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いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(2017)

f:id:threefivethree:20160427222500j:plain 職にあぶれた優秀な研究者たちが合法ドラッグ製造販売に手を出しちゃったところから始まるドタバタなイタリアン・コメディ「いつだってやめられる」3部作の完結編です。先日観た「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」の続編になります。

3部作というと2作目で少しウェットになったりするものですが、このシリーズは3作目にしてややシリアスな展開に。ここまでの「底抜けに明るいブレイキング・バッド」とはちょっと違ってきます。(とはいえ、アリアの裏で脱獄するような「どっかで見た系」なので決してシリアス一辺倒ではありません笑)

時系列は前作よりもさらに複雑になり、えっそんなところまで戻るの!という伏線回収?っぷりが見ものです。これもしかして3作とも全部同時期に撮ってるのだろうか…と思ってしまうくらいには(実際そうならそれはそれで全然いいんですけど)細かいところまで回収していきます。ちょっとナメてたなあ。

「イタリアの社会問題に対する風刺の効いた作品」ということで、この完結編ではその部分のメッセージ性も強くなっていました。この問題については全然知らなかったのですが、公式サイトにある文章がとてもわかりやすかったので抜粋して転載します。

2009年にギリシャで始まった欧州危機はイタリアにも拡大、ユーロ圏の深刻な不況はローマの大学研究者たちにも影響し、収入はカットされ、職を追われる者も続出。才能ある者たちは次々と海外に稼ぎを求め、研究者の海外転出は“国の頭脳流出”とも言われ、大きな社会問題にもなった。本作は、そうした学究の道に進めなかった研究者たちが、その才能を思いがけない方向で生かすという痛快な風刺コメディだ。

「首席の学者がゴミ収集員」という記事が、イタリアの新進気鋭の監督、シドニー・シビリアの目に留まったのが発端だった。高学歴で優秀な頭脳を持つ人たちが、能力に見合った職を得ることができず、社会の片隅に追いやられ、その頭脳を使って犯罪に手を染め復讐し始めたらどんなことになるのか?監督が、自身も映像分野でキャリアを積みながらアルバイトで生計をたてた経験を持つ一人として向き合ったテーマだ。
日本でも大学への助成金や、研究機関での研究開発予算の削減がニュースとして飛び交っていて、まるで人ごとではないテーマである。


映画『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』公式サイト

確かに日本でもよく目にする話題ではありますが、それをこんなコメディに昇華できるイタリア映画、さすが…。軽快なコメディとしても隠れた社会派映画としても楽しめる、とてもおもしろい3部作でした。

(2019年20本目)