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主に映画の感想文を書いています

NY旅行記【1日目⑦ 現地の知人宅を訪問】

NY旅行記16本目。この記事の続きです。 前回までのあらすじ:ブルックリンを南下して橋ツアーを続けた353。現地に住む知人宅へと向かいます。観光色薄め、文字数多め、写真少なめ、です。

青春18きっぱーを侮るべからず

ヴェラザノ・ナローズ橋の最寄り駅からたった2駅だけ戻った"77 Street Station"が、知人宅の最寄りだった。ヴェラザノ・ナローズ橋へ行きたかったわたしは、はじめて住所を聞いてGoogleMapに入力したとき「神かよ」と思った。都合とアクセスが良すぎる。なんなら知人宅最寄り駅からも橋は見えていたくらいだ。

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公衆電話もあるが、LINEで電話した。便利な時代だ。

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治安の良さそうな、閑静な住宅街。この素敵な飾りつけはThanksgivingのものらしい。指定された住所のあたりまで到着して再度電話をする。目と鼻の先とはいえ、アパート(日本でいうマンション)なのでここから先は案内してもらわないと辿り着けない。

「角のところに立ってる? 白いスニーカー? うん、わかったわかったー。そのまま、いま女の子がふたり出てきたところから入って! Danielが行ってるから〜」

視界の範囲にそれらしき人がいないため、どこから見てるんだろうと不可解に思いつつも無事迎え入れてもらった。

お邪魔したお宅は、DanielさんとShioriさん、赤ん坊Lucasくんの三人家族。あと二匹の猫ちゃん。知人にあたる日本人のShioriさんは、こっちに住むDanielさんと結婚してブルックリンへ移住してきた人だ。10年ほど前に家族でオーストラリア旅行をしたときShioriさんの英語堪能なお兄さんがサポート役で同行してくれたりもしたくらい、わたしの家族とは関わりが深い。

話したがりなわたしの父親は彼女と「メル友」で、今度息子が行くんだ云々をベチャベチャと話していたらしい。まあそんなこともあって、せっかくなら会いに行こうと旅程に組み込んだのである。これで顔も見せないのはちょっと失礼だし、心細いだろうから知ってる顔に会って日本語を使えるのは気持ちが休まるだろうし、と思った。

自分でも渡航の数週間前からShioriさんと連絡を取って、会う日程などを決めた。お互い都合の良かったThanksgivingの日に決まったのだが、その日は祝日ダイヤだし、初めてのNYで自力でこっちまで来るのはハードルが高すぎるからホテルまで車で迎えに行くよと言ってもらった。しかし、それは避けたかった。よっぽどでない限り、自力の地下鉄移動で行きたかった。

せっかくのご厚意をお断りしてしまった以上しっかり着かなければならないので「あんなこと言っちゃったけど大丈夫かしら」と不安ではあったが、そこは鈍行列車に乗り慣れた青春18きっぱーである。まったくトラブルなく、まったく日本と同じ感覚で着いた。任せてくれという感じである。

Thanksgivingの夕げ

初めての海外ひとり旅でいきなり人様のおうちに上がらせていただくというのはかなり贅沢なプランだと思う。ホームステイでもない限り普通はホテルと観光地の往復だろう。ラッキーだった。

海外だからという先入観で土足のまま上がろうとしたが、この家では靴を脱ぐスタイルらしい。「履いたままのときもあるよ〜」と言っていたので、ホテルぐらいの感覚だろうか。そういえば日本でもホテルだけは土足でなんの違和感もないよな、などと今更不思議に思ったりもした。

「すっごい甘いよ」と言われつつ、ホットのシードル的なものをいただく。シナモンスティック入りで、ホイップクリームまで乗っている。ずっと氷点下だったので沁み渡る。確かにすっごい甘いが、幸せこの上ない味だ。二杯目は念願のコーヒーをもらった。STOP利尿作用!でだいぶ長いこと飲んでいなかったコーヒー。旅行中の一服的なコーヒーが大好物なわたしは、それだけがこの旅におけるわずかなフラストレーションだったのだ。

「何にする?」とコーヒーの種類を山ほど言われて「あ、何でも、楽なやつで…」と思わず日本人の回答をしてしまったが、「こっちの人は、遠慮とかゼロでほんとに各々飲みたいものを事細かにリクエストしてくるのよ」だそう。コーヒーメーカーが乗った棚の大きな引き出しをガラッと開けると、大量の、本当に大量のカプセルがごちゃっと入っていた。みんな必ず違うものを要求するこっちの需要には非常に適したものらしい。

そう考えると、事細かにリクエストできるスタバみたいなシステムはこっちの人にとってきわめて自然なのかもしれない。

暖かい家のなかは、身体がソファと同化してしまいそうに快適である。ニューヨークは雪国なので、北海道などと同じく冬の屋内はしっかり暖かい。ものすごく優しいDanielと、シャイボーイで可愛いLucas、空気感だけで眠くなる。ちなみにShioriさんは臨月。しょっちゅう「あ〜産まれそう産まれそう」とお腹をおさえていたのでもしかしたらもうLucasはお兄さんになっているかも。

まだ人見知りしているLucasとの距離を縮めるべく、Danielがウクレレやベースを持ってきてくれた。「きらきら星」が好きだというLucasに弾いてあげる。なんか喜んでくれている。うれしい。この後徐々にLucasは懐いてきてくれた。楽器は万能。

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よそのおうちなのであまり写真は上げないが、とってもいい雰囲気である。夕飯に先行して前菜的なものを出してくれていた。奥に見える肉巻きは、豚バラでデーツ(なつめ)を巻いてオーブンで焼いたもの。つい食べ過ぎてしまう美味しさ。デーツってこういう味だったのか。職業柄シナモンスティックやデーツなど扱うことはあるのだが、味わったのはいずれもこの日が初めてだった。

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そうそう、さっきの「どこから見てるんだろう」問題、あれは家に上がってすぐ判明した。このとおり、笑ってしまうほど大量の監視カメラ映像が居間のテレビに映っていたのだ。えっ、こっちではこんなんがメジャーなの?!とびっくりしたが、理由は簡単、Danielがこのアパートの管理人だったのである。なるほど、管理人権限。さすがに普通の家でこんなに見れていたら何かを疑う。

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そうこうしているうちに夕飯が完成。時間が比較的早めだったのでお茶くらいかなと思っていたのだけど、かなりしっかりと食事を準備してくれていた。とてもありがたい。何より、Thanksgivingの日はレストランなど営業していないことが多く、食いっぱぐれるのではという心配があった。この日に人様のおうちで食卓を囲めるというのは最高のタイミングだ。お祈りをして、いただきます。

厳密にいうと宗派的な関係で、ShioriさんのおうちはThanksgivingのお祝いをする習慣はない。だが、苦笑しながら一品ずつ説明してくれたメニューはいずれも「Thanksgivingの一般的な定番メニュー」だそう。メインの肉料理だけは、ターキーにしてしまうと完全にThanksgivingなのでラムにしたらしい。このラムがとっても美味しかった。ラムなんて普段食べないので、とにかく美味しかった。

写真で奥のほうにある白いやつは、オレンジ色の芋(さつまいもではなかった)で作ったスイートポテトの上に大量のマシュマロを乗せてオーブンで焼いたもの。すっごい甘い。「すっごい甘いよね、でもデザートじゃないの、料理なのよ…」とやはり苦笑するShioriさん。

f:id:threefivethree:20181123055342j:plain:right:w200食事中、ちょいちょいLucasが車を持ってきてくれる。いや、車はいらないね…。あとでね、あとでね! アメリカの子供はさすが、ニューヨーク警察のパトカーや救急車、イエローキャブやスクールバスなどのおもちゃで遊ぶのである。乗れるタイプのでっかい“マイカー”も3台ぐらいあった。リッチ。

Shioriさんは、アメリカ人と日本人のハーフであるLucasをバイリンガルに育てようとしているらしい。素晴らしいな、羨ましいなとは思うのだが、食事の前に聞こえた「ほらLucas、ごはんeat eatするよ!」というルーリンガルには首を傾げた。ルーカスのルーはそのルーか。

当初は早めにお暇しようと思っていたものの、居心地の良さに結局すっかり暗くなるまでのんびりさせてもらった。なんならLucasの号泣鼻水吸引イベントやお風呂にも付き添った。Lucasのお風呂はDanielの担当で、Shioriさんが入れたことはほとんどないと言う。

そろそろお暇、というところで寒そうなわたしを見かねてか、なんとユニクロのウルトラライトダウンとニット帽をプレゼントしてくれた。超ありがたく頂戴した。レディースのSが着れる体型でよかった。これによりわたしの本日の防寒装備、フリース+ウルトラライトダウン+Pコート+スヌード+ニット帽+手袋、ということになった。

Lucasがお別れのキスをしてくれた。こっぱずかしくてお返しはできなかった。少しの時間だったけれどもはや名残惜しい。またいつか会えるといいのだけど。

外に出ると、あれだけ着込んでもなお寒い。氷点下はダテじゃない。歩道沿いの窓から三人が見送ってくれた。ここはブルックリンで、アメリカなんだよな、と、駅への道を歩きながらすごく不思議な気持ちになった。とてもそんな気はしないのだ。

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今日はもうこれでホテルへ戻る、予定。

次回、初日最後のひと足掻き。やはり直帰はしなかった。ブルックリンからの夜景編です。