- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2002/11/08
- メディア: DVD
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あらすじ
お騒がせなカリスマ女性シンガー、ローズ。控えている故郷凱旋公演を終えたら一年間の休みが欲しいとマネージャーに申し出る彼女だったが、強く説得されて考えを改める。凱旋公演に至るまでのツアー行程と人間模様、ロックスターの不安定な感情をリアルに描いた作品。
雑感
「The Rose」があんな落ち着いたバラードなのでしっとりした作品を想像していたら、ジャケットを見た瞬間「いや、違いそうだな」と(笑) 一応ジャニス・ジョプリンをモデルとしたフィクション作品らしいですが、どちらかというと完全ノンフィクションな「ローズ」のドキュメント、という印象を強く受けました。
というのも一番の理由はまずライブシーンの説得力。主演のベット・ミドラーの歌唱力と、アテフリではないバンドの演奏、多分あれ実際にその場で演奏して歌ったものを録っていると思います。一度ライブが始まったら1〜2曲はしっかりノーカットで見せてくれるので、普通にライブビデオを観ている感覚になります。「When A Man Loves A Woman」がとても好き。
最初こそ「このパッとしない顔のねーちゃんがスターなの…?」と疑わしく思ったものの、鏡の前でスイッチを入れていく姿、「いいかい、今日はマザーファッカーだけは言わないでくれよ」と念押しされてからの「マザファカーーーーーーーー!!!!!」、そして圧巻の歌唱とカリスマMC、ワキ毛に黄ばんだ歯、うん、スターだ、と納得。オーディエンスもリアルなんですよ。頭の上に片手を乗せたままフロアで立ち尽くしてる女性客が一瞬映るんですけど、あれわかる!! スタンディングのライブで我を忘れてああなることある!! 超わかる!!
ローズの心を救済してくれる謎のタクシードライバーが登場してしばらくはとても楽しい映画です。特にオカマバーで居場所にすっぽり収まったローズは、本当に楽しそう。彼を怒らせてしまったときでも、ニューヨークに銭湯なんてあるんだ!っていう(笑) とにかく彼がいる間は落ち着きます。そのぶん、彼を失ってからの悲壮感がつらい。電話ボックスのシーンは一番つらいですね。あの頃のロックスターって誇張じゃなく結構ああだったんだろうなと。
野外の凱旋ライブはスタジアムの使い方が今とだいぶ違っておもしろかったです。実際ジャニス・ジョプリンも全く同じようなスタジアムライブをやっていたようで(画像はジャニスのもの)。これはキャパ調整ということになるのかな? 観やすくてよさそう。
映画の終盤にあたるこの野外ライブ、歌えないんじゃねーのというコンディションで歌い上げる曲がまた素晴らしくて、しかしまだ歌われていない「The Rose」はこれから歌うのか…? 今度こそぶっ倒れそうだけど歌うのか…? みたいな、本当にライブを観ている感覚でした。結局エンドロールだったわけですが。ローズが「The Rose」歌ってる姿、見たかったなあ。ベッド・ミドラーが歌ってる映像はあるけどイコールではないし。ローズで見たかった。それほどの没入感。
ドラムに関して
本作でローズのツアーメンバーをしているドラムのペンティ・グラン(Pentti Glan)さん、バスドラの向きがものすごい個性的なんです。縦置き?横置き?なんて表現したらいいのかわからないけど、初めて見ました(画像は本作のもの)。
カクテルドラムみたいにビーターの動きを改造したペダルで下から踏み上げてるようですね。この件について触れてる記事、沢山あるかな?と思ったら全然見つからなかったので、解決にはなっていませんがとりあえず「なんじゃこら」と言及しておくことにします。
舞台である60年代当時ちょいと流行っていたセッティングなのか、それともペンティ・グランさん独特のものなのか。ひとつだけ同じセッティングをしている、おそらくご本人の写真があったので、後者なのかな…? 何か情報お持ちの方おられましたら教えていただけると嬉しいです!
そんな面からも楽しめる映画でした。普通に音楽映画として、ブルース寄りのロックが好きであれば特におすすめです。
(2018年183本目)