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主に映画の感想文を書いています

TOHOシネマズで「風の谷のナウシカ(1984)」を観た

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新型コロナウイルスの影響ということになるのか、TOHOシネマズがジブリ作品のリバイバル上映を大規模開催。2020年6月末現在、ほぼ全館で『風の谷のナウシカ1984』『もののけ姫(1997)』『千と千尋の神隠し(2001)』『ゲド戦記(2006)』の4作品を観ることができます。

【訂正】これTOHOシネマズだけじゃないですね、全国のいろんな映画館で大体やってる感じですね失礼しました。しかもよくよく考えたらわたしTOHOシネマズで観てないですね(上げた画像で気付く。これはMOVIXだ)。狂ってんな! まあちょっと、いろいろ直すの面倒なのでそのままで……。

キャッチコピーは「一生に一度は、映画館でジブリを」。 確かに! ジブリ作品って意外と映画館では観ていない、そもそも生まれてない、物心ついてない、なんてことが多いですもんね。わたしもリアルタイムに映画館で観れたのは『おもひでぽろぽろ(1991)』と『風立ちぬ(2013)』だけだったりします(なんか極端)。

とはいえあまり行く気もなかったのですが、同じくリバイバル的に上映(正確には4Kリマスター版の新規上映)されていた『AKIRA(1988)』を観ている最中、これは……ジブリも行かなあかんな……という気持ちが湧いてきまして、まずは1986年生まれとして絶対に劇場鑑賞が叶わないはずの風の谷のナウシカから観てまいりました。考えてもみれば80年代の超名作アニメーションをスクリーンでハシゴできるこの贅沢……!

手抜き雑感

鑑賞直後のツイートに補足するスタイル、やります。ところで数日前から埋め込みの仕様変わってるみたいですね。字が大きくてあまりよろしくないですね。

マスクをしよう

ファーストインプレッションはこれでした。

いやこれほんと、今の時期に観ると多分そればっかり目に付きます。政府CMに使われてもおかしくないレベル。腐海に生きるもの同士シンパシーが生じる2020年鑑賞ver、ぜひお試しください。

最強ヒロイン

あらためて、ナウシカはほんっとうに魅力的。可愛くて、格好良くて、優しくて、強くて。仕えたい、命に代えて、死ぬまでお仕えしたい。キャラデザがいい、作画がいい、『AKIRA』の女性キャラを観た直後だとなおのこといい。

原作ほどじゃないけどクシャナも輝いてるし、男はユパ様で事足りてる。姫様に悪影響を及ぼしそうなあの少年は早急に排除せねばならない。製作側もそう思ったのか、人格の強いモブくらいの存在感に調整してくれててありがたかった(過激派)。

実写版クシャナ

初登場時からずっと脳内でこのキャスティングが決定していました。あ、椎名林檎さんです。ぞんざいな扱いを受けたいです。

すごく戦争映画だった

何度も観てるし原作漫画も一応読んでるし何を今更って感じなんですけど、こんなにずっと戦争してる映画だったのですね。そして巨神兵は抑止力だったのだなあとも。最近観たなかでは『ウォッチメン』のDr.マンハッタン的存在でもあるし、『AKIRA』のアキラ的存在でもある。抑止力づいている(抑止できたためしはないけど)(そういえば同年に公開された大林宣彦監督のアニメ映画『少年ケニヤ』ではそのものずばり核爆弾が……)。

巨神兵といえば、早い時点でかなり満たされてしまって、終盤に差し掛かってきた頃にはもはや「ここからさらに巨神兵出てくるんでしょ?? 豪華すぎない??」と戸惑うほどでした。骨までとろとろ巨神兵、好き。よくその状態で熱線出せるよな、っていう。身体の構造どうなってんの。

といった感じで、映画館でのナウシカ体験、いろいろ新しい受け取り方ができておもしろいと思うのでおすすめです(オープニングが『ミッドサマー』っぽいなとか)。『もののけ姫』以降も観るかどうかは、ちょっとまだ未定。

(2020年102本目/劇場鑑賞)

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原作漫画はだいぶ前に一度読んだきりですがとにかく凄かったということだけ覚えております。映画の内容は確かほんの序盤なのです。で、クシャナが映画より断然魅力的なのです、たしか。

大友克洋監督「AKIRA(1988)」を初めて観た

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TOHOシネマズにて、4Kリマスター版のAKIRAを観てきました。じつは原作含め全く初めての『AKIRA』です。いやはや、面白かった! 想像以上に凄かった! 「こんな作品が30年以上も前に作られたとは」などというありきたりな感想が、悔しいかな心の底から出てしまう納得の名作でした。

作品概要

1982年から刊行された漫画作品『AKIRA』を原作とし、原作者・大友克洋自らが監督を手掛けた長編アニメーション作品。東京オリンピックを翌年に控えた2019年の「ネオ東京」を舞台に、退廃的な(かつ実際に2020年を迎えてみたら皮肉にも現実世界と重なるような)物語が展開する。4Kリマスター版として6/25から全国のTOHOシネマズで公開中。

雑感

やっと『AKIRA』を観た側の人間になれた

例えば『レディ・プレイヤー1(2018)』でも「金田のバイク」に興奮しつつ観たことはない、そんな日々ともこれでおさらばです。今週の金ローでは堂々としていられます。やったね。

Tレックスキングコングに潰されかけながらデッドヒートするデロリアンと金田のバイク、期待した通りの「最高」を魅せてくれます。AKIRA」見たことないけど!レディ・プレイヤー1(2018) - 353log

というわけで全く初見の『AKIRA』感想いきます。

光が眩しい!

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冒頭から面食らったのが、光の眩しさ! 突き刺すようなバイクのヘッドライト、有名な「バイクズサーーーッ」における鮮やかなスパーク、ぬるっと流れるテールランプの軌跡、蛍光色にしか見えないネオンや機器の光etc...。こんなにビビッドな光の描写は見たことがないと思いましたし、すごく好きでした。

鑑賞前にこの記事を読んでいたので、そうかこれがこだわりの光かと納得。音も心地よかったです。IMAXで観なかったことを少し後悔しています。

色使いがアメコミ的!

ちょうど『ウォッチメン』の原作コミックを読んだ直後だったこともあり、特に序盤、混乱する街のシーンなどは塗りが非常にアメコミ的色彩だなと、すごく感じました。

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後世に大きく影響を与えた作品であるらしいにも関わらず前述の光やこの塗りの感じなどはとても斬新なものとして見れたのですが、フォロワーの人たちも「これをそのままやってしまうと丸パクリだから」とそこは我慢したのでしょうか。所謂エポックメイキングな作品に付き物の「後世から見るとありがちに見える」みたいなところが全然なかったのですよね。これが別格ということなのか……。

難解さとエンタメ性のバランス

攻殻』的な難解さで展開していくのかと思いきや、少年漫画的な、友情!バトル!って感じの方向へ進んでいったのが意外でした。あの老けた子供たちが出てきた時点で覚悟はしてたんですが、しかしすれすれのラインで難解にならずエンタメ性を保っている! あわや精神世界コースなんだけどぬいぐるみの愛らしさで絶妙にカバーしてる! すごい! みたいな。

鉄雄が力を得るまでの短い時間でキャラクター描写が十分になされているのも好感で(名作に向かって偉そうな)、末っ子扱いされていた彼がなにくそと仕返ししていく様は凶暴化してもなおカタルシスがあるし、そんな彼を最後まで見捨てない金田のいい奴っぷりにもグッとくるし、ていうか金田ってもっと硬派なキャラなのかと思ってたよ、ただ女のコとお茶したいだけの軽薄クンだったんじゃん、好き。しいて言えばケイがヒロインとしては薄い気がしましたが、そこは原作に描き込みがあるのかもしれません。

2020年の記念として

なんといってもこれです。2020年の東京オリンピック開催が決まってから一体どれだけ目にしてきたか分からないあの「看板」。ついに本物を見れた感慨は大きい。劇中ではさらに非常事態宣言まで発動されており、パンデミックをリアルに予想した映画『コンテイジョン(2011)』などと並んで、「今」観ることによってこそ特別な体験ができる作品の筆頭ですね。観れてよかった!

それとは関係ないですが本物というところだと、「さんをつけろよデコ助野郎」って元ネタこれだったの全く知らなくて、びっくりしました! なるほど、そういう文脈での「デコ助野郎」だったとは。もともとおでこの広いほうではあったが……。

エピローグ

ここはネオ東京だったのか……。

(2020年101本目/劇場鑑賞)