジャース)に一目惚れして猛アタックするガイ(フレッド・アステア)。しかし例によって「出会いはサイアク」だったため、なかなか相手にされない。

夫との離婚調停が進まずしびれを切らしていたミミは、弁護士の勧めで「見せかけの情事」をするべくリゾートホテルへ赴く。しかしよりによってガイが弁護士の友人として同行していたため、誤解に誤解が重なり大変ややこしいことになる。まあ、踊れば解決よ。

一作目らしい手探り感

忘れた頃にTSUTAYAディスカスが送ってくれたので観ました。アステアの出演映画はもう20本以上観ているのですが、ここにきてようやくこれです。まだ「アステア&ロジャース作品」としてのかたちが定まっておらず、よくあるストーリーではありながらも新鮮なポイントが多い作品でした。

まず、全体通して「ダンスの分量が手探り」という印象を受けます。最初に「ナイト・アンド・デイ」で踊るまで約1時間。そのあと「コンチネンタル」へと続くも、こちらはバークレー・ショット多用の集団技がメイン(あの「四十二番街」が前年公開です)。今となっては個人技を堪能できるイメージの強いアステア映画も、この頃はまだ何をメインに据えたらいいのか定まっていなかったのでしょうね。

本作はこの2年前にブロードウェイ・ミュージカルとして、やはりアステア主演(パートナーは別)で上演されています。自伝によれば当時のアステアは、幼い頃からのパートナーだった姉のアデール・アステアが芸能界を去ったことによる自信喪失で苦しんでいた頃とのこと。気持ちを入れ替えるために「ダンシング・レディ(1933)」で映画デビュー、本作が映画出演3作目となります。歌声がちょっとイメージと違う?と感じましたが、まだ舞台の発声法なのだそう。なるほど!

映画版でとても印象的だったのが、部屋の中を、床、イス、テーブル、イス、床、と流れるように移動していくアクロバティックなダンス。見るからに危なそうなこの動き、初見のはずなのに妙に覚えがありもしかして自伝で読んだやつかなと読み返してみたらやはりそうで、ブロードウェイ版からそのまま持ってきた「見せどころ」でした。

笑顔でやってますがものすごい危ないと思うんですよねこれ。ブロードウェイ版では時に失敗することもあったようですけど、骨折しかねないのでは…? ヒヤッとします。ジンジャーの衣装があまりドレッシーじゃないのも、スカートの巻き込み事故とかを防ぐためかなという気がします(衣装の苦労話はアステア映画あるある)。

ジンジャーの衣装はそのほか、「ナイト・アンド・デイ」での初ダンスシーンにおけるスカートの動きがとっても優雅。「情事」のために気合いを入れたネグリジェ姿も最高に可愛いです(モノクロで見るシルク感、好き)。ところで偽装とはいえ不倫という行為や「その道のプロ」を登場させる脚本、ヘイズコード(この年からだったみたいですね)的には大丈夫だったの??とちょっと心配になりました。あと、「気儘時代(1938)」までキスシーンを作っていなかったはずが、本作キスしてない??って思ったんですけど思い違いですかね。してたような…。

やっぱりアステア映画は毎回なにかしら書きたいことがたくさん出てきます。ストーリー自体はウン番煎じでも、常に「飽きられない作品作り」を心掛けていたアステアの努力はしっかり80年後にも伝わってます。書き切れませんでしたが、アステア&ロジャースのまさかのカーチェイスとか、「そんな簡単に求婚するの?!」のくだりとか、「人形」の伏線回収だとか、おもしろいポイント、唸るポイント多数の、濃い作品でした。

(2018年135本目)