「ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018)」雑感
グザヴィエ・ドラン監督の新作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』を観ました。主演は『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのキット・ハリントン。そう、何も知らないジョン・F・ドノヴァン。
あらすじ
ジョン・F・ドノヴァンが死んだ。テレビドラマで人気絶頂の俳優だった彼は、これからという時に薬物の過剰摂取で突然この世界からいなくなった。彼には、死の直前まで文通をしていたルパートという少年がいた。ジョンの死から10年後、ジョンに憧れた少年は追いかけるように役者の道へと進み、インタビュアーにジョンのことを話し始める。
雑感
刺さる人には刺さるのだろうけどわたしには刺さるところのない作品だった、というのが主な感想。映像や音の質感はすごく好みだったんですが、肝心の内容に興味が湧かないままの2時間、でした(ひどい)。
物語の中心になっているのは母と息子の物語×2編で、身もふたもないことを言ってしまうとわたしがそういうお話に共感できない、感動的なシーンでも「へえ」となってしまう人間のため、そこが致命的に合致せず。逆に「これは自分の映画だ!」と打ち震えてしまうぐらいの人も一定数いるだろうなと思いながらの鑑賞でした。
そんななか、大人になったルパート青年の言葉にはいくつか響くものがあって、終盤に言う「僕はこの解釈を信じることにした」という言葉が特にいいなと。多感な頃に影響を受けたあれこれとの関係はなるべく都合のいいものにしておきたいものです。あの歌詞のあの部分、文脈は無視してあの一節だけを座右の銘にしている、とか。そういうやつ。
序盤のほうで彼がインタビュアーに対して怒る「贅沢な悩み」についてのことも印象的。貧しい国の恵まれない子供達に比べたらスターの悩みなんて「贅沢」なのか、じゃあスターは悩んじゃいけないっていうのか。みたいな話だったような気がしますが(序盤にして記憶が曖昧)。「悩み」はあくまで主観的なもの。はたから見て「贅沢な悩み」であっても人は死ぬのです。
母と息子の物語がクローズアップされてなければもうちょっと入り込めてたお話かもしれません。
(2020年43本目/劇場鑑賞)
もし本作で初めてキット・ハリントンを知ったという方は、彼にとっての「ヘルサム学園」である大人気ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』もぜひどうぞ。本作と同じファーストネームのジョン・スノウという役で、全シーズンに出演しています。ていうかジョン・スノウの死と生、…おっと。 この記事も、最終シーズンのことを加筆しなきゃなと思いつつ。