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主に映画の感想文を書いています

「新生スースク」のルーツにあるトロマ映画「悪魔の毒々モンスター」「トロメオ&ジュリエット」を観た

「トロマ映画」をご存知でしょうか。わたしはご存知じゃなくて、てっきりトンマ映画とかマヌケ映画みたいな蔑称かと思っていたのですが、正しくは映画会社「トロマ・エンターテインメント」の作品を指す言葉、つまり「マーベル映画」みたいなもんだったのでした。

B級要素のある映画が語られる際に出てくる率の高い、この「トロマ映画」というワード。直近では『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(2021)』を評するのに誰もが使っていたワードであり、宇多丸さんは「100億円かけたトロマ映画」と言っている。とにかくジェームズ・ガン監督のルーツにあるのがトロマ映画であると、そういう認識です。これは観ておかないとですね(なんて思わないほうがいいです、善良な市民の皆様は)


映画「悪魔の毒々モンスター」ポスター
じゃーん/映画「悪魔の毒々モンスター」ポスター


悪魔の毒々モンスター(1984

一発目はこちら。トロマ映画といえばこれらしいです。原題はいくぶんかシリアスなニュアンスの『The Toxic Avenger』ですが、この強烈な邦題が付いて以降、トロマ映画が日本に渡ってくる際のタイトルは大方「悪魔の毒々なんちゃら」になっている模様。

ストーリーは、いじめられっ子の青年がモンスターになって復讐するという王道のもの。しかし設定の全パラメーターが正気の沙汰ではありません。「いやァおれ新生スースク大好きだしタランティーノとかロドリゲスみたいなやつ好きなんスよ〜」という人でも十中八九ドン引きすることでしょう。「いじめっ子」をここまで極悪に描いた映画はきっと他にない。タランティーノやロドリゲスがかわいく思えてくる。もちろん新生スースクも。

ただ、超露悪的演出のなかに良心もしっかり見えているのがまた特徴でして。無心でどうにか観続けていると最終的にはなぜか深イイところに着地しやがります。まあ『新生スースク』もそうでしたけど、落差が比じゃない。一体なんだったんだ。

なお本作は『ゲーム・オブ・スローンズ』のティリオンことピーター・ディンクレイジ主演でリブート製作が決まっているとか。マジかよ。ただのいい話になりそう。

トロメオ&ジュリエット(1997)

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こちらはなんと、共同脚本にジェームズ・ガンのクレジット。Wikipediaによれば「監督(クレジット無し)・脚本・製作総指揮・出演」とのことで、そう、『新生スースク』ジェームズ・ガン監督の初仕事がどうやら本作のようであります。

一見毒々しくないタイトルですが、隠しきれていないトロマが嫌な予感ですね。ちなみにトロマ映画は街の名前が大抵「トロマヴィル」らしく、徹底した世界観の構築という意味ではディズニーをも凌駕するのかもしれません。

でまあ本作、言わずと知れた超名作ラブストーリーを下敷きとしておりますので当然セックスに溢れております。『悪魔の毒々モンスター』も十二分に溢れてましたが。こんなの観てるところ親に見られたら勘当されるでしょうね。一人暮らしでよかった。一人でも自分に引く。

かろうじてヒロインが結構可愛いのでどうにか最後まで観れて、またなんか深イイ感情に支配されて、いや明らかにインモラルなんだけどまあいいや。

以上、人生経験でした。おすすめはしませんが世界の広さを見たい方はぜひ。トロマ・エンターテインメント社のWikipediaにも「鑑賞の際には寛容さが必要である」と書いてありますのでどうか皆様ご鑑賞の際はその旨ご留意の上。

あとこれ、TBSラジオアフター6ジャンクション」で組まれた関根勤江戸木純が生語り!『トロマ映画』大特集」がめちゃめちゃ(トークとして)面白かったのでこちらは単純におすすめです。

トロマ映画の大ファンを公言する関根勤さんは、『悪魔の毒々モンスター』シリーズ2作目(4作目まである)『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く(1989)』に出演までされているそうで、本当はここまで観ようと思ってたんですがちょっと体力が足りなかったですね。

なおトロマ映画を観てみたいという方、U-NEXTにたっぷりあります。そもそも上記の特集も突如U-NEXTが「トロマの27作品を独占配信」するとかいう「狂った偉業」を見せたことから組まれたもの。現在は少し減っていますが、それでも十分すぎるほどのラインナップです。

またそんなことよりも、トロマエッセンスを程よく入れた*1ジェームズ・ガン監督最新作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の出来がとにかく素晴らしいので未見の方はそちらからご覧ください。その上で「本物のトロマ」が観たくなりましたら自己責任でどうぞ。

(2021年143・144本目/U-NEXT)

*1:くらいの感想になる。原液をかぶった後だと。