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「ヘレディタリー/継承(2018)」雑感

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まもなく公開『ミッドサマー』のアリ・アスター監督が2018年に公開した作品。ホラーです。ちょう怖いです。出演は、最近『ナイブズ・アウト』で観たばかりのトニ・コレット、新生『ジュマンジ』シリーズのスペンサー役アレックス・ウルフ、ほか。

あらすじ

祖母の死から始まる、とんだ血筋の物語。

以下、直接的なネタバレは極力避けてます。

雑感

話題作『ミッドサマー』の公開を週末に控え、重い腰を上げてようやく観ました。めっっちゃくちゃ怖かった。これまで観たホラー映画のなかで一番怖かったかも、ってくらい。でも同時にすごく面白かったです。

まず掴みが個人的に超ツボで。ホラー映画にしては意外と映像がきれいなんですよ。窓の外の青々とした風景が映って、そのままカメラがぐるっと室内を向いて、するとミニチュアの家、ドールハウス的なものがいくつも映ります。これめっちゃオシャレなんです。そしてカメラはぐるりと回り続け、ある大きなドールハウスの正面で止まると、今度はそのむき出しになった一室に向かってズームしていって……えっこれもしかして、というオープニング。最高。大好き。

そこからしばらくは、まあ不穏な音こそ流れてはいるもののそんなあからさまに怖い感じではなくて、あ、これはいけるなと。よくよく考えると怖い、みたいなそういうやつでしょと。結構安心してしまうわけです。が、しかし。とんでもねえ事態が突如発生。なんてこった、こんな振り幅をもつ映画なんだ、何されるか分かったもんじゃないと、一気に背筋が伸びて凍ります。

そっからがもう…。何度「ひ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」と声を上げたことか。特に終盤、ああもう本当にこれ特大のものすごいやつ来るでしょ、死ぬでしょこれ、無理でしょ、ってなる箇所があるんですよ。ジェットコースターで最初の急坂をカタカタカタ…とゆっくり上っていく感じのが、終盤にあるんすよ。殺してくれ〜〜〜。

そのシーンでわたしは考えました。よーく思い出してみろ、これは映画である、と。ということは、人が作為的に生み出した恐怖なのだぞと。つまりこのシーン、手前にはカメラマンがいてだな、いいねいいね〜怖いねウヒヒとかほくそ笑みながらレンズを向けているわけよ。そんなの本気で怖がっちゃって、かわいい。わたしかわいい。玉のような子だ。そうとでも思わないと心臓もたないくらいに怖かったですね。はい。

これ嬉しかったのが、鑑賞後にライムスター宇多丸さんのムービーウォッチメン該当回を聴いていたらですね、宇多丸さんもまさに同じことをしていた!という。

クライマックスから怒涛のようにたたみかけられる異常事態の連続に、本当にもう、「勘弁してくれーっ!」となること必至だと思います。僕、本当にここらあたりで、「これは俳優が演じている映画なんだ! この光も照明で、カメラマンさんがここにいる映画なんだっ!」って思いながら見るので精一杯でした(笑)

宇多丸、『ヘレディタリー/継承』を語る!【映画評書き起こし2018.12.7放送】

多分これ、同じシーンだと思うんですよ(笑) もうまさに「勘弁してくれーっ!」っていう畳み掛けがあるんで…。まあでも結局こう、いかに本気で怖がれるかというのがホラー映画のエンタメ度に直結しているわけで、面白いホラー映画ってのは本作のようなものを言うんでしょうね…。ジェットコースターも絶叫すればするほど結果的には楽しいですもんね…。

とそんなところで、ナメてかかったら結果どえらい怖い思いをする羽目になったけど楽しませてもらったなあ、すごかったなあ、という感じの映画でした。とにかく怖い!でも面白い! よって非常におすすめです。未見の方は『ミッドサマー』公開のタイミングでぜひどうぞ! ただし絶叫マシンを「結果楽しめない」タイプの人には向かないかもしれません。

はみ出し雑感

  • よく言われているように、お母さんことトニ・コレットさんの怖がる顔が怖い。『シャイニング』のお母さん的な。彼女で一番ゾッとしたのは、やっぱり「あのジオラマ」作ってるときかな…。

  • ミニチュア好きとしては、全く予想外にミニチュアづくしだった本作、(あくまでミニチュアという要素だけに対して)終始わくわくできて非常によかったです。

  • 実際の家のほうも全てセットとして作られたものだそうで、等身大なのにミニチュアのように見えるシーンなどはまさにドールハウスよろしく壁を取り外して撮ったとか。二重三重に…という感じでゾクッとします。

  • お兄ちゃんのアレックス・ウルフが新生『ジュマンジ』のスペンサーだということに結局最後まで辿り着けなくてモヤった。確実に知ってる顔だけどなんだっけ…! いやあ彼、本作ハマってましたね。

  • 妹ちゃんがよ、マジでやべえよ。あの流れだと「最恐のおばあちゃんっ子(コッ)」という展開を予想するところだけどそう単純にはいかないのがニクい。あのシーンは…最低最悪に悪趣味だった…。トラウマである。

  • 最後まで理性を失わないお父さん、ありがたい存在でした。

  • この映画を先に観ていたら、去年頻繁に流れてた『トイ・ストーリー4』の予告で毎回背筋が凍ったに違いない。同じ曲、流れます。

  • 間一髪エピソード。ホラー映画だし、真っ暗も怖いからLEDのキャンドルライトつけて観よっかな〜、なんて思いつつ結局つけずに観たんですけどね。もしつけてたらと思うと、怖すぎてちびってたかもしんねえ。あとついでにうちの部屋、三角屋根なんですけど。ひ〜〜〜〜

  • アリ・アスター監督、まさかの同い年。ひ〜〜〜〜

(2020年27本目/PrimeVideo)

ヘレディタリー 継承(字幕版)

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  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Prime Video
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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2019/04/19
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厳重に閉ざされた「完全解析ページ」がおもしろいです。映画の公式サイトであんなシステム使ってんの初めて見たしブラクラかと思った。

さーて、『ミッドサマー』が楽しみですねえ…。→観ました。