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主に映画の感想文を書いています

NY旅行記【1日目⑥ トラボルタも黄昏れた橋】

NY旅行記15本目。この記事の続きです。 前回までのあらすじ:ブルックリンへ上陸し、歴史ある橋たちを堪能した353。橋ツアーはもう少し続きます。そしてこの日は旅程中で唯一、人と会う約束が!(というところまで書くつもりが、書ききれなかったのでまた持ち越しです)

消極的コミュニケーション

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

マンハッタン橋の撮影スポットでモリコーネのサントラでも聴いて感慨にふけろうかと思っていたが、ちょいと観光客が多くてそんな感じでもなかったので立ち去る。日陰は寒いし。

このあとはブルックリンのさらに下のほう、ベイリッジまで行く。Rラインの通る駅に向かって歩いていると、日本人の目からはアメリカ人にしか見えないような白人女性グループに「ダンボってこっち?」と声をかけられた。なぜ、超ド級の日本人に訊くのか。

ダンボとはおそらくさっきの撮影スポットのあたりである。が、自信はなかったし何よりその手に持ったスマホのほうが正しい道を教えてくれるだろうと思ったので昨晩ぶりの「I'm not sure」を発動した。ごめん〜〜このへんの人じゃないから自信ないです〜〜という精一杯の申し訳なさは出した。よい旅を。そもそも方向感覚ゼロマンで逆に迷惑をかけそうなので日本でも道案内は基本しない。

ふと思ったのだけど、わたしは歩くのが速い。なるべくスタスタと歩いていきたいタイプである。マップで位置を確認しつつも、さも自信ありげな顔で一目散にスタスタ歩いているため、もしかしたら観光客っぽくないと見られたのかもしれない。だとしたら名誉だが、生憎まだニューヨーク滞在20時間といったところである。

ふと思い返してみると、既に4回も街中で話しかけられている。ニューヨーク、おそろしいところ。

地下鉄修行

ひとまずの目的地である駅"Jay Street Station"へは、そこそこ歩く。これといって雰囲気のある道のりでもないが、天気がいいので十分に楽しい。

はじめ渡るタイミングの掴めなかった横断歩道は、信号が白なら進む、オレンジなら止まる、カウントダウンが出ることもある。日本では細めの道だと信号がついていない傾向にあるが、こっちではどんな道にも信号がついているイメージ。そのかわり細めの道では信号がオレンジでも車がいなければ無視して渡るのがこっち流らしく、すぐ慣れた。郷に入れば、の代表的な例。

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f:id:threefivethree:20181123025309j:plain:right:w200"Jay Street Station"到着。乗りたいのはRラインだが、プラットホームを経由して行けと書いてある。入ってしまって大丈夫だろうかと少し不安になりつつ、まあ日本でもこういうパターンあるよなと改札を抜ける。

ベイリッジ方面のホームを歩いていると、Rライン階行きと思われるエレベーターがあった。ためらわずに乗る。メザニン、観劇のときだけ使う単語かと思っていたがこういうところでも使うのね。それくらい何も知らない。が、すっかりたくましくなっている実感はある。

エレベーターは無事Rラインのホームに着き、乗るべき地下鉄もちゃんと来たので一安心。Rラインはローカル線だとこれから訪問する知人が言っていた。確かにこのタイプの古い車両しか走っていなかったかもしれない。

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台湾とかもこういう車両のイメージなのだけど、いまいちメリットの分からない配置である。「膝のぶつかりそうな席」が特に謎である。

トラボルタを追いかけて

これから向かおうとしているのはヴェラザノ・ナローズという橋だ。他の有名な橋に比べると知名度では劣るが、ニューヨークシティマラソン(この少し前に開催)のスタート地点であったり、映画「サタデー・ナイト・フィーバー(1977)」でジョン・トラボルタがデートをしていたりする場所だ。

サタデー・ナイト・フィーバー」にそこまで思い入れがあるわけでもないのだが、この橋のシーンは妙に印象的であり、NY行きを決めたとき真っ先に場所を調べたところのひとつでもあった。少なくとも地図上ではマンハッタン島から極端に離れたこの場所、さすがにチャレンジしすぎかと思ってもいたのだが、このあと訪問する知人宅が運命的にそのすぐ近くだったのだ。行くしかない。

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橋の最寄り駅"95 Street Station"はRラインの終着駅。別段大きな駅でもなく、改札は回転扉タイプだ。日本の改札人口密度だったら間違いなくミンチになってしまうだろう。ちなみにニューヨークは公共施設の回転扉率がきわめて高い。

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なんとなくイメージするブルックリンっぽさのある茶色い街並み。並んでいる車は渋滞でも信号待ちでもない、ただの路駐だ。ニューヨークではどこも整然と路駐がなされている。車はピシッと並んでいるのに全て無人なため、夜中などに通ると死んだ街みたいに見えてなんとも不思議な感じである。どうやら日本と違って法的に路駐OKな道が多いらしい。

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Thanksgivingの連休に来たからか、スクールバスを見たのはこのときが最初で最後だった。アメリカといえばスクールバス。本物だ〜、とうれしい。

さて、しばらく歩いていると大きな橋が見えてきた。ヴェラザノ・ナローズ橋。ブルックリン島とスタテン島を結ぶこの橋は、アメリカで最大の吊り橋らしい。想像していた大きさよりは一回り大きそうな感じが遠目にも伺えて高揚する。

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到着した。興奮した。とにかく、でかい。長い。サンフランシスコの有名なゴールデンゲートブリッジも憧れの橋のひとつなのだが、これはじつにそれを凌ぐ大きさの橋だということでスケール感がすごい。語彙力がなくなる。とにかく想像していたより数段、唖然とするようなものだった。基本的に橋のオーラは写真だと伝わらない。

昨晩のマンハッタンぶりにキャパオーバーしそうになっているが、風の強さもその要因。荒ぶる水面と、海風。ここに長くはいられなさそうだ。海風と言ったけれどこのへんはハドソン川という捉え方もできるらしい。とはいえ河口も河口なのでほぼ海だと思う。

すっかり書くのを忘れてしまいそうだ。そう、トラボルタね。「サタデー・ナイト・フィーバー」の1シーンがこちら。

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このシーン、大事なのはベンチである。デザインは違うが現存する。

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ここで橋のうんちくを語るトラボルタを想いながら、しばし座ってみる。風が強すぎて1分もせず立ち上がった。デートには向かない。

ともあれ、来れてよかった。ここは来るべき場所だ。非常に満ち足りた気持ちで、しかし寒いので小走りで橋を去る。そろそろ約束の時間、ふたつ隣の知人宅最寄り駅へと向かう。

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一般的なタイプの地下鉄入り口。青い球状のポールが付いていれば入れる。赤なら出口専用。

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階段の先はこれぐらい暗いことも多い。降りれば普通に明るいのだが。

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この駅は終着・始発駅なので、こんな感じで車両がスタンバイしている。冬仕様なのか、ドアは一車両一箇所ずつ、それも片側のみ開けているというスタイルだった。日本のローカル線みを感じる。

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帰ってきてから地下鉄の話をすると、「ニューヨークの地下鉄ってすごいんでしょ?」と言われることが多かった。自分も含め、想像しているのはこういう感じじゃなかろうか。確かにこういう感じではあるのだけど、どんどんきれいに、安全になっているようで、感覚としては日本の地下鉄とそう変わらない。ちょっと薄暗いかな、ちょっと急発進急停車かな、という程度である。

次回、今度こそ知人宅へ。旅は順調なのに旅行記は遅延してばかりです。