映画館で「アイリッシュマン(2019)」を観た
年末年始で『アイリッシュマン』を映画館へ観に行こう、なんて思っていて気付いたら連休最終日。これはいかんと行ってきました立川シネマシティ。今年もお世話になります。
補足しておくと『アイリッシュマン』はNetflix映画なので基本的には劇場公開なし。一部の劇場でのみ限定的に公開されています。Filmarksによれば2020年1月時点での公開劇場は全国で11館とのこと。シネマシティも今月9日まで。まだの方はお急ぎくださいませ。(この記事、5日に書いてたのにすっかり放置してしまいました。公開終わってしまう…)
作品詳細は一度記事を書いているので割愛しますが、やっぱりこれは映画館で観たい映画だったし、映画館で観れて本当によかったです。1時間近く待たせてから満を持してアル・パチーノが現れたときの「おおっ」というどよめき、映画館ならではの体験。
前回の鑑賞後にはスコセッシ監督の『グッドフェローズ(1990)』や『カジノ(1995)』などを観て、ロバート・デ・ニーロとジョー・ペシへの思いも遅ればせながら深めました。本作の何がよかったって、世代的にストライクではないパチーノ、デ・ニーロ、ペシといった大御所たちを近しく感じられるようになったことです。リアルタイムで新作を観たわけですからね。不謹慎だけど例えばデ・ニーロが亡くなったとして、今ならかなりショックを受けられる。ちょっと前だったら「そうか、あのデ・ニーロ死んじゃったんだ」程度だったはず。こっち側のそういう終活?もあるよなと思います。
原作を読んでいたがゆえのキャストへの違和感だとかが2回目ではパスされたので、今回は純粋に物語を追うことに集中できたし、前回気付かなかった細かい部分に注目することもできました。折り返し地点を過ぎて「フランク・シーラン感謝の夕べ」が開催されたあたりからはっきり見えてくる運命、そこに向かっていく様がとにかく切ない…! 「スパニッシュ・アイズ」が流れるダンスシーンでは思わず涙。こうした没入感はやはり映画館ならでは。
同場面でフランクは「君を支持するよ、最後まで。」とホッファに言い、「もはやどうやっても運命は変わらないからお前に頼む」とラッセルはフランクに苦渋のペンキ塗りを託す、このへんも2回目だとより深みがあって…。彼らならではの最大級の友情とリスペクトを全身で感じる時間でした。単純な話じゃないのよ…。魚臭い車に乗り込んだホッファとやけに長いハグを交わすフランク、そんなワンシーンだけで無限に泣けるのよ…。
史実に向かって淡々と時間が進んでいく(のをただ見せられる)このドラマ性、さらに映画としての噛みごたえや手触りは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)』とも非常に共通するところだなと思いました。この2本がある2019ってすごいです。Netflixでも観れますが、ですが、機会があればぜひ映画館でご堪能ください。
(2020年3本目/劇場鑑賞)