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映画「パーム・スプリングス(2020)」感想|缶飲料片手に観たいタイムループもの

劇場で観そびれていた映画『パーム・スプリングス』、アトロク年末恒例のシネマランキング番外編で北村紗衣さんがプッシュしておられたのでやっぱり気になる!と配信で観ました。ちょいと(わりと)ネタバレあります。


映画「パーム・スプリングス」ポスター
映画「パーム・スプリングス」ポスター


パーム・スプリングスとはアメリカ西海岸のリゾート地だそう。結婚式参列のためこの地を訪れた主人公は、謎のタイムループに迷い込んで延々と結婚式当日を繰り返します。抜け出す方法も見つからずひとり達観した「一日」を過ごしていた彼ですが、とある女性が同じループに突如参入。ふたりならまあ、単調な日々(いや一日か)も悪くないのかも?──

イムループものって繰り返しの物語なので、人生についての深イイ話になっていくのは必然です。本作も例外ではなく深イイのですがそれはさておき、ループからの脱し方を科学的に模索していく展開が面白い。時間だけが永遠にあるのをいいことに、どうするかというとひたすら学ぶんです、量子物理学を。そして最終的に脱出条件をはじき出す。これ別に、そのくだりが後半のメインであるとかではなくほんの数分の、映像だけでさらっと見せる部分なのですけど、こんな面白いアイデアをこんなさらっと終わらせちゃうのもニクい。映画的飛躍も最高。

学びを深めることでラスト明らかに性格の変わってる彼女よかったし(シビアなのかと思いきや「そこは感嘆符じゃねーのかよ」みたいなウィットがあるのもよい)、永遠のセーフハウスを手放す瞬間、本編最後の台詞もよかったな。こういうちょっとしたことを、うわあという高揚感と共に見せてくれる映画マジック。たまりませんね。あと、おうちで鑑賞される場合はビールとかコーラとか、プシュコッできる缶飲料を用意しておくのがおすすめです。プシュコッしたくなりますので。

(2021年225本目/U-NEXT)