デヴィッド・フィンチャー総指揮のNetflix作品「ハウス・オブ・カード」「マインドハンター」紹介
台風一過の朝に書いています。ギンビス…じゃないハギビス。前触れ通り、物心ついてから一番の怖さでずっとNHKに釘付けでしたが、疲れるので途中からドラマ消化に専念しました。
というわけで、「セブン」「ファイト・クラブ」などのデヴィッド・フィンチャー監督が製作総指揮をつとめるNetflixオリジナルのドラマシリーズ2作についての記事を。いずれもNetflixで現在配信中。核心に触れるネタバレは書いていないつもりです。
デヴィッド・フィンチャー監督
「セブン('95)」「ファイト・クラブ('99)」「ゾディアック('07)」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生('08)」「ソーシャル・ネットワーク('10)」「ドラゴン・タトゥーの女('11)」「ゴーン・ガール('14)」など、代表作の枚挙にいとまがない監督。
個人的には「ドラゴン・タトゥーの女」が非常にフェイバリット・ムービーです。登場する犯罪が猟奇的で、画面の色温度が低い、フィンチャー作品というとそんな印象。そしてそこが好き。
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フィンチャー作品もう全部観ちゃったな〜という方でも、もしかしたら盲点かもしれないドラマ作品をご紹介します。
ハウス・オブ・カード 野望の階段(2013〜2018)
順番的には「マインドハンター」を先に観ているのですが一応こちらから。なおまだシーズン1を観終わったところ(6まである)なので、さわりをご紹介、程度。
ときは現代。ワシントンD.C.を舞台に、下院議員である主人公のフランク(ケヴィン・スペイシー)がホワイトハウスへのし上がろうとする物語。少なくともシーズン1では。先は知りません(笑)
政治ものなので小難しそうにも思えるんですが、特徴的な演出として主人公フランクが所謂「第四の壁を破る」スタイルでこちら側に“戦況”を説明してくれるので分かりやすいです。策略なら策略と知った上で、うまいなあ…と舌を巻きながら観れる感じ。
魅力は何と言っても、まあ残念ながら現実世界では堕ちてしまったケヴィン・スペイシーの名演。目標到達率の高い彼の言動は、姑息なのに説得力があって格好良い。上流階級の会話劇を愉しむドラマです。
しばらく観進めてからふと思ったのは、これって現代を舞台にした「ゲーム・オブ・スローンズ」だなと。ただし主人公フランクはリトルフィンガーかヴァリスか、そっち側の人間。フィンチャー的に言えば、そこに「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットが忍び寄ってきて…、みたいな展開。
第一話アバンタイトル、フランクがこちらへ語りかけます。「持ちつ持たれつ、それがワシントン」。くぅ〜!おもしろそ〜! おもしろいです!おすすめ!
マインドハンター(2017〜)
こちらは現時点での全2シーズン(未完結)を完走済。一週間弱で観ちゃいました。
舞台は1970年代のアメリカ。FBIに新設された「行動科学課」の初期メンバーたちが、連続殺人犯のプロファイリングに挑むお話。決して華やかなチームではなく、半ば厄介者として地下室に追いやられた2名の捜査官から物語は始まります。
原作はノンフィクション小説。まだ犯罪者のプロファイリングというものが実用的とは思われていなかった時代に、心理学なんてそんなもん、とFBI内部でも冷ややかな目を向けられていた行動科学課。彼らは刑務所を巡り、「ゾディアック」のような連続猟奇殺人犯と面会しては記録・分析を重ねていきます。
それだけと言ってしまえばそれだけの、じつに淡々としたドラマではあるのですが、こちらもやはり特筆すべきは会話劇。特に殺人犯との面会時に流れる緊張感、所謂サイコパス的な一見穏やかな人物と対峙するときの一触即発感、ただならぬものです。
加えてFBI内部での縛りも強く、地上階の上司に呼ばれるたびこちらまで胃がキリキリします。内部捜査のくだりとか、当事者のように嫌な汗かいたもんな…。ぶっちゃけ疲れるドラマです。でもおもしろいから観ちゃうんですけど。
仮面だらけの「ハウス・オブ・カード」と違い、人間くさい人間がたっぷり出てくる人間ドラマなので、1シーズン観ただけで感情移入はばっちり。また映像の質感も素晴らしく、新品ピカピカだった頃の“70年代レトロ”なアイテムが個人的にはツボでした。OPで超フィンチャー的に舐めまわされるオープンリールのレコーダーとかね!
シーズン1ではプロファイリングの確立に向けた奮闘(「シリアルキラー」という言葉が誕生する瞬間も)、シーズン2ではプロファイリングを実戦に投入していく挑戦が描かれます。獄中のチャールズ・マンソンに面会するシーンがあるのですが、演じているのはなんと「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でマンソンを演じたのと同じ俳優さん。そんなタイムリーな楽しみ方?もできます。おすすめです! 続きが早く観たい!
ドラマシリーズは検索等でネタバレを踏みやすいためご用心ください。特にハウス・オブ・カード!(何かを踏んだらしい)