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「ブラック・クランズマン(2018)」雑感

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『スカイウォーカーの夜明け』からの『マリッジ・ストーリー』、これは新春アダム・ドライバー祭りの予感。昨年観そびれたままだった『ブラック・クランズマン』を観ました。

あらすじ

1970年代アメリカ。地域初の黒人警官となったロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、手始めにKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)の捜査を始める。白人のふりをしてKKK支部に電話をかけると案外気に入られ、すぐにでも会おうということになった。しかし黒人のロンが行くわけには当然いかない。そこで彼は同僚の白人警官フリップアダム・ドライバーと組み、電話はロン、対面はフリップという二人一役でのスリリングな潜入捜査を試みる。

タイトルは「黒人KKK団員」という意味になり、本来「あり得ない」話。原題の『BlacKkKlansman』には「KKK」が隠されている。

雑感

エンタメ作品でありながらセンシティブな題材を扱い、ただの観客としてはいられないようにしてくる作り。以前すごく衝撃を受けた『ドリーム(2016)』と似た印象の映画でした。

何が複雑って、まずコメディとして面白いので、普通に笑ってしまうんですよ。白人を装って電話口で黒人ヘイトな発言をしまくる黒人の主人公。白人相手に面白おかしく黒人英語をレクチャーする主人公(「ハッ!」)。彼がまたきわめて強者な態度を崩さないから自虐も全て痛快だったりして。

そしてアダム・ドライバー演じる同僚の白人警官。彼はいい奴なんですが、KKKと対面したら不本意な黒人ヘイトをぶちかまさないといけなかったり、おまけに「ユダ公」のヘイトまで振りまかなければならなかったり。KKKってユダヤ人の迫害もしていたんですね、知らなかった。で、この白人警官はユダヤ人という設定なんですよ。これ主人公より彼のほうがしんどいな。

とまあ、こう書くとしんどい映画にも見えるんですけど、実際は軽めで思わず笑ってしまうようなテイストなので困るんです。面白いんだけど自分の立ち位置困るな、どの立場で笑ってるんだろう、っていう。さらにそれがラストで極端なまでに提示されて、「お話じゃ、ねーんスよ」と言い捨てられる感じ。冒頭で出る「この映画はマジでリアルな話がベースだ」の真意は、史実じゃなくて今の現実を指してるのかなと。マジでリアルに今もこんな感じだぜ、と。

そんなことをいろいろ考えさせられる、いい映画でした。最後の部分、わたしはとても好き。や、好きではないけど。あり。

(2020年2本目/PrimeVideo)

ブラック・クランズマン (字幕版)

ブラック・クランズマン (字幕版)

  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: Prime Video
ブラック・クランズマン

ブラック・クランズマン

このテーマ曲かっこいい(次のトラックもめちゃめちゃかっこいい)。