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Netflixドラマ「センス8」最終回まで観た感想&キャラ語り

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このキービジュアルみたいな絵面が普通に本編のワンシーンであるところ(そしてこんなのが頻発するところ)もセンス8の不思議な魅力のひとつだと思う。

Netflixで配信中のドラマシリーズ『センス8(Sense8)』を観終えました。この作品は2015年から2018年にかけてリリースされたもので、全2シーズンと約2時間半の「最終回」で成っています。

今でこそ圧倒的シェアのNetflixですが、考えてみると2015年なんてまだ日本でのサービスが始まったばかりの頃です。意外と知られていないドラマなんじゃないかと思います。

その魅力についてはシーズン1を観終えたタイミングでふんわりと語っていますので、あわせてお読みいただくとして──

今回は「最終回」まで完走したところで、あらためてネタバレも含めいろいろ書いていこうと思います。



最終回までの総括

過剰に過剰を重ねた大団円。しかしそれだけじゃ終わらせないお約束の大乱◯。シーズン1の頭と対になっているプライドカラーのアレ。いやあ、いいグランドフィナーレでした。

前回の感想で散々騒いだ「エモ散らかし」はシーズン2本編だと少し落ち着いた印象。シーズン1が「もしかして〜」「私たち〜」と終始ふんわりエモエモしていたのに対し、シーズン2ではストーリーの本格始動&もうちょっと現実を見てる感じ、だったのかな。

見どころは何と言っても、終盤にかけてクラスターたちがリアルに集結していく展開。やっぱり「生」に敵うものはない、っていうのはやや皮肉でもあり、でも真実でしょう。圧倒的に心強いもん。実際にいる!!って。いやまあ映像的には何ら変わらないのだけど、積極的に騙されていきたい。

結果的にこの「オフ会」は最終回「パリ編」ときれいに繋がっていきます。おそらくは「一カ国で撮る」という予算削減の策でもあるのでしょうが、物語の流れとしては最高にエモい状況なため全くそんな大人の事情など感じさせず。むしろこれぐらいでちょうど良かったのではと思えるような畳み方になっていて、まったくこんなところまで奇跡的なんだから。

人肌SFの不思議

考えれば考えるほどおもしろいのが、この作品って一応かなりSFなのだけど、サイバーな要素は皆無なつくりにしてあって(人肌SFとわたしは名付けたい)。例えばクラスターたちの「面会」などは思いっきりVR的なのだけど、あくまでホモ・センソリウムの能力ということであってテクノロジーは感じさせない。

またクラスターたちがBPOに捕捉されないようブロッカーを飲んでいるのは、『攻殻機動隊』で言えば電脳をハックされないよう攻性防壁を使うようなもの。ウォシャウスキー姉妹も間違いなくそのイメージで創っているはず。しかしやはりこちらにも『攻殻』的サイバー感は皆無。

次から次へと背景(居場所)は変わっていくし、人が出たり消えたりする。複数出てきたりもする。撮影どんだけ手間かかってるんだよと、気が遠くなる。なのに、何故かほとんどSFという感じはしない。うーん、不思議。おもしろい。


LGBTQを描いた作品として

いきなりちょっとアレなことを書くと、わたしは男性同士の密な交わりというのはわりと苦手なほうで。バディ尊い的な、いわゆる腐女子的な目線は持てるのだけど、行為に及ばれちゃうとアウトみたいなところがあって。

だもんでこれまでも映画やドラマにおけるそういう展開、描写は苦手だったんですよね。でも不思議なことに、本作のリトとエルナンドはすごく愛しく思えて。男性同士のラブシーンでもしかしたら初めて素直に「よかったねえ」と思えたかもしれない(ダニエラの存在もまたいいのだ)。

ついでに女性同士というのも、こちらは好きなのだけど、とはいえ一線くらいは引いてる感覚があって。本作のノミとアマニタも最初はそんな距離感だったのだけど、いつしか本当の愛を見たというか。最終回は涙、涙、ですよ。よかったねえよかったねえ。

とにかく、LGBTQを描いた作品は数多あれど『センス8』は一番わたし的に「しっくりくる」作品だったという話です。

キャラ語り

恒例、はみ出し雑感も含めて。紫の字はセンス8のクラスター。は非クラスターのパートナーなど(抜粋)。はその他関係者。

  • ライリー
    • ざっくりニットの似合うロンドン娘。このドラマを観続けてみようかなと思えた最初のきっかけ。わたしが女だったら絶対あの髪色にして青のワンポイント入れる。目立つスキルがないため後半存在感が薄くなっていったのはやや残念。
  • ウィル
    • 早い段階からライリーとリアル面会してしまっていた男。『ゲーム・オブ・スローンズ』的にいえばライリーとウィルがデナーリスとジョンのポジション(一応の主人公ポジション)になるだろう。ジョン・スノウ同様、特に思い入れはない。
  • リト
    • 好き。マッチョなのに、なんだろう、あの守ってあげたい感。泣かないで〜〜ってなる。やっと掴んだ大切なオーディション(あれはダニエラがすごいんだけど)にサンが割り込んできたときは、やめたげて!!ってなった。
  • エルナンド
    • 惚れさすインテリ。上にもちょっと書いたけど、リトとエルナンドは多分わたしがフィクション世界で初めて心の底から受け入れられたゲイカップル。プライドパレードでのスピーチは落涙ものだったし、ハリウッドの波打ち際のシーンなども最高に美しかった。
  • ダニエラ
    • 最初の数話でおさらばなカノジョかと思いきや、まさかそんな展開があるなんてと最初非常に驚いた。この三人組はものすごーく好きである。見ていて幸せになる。彼女の存在がわたしにリトナンドを受け入れさせてくれたのかもしれない。
  • ノミ
    • 性転換手術をして女性になったためいわゆるオネエ的な感じでは全くなく「ただの女性」として存在しているのがキャラ造形としてすごくいいと思う。人一倍理性があってすごく人間的で、最も感情移入しやすかったキャラクター。
  • アマニタ
    • 理解がある。しっかりしてる。ていうかこのカップルは二人とも本当にしっかりしてる。一番長く協力してくれた非クラスターなので、クラスターたちが集結するシーズン2のラストで一緒だったのはとても嬉しかった(最終回ではダニエラたちも来てたけど、その直前ではアマニタだけだったはず)。
    • バグも忘れてないよ! クリスマスのエピソードよかったよ!
  • サン
    • キャストのなかで唯一役者の名前を知っている。そう、ペ・ドゥナ様。前半ずっと獄中リモート参戦ウーマン。武術でみんなを護る半面、彼女を護るためにもみんなが集結しがちで誇らしい。ただ、やたらと下着姿or下着同然の露出度なのがやや不満。もうちょっと着せたげて。
    • 韓国エンタメ界的な余談としては、シーズン1の4話で一瞬だけ雑魚く登場するマブリーことマ・ドンソクや、獄中さらに脱獄後まで心強い味方だったユン・ヨジョンといった豪華ゲストが嬉しかった。わざとらしくフレームインするCJ社屋とかも可笑しい。サン脱獄直後の団地アクションは『ほえる犬は噛まない』オマージュだったりするのだろうか。
  • ムン
    • サンとムン、太陽と月なのか?(今ふと思った) さておき彼は一応早くから登場はしているのだけど、終盤の展開はそこだけ韓国ドラマ!って感じの強引さでさすがに笑えた。サンのこともまだそんなに深くは知らないはずなので、それにしてはクラスターと馴染みすぎでちょっと違和感があった。
  • ヴォルフガング
    • いい男。すぐ脱ぐ。ドイツには銭湯があるんだね。思い入れはあるのだがこれといってコメントが出てこない。フェリックスとのバディ感がとてもいい。フェリックスかわいい。幸せになってほしい。
  • カーラ
    • 頼れる薬剤師(カプセルの薬ってああやって作るんだ)。最も信心深いキャラのはずだが、最も倫理的に際どいことをやっていた。最終的に至った結論がまたクレイジーヒンドゥー教は一夫多妻制じゃないみたいだから一妻多夫も当然アウトよね? それはともかく、本作はカップルのかたちがきわめて多様でおもしろい。
  • ラジャン
    • ほぼ一貫していいひとである。正直、カーラが彼を選べない理由がいまいち分からない(ときめかないのは仕方ないけどさ)。ウォルフガングと一緒でもいいので幸せになってほしい。
  • カフィアス
    • シーズン2でだいぶイメチェン。あえて全く似せないキャスティングなのがよかった。カフィアス絡みのストーリーは打ち切り感が否めず、まだまだ続く予定だったんだろうな。
  • ウィスパーズ
    • 一番どうでもよかった。
  • ジョナス
  • アンジェリカ
    • サーセイ・ラニスターに似てるなと思いながら見てた。

最後の3人書かなくてもよかったのでは。

もっといろいろ感じているのだけど

なんか全然書ききれなくてモヤモヤする。ほんと、何とも言い難い、稀有で不思議なドラマでした『センス8』。これはカルト的に愛されるタイプの作品だと思います。出会えてよかった。

なお今はですね、サンのセカンドキャリアを見よう!ということで同じくNetflix配信のこちらは純粋な韓国ドラマ『秘密の森』を観ております。同時期のぺ・ドゥナさんで髪型も同じ。ジャンルは刑事もの、かな。またそのうち書きます。