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主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

シェイプ・オブ・ウォーター(2017)

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

珍しく、映画を公開日に観ました。なので一応、ネタバレあります

なお、待ち焦がれていたというわけではなく、ファーストデーで丁度いい時間にやっていたから、というそれだけの理由で鑑賞。以下つらつらと書きますが、つまるところすごくよかった!です!

そこそこ話題の作品ということで、概要はなんとなく知っていました。手話で話す女性、エイリアン的な生命体、生命体と恋に落ちる女性、解剖されそうになる生命体、などなど。で、実際のところ、いま挙げた点についてはまったくその通りなのです。「意外」な要素は既に殆どネタバレされており、蓋を開けてもそこに新たな意外性というのはないと言ってもいいかもしれません。なのにおもしろい。なぜだろうなーと、考えながら感想を書いていきます。

とりあえず娯楽作

もうちょっとなんかこう、深く考えさせられるような映画なのかと思っていたのですが、一回観た感想としては「めっちゃわかりやすい、娯楽作だったな」てな感じです。娯楽としての映画の役目を全うしてる作品だと思います。普通にハラハラドキドキ、キュン…!です。お隣さんとの関係なんかは、オシャレ娯楽作こと「アメリ(2001)」っぽかったり。夜中の清掃員と強奪劇の組み合わせは、時代設定的にも通じている「おしゃれ泥棒(1966)」っぽかったり。

ちなみにわたし全然知らなかったんですけど、「パシフィック・リム」とかの監督なんですね…! 全然イメージが違う…(まったく観たことないので勝手なイメージです)。まあでも、わかりやすい娯楽作になってる理由はわかったような気がします。

映像よし、音楽よし。

冒頭、水にたぽんと沈んだイライザの部屋、そして印象的な音楽。もうこれだけで掴みはOK。素晴らしい導入ですね。冒頭以降もたびたび登場するメインテーマ的な音楽、すごくよいです、好きです。この音楽が好みだったらこの映画は好きになれると思います。個人的には、穏やかな部分は「いつも2人で」、怪しげな部分は「暗くなるまで待って」、いずれも1967年のヘプバーン作品で使われているマンシーニ楽曲っぽいな〜と感じました。


水が引いてイライザの一日がスタート。起床し、ゆでたまごを仕込み、タイマーをかけてからお風呂でアレに勤しみ、靴を磨いて、バスに乗って出勤。そのルーティンを丁寧に小気味よく見せてくれるのがクセになります。

全体を通して「キャロル(2015)」などを思わせるような、古き良きアメリカを美しく切り取った映像表現で、とても素敵です。これもまた、この映像の質感が好きだったらもう十分に元は取れてしまう作品かと。(なお、研究所内はディズニーのアトラクションみたいなフィクション感強い美術でまたよい。ディズニー配給だったら海底二万マイルあたりのリニューアルでアトラクション化してもらえたのでは…笑)

悪役のわかりやすさ

手を洗ってから用を足すタイプの「悪役」ストリックランドが、とにかくわかりやすい悪役でよいです。指はアレだし、常にバリボリ音立ててキャンディーやら薬やら飲んでるし。悪役ではないですが、最近観た「女神の見えざる手(2016)」の主人公スローンもやたら小気味のよいサウンドで薬をバリボリしてるキャラで、そこが印象に残ってます。現実ではそこまで聞こえないであろう、少し誇張した生活音の音響効果、好きです。

サリー・ホーキンスが乙女

ヒロイン、サリー・ホーキンス演じるイライザ(この名前は「マイ・フェア・レディ(1964)」から来てる説が有力のよう)。予告などで観たときはどちかかというと異常な風貌にすら見えていたんですが、実際観てみるとすごい可愛かったです。んもう、乙女。驚異の密閉力を誇るバスルームで生命体と「一緒」になってたのを見られちゃったときの目つきがたまりません! 観終わってからは、この映画のヒロインは彼女しか考えられないですね。

喋ることはできない設定のため、字幕だと英文と和訳が顔の近くに出ます(吹き替えだとどうなってるんだろう。同じかな?→追記:そもそも吹き替え版はなかった模様)。演出的な例外を除いて彼女の声を聞くことはできないのに、これだけ魅力的なヒロインを演じられているのはすごいです。また、感情の高まった彼女が「手話を読んで!」と怒ったところから、手話への字幕が出なくなるシーンがあります。これにはハッとさせられました。印象的なシーンです。

生命体は…どうだろ

あの生命体(不思議な生きもの、っていう役名なんですね)についてはこれといったコメントが意外と思いつかない(笑) まあ、猫食っちゃあダメですよね。それはあかんて。

日本の特撮が大好きな監督さんということで、円谷系の怪獣映画のようなものだと思って観るとまた違う見方ができるかもしれないです。より「しっくり」くるかもしれません。ウルトラセブンとかでありそうな世界観だもの。

ところでこの作品、カットしてもさほど問題ないようなどうでもセックスシーンでモザイクかかってるんですけど(冒頭からいきなりサリー・ホーキンスさん全裸なのでイマイチ線引きがわからない)、ふと思う。「ドラゴン・タトゥーの女(2011)」と本作の共通点、「モザイク」と「猫」。すごくおもしろい映画なのに、猫好きにはオススメできない…。

これは触れておきたい

終盤にとても印象的なシーンがありますが、そこでいきなり「踊るニュウ・ヨーク(1940)」オマージュ的な世界に飛ばされるのめっちゃ興奮しました。

追記:調べてたら、あのシーンは「艦隊を追って(1936)」のほうだったことが判明! なんと、セットまで完全に同じだ…! アステア作品はもう20本くらい観てるのですがこの作品はまだ観てなかったので非常に悔しい思いです(笑)(さらに追記すると「踊る〜」も正解だったらしいです)

この部分以外にもタップのシーンが多く出てきて、隠れミュージカル映画なんですよね。嬉しい想定外。アステア作品のオマージュは最近ブームが来ているように思えて、にわかとしては非常に嬉しいのです。

そんなわけで、最初に書いた殴り書きからいろいろ書き直して再投稿。いまのところ、今年に入ってから映画館で観たなかでは一番ストライクな作品でした!

(2018年39本目 劇場鑑賞)