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主に映画の感想文を書いています

タランティーノを観よう⑤「ジャッキー・ブラウン」「パルプ・フィクション」

タランティーノを観ようシリーズ、最終回です。

ジャッキー・ブラウン(1997)

ジャッキー・ブラウン [Blu-ray]

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パルプ・フィクション」と「キル・ビル」シリーズの間に挟まる、3本目の作品。主演のパム・グリアさんはわたし存じ上げなかったのですけども、70年代に大活躍されていたスター女優とのこと。

タランティーノにしては「普通の映画」っていう感じでした。無駄話、引き伸ばし、唐突なバイオレンス等のタランティーノ印がないわけではないんですが(ある)、全体的には落ち着いたトーンで、なんならトレンディ。

印象的だったことがいくつかあって、ひとつはまず音楽がいい。OPからめっちゃアガりますもん。これ最強に面白い映画くるんじゃないか?って思わせてくれます。OPとEDに共通して使われているのはボビー・ウーマックの「Across 110th Street」という曲で、超かっこいいです。

それから、ザ・デルフォニックスの「Didn't I (Blow Your Mind This Time)」。こちらも劇中で度々、レコードプレイヤーやカーステレオから聞こえてきます。とろけそうにおしゃれ。

なんとなく落ち着いた映画に感じられるのは、曲のチョイスがソウルミュージックに寄せてあるからかもしれないですね。気に入っちゃって、観たあと何日かボビー・ウーマックデルフォニックスはAppleMusicでずっと聴いてました。

印象的だったこと、もうひとつはサミュエル・L・ジャクソンがワルい! タランティーノ作品のサミュエルで一番ワルいと思います。なんだその髪型。またそれに対してロバート・デ・ニーロのザコさ。歴史に残るザコ・デ・ニーロです。

(2019年106本目)

パルプ・フィクション(1994)

これは初見じゃないですが、もうすっかり忘れてそうなのと、観た当時はタランティーノ作品とか意識してなかったはずなので、「タランティーノを観よう」の仕上げとして。箇条書きでどうぞ。

  • ハニー・バニーは菅野よう子に似ている。というのは以前観たときも思ったことだけどやはり思った。顔立ちと髪型と声が似てる。ちなみに菅野よう子プロデュース時代の坂本真綾には「Honey Bunny」という曲がある。

  • ハニー・バニーの本名はヨランダだと終盤の強盗シーンで分かるのだけど、フレッド・アステアの映画に「ヨランダと盗賊」というのがあるのよね。小ネタだったりして。(参考: ヨランダと盗賊(1945) - 353log

  • 似てるといえばブッチの彼女も安達祐実に似てる。というか安達祐実だと思って見てた。今見ると脚の撮り方がタランティーノ・エロス。

  • ミアがユマ・サーマンだったのは初めて知った(笑) この後の「キル・ビル」のほうがあどけない新人女優みたいに見えてしまう不思議。印象的な黒スーツは「ジャッキー・ブラウン」から「キル・ビル」まで延々使い回されたらしい。なぜ。

  • ミアがオーバードースを起こしてしまうシーン、なんであんな極端なことに、と以前は思っていたのだけど、コカインとヘロインの違いなのだということを今回ようやく理解した。使用方法も丁寧に説明されていたのね。薬物まわりの描写が細かくて深い…。

  • 「キャッチ・アップ」で笑ってしまって悔しい。たしか初見時も笑ってしまって悔しがった記憶がある。

  • タランティーノ扮する「ダチ公」ジミー、これも初見時はタランティーノ本人だなんて知るわけもなく。喋り方がひじょ〜に怖くて良い。タランティーノがっつり主演の映画とか観てみたい。

  • ブッチのくだりは比較的退屈。あれのおかげで映画三本分くらいの記憶に分割される感がある。バスルームでブッチが見せる「局部見せない芸」はお見事かつ楽しい。

  • ラストシーンでジュールスが「努力してる」と言っていた。連想するのはもちろん、「ワンハリ」でクリフが二度言う同じセリフ。ここにルーツが。

  • めっちゃ朝活な映画やん、って思った。

パルプ・フィクション」、まだそんなに映画好きというほどでもなかった頃にTSUTAYAでジャケ借りしたのをよく覚えています。この頃同じくジャケ借りしたのは「時計じかけのオレンジ」「アメリ」など。なかなか引きがいい。

ハンバーガーが食べたくなる映画なのは分かってたので、あらかじめマックでチーズバーガーを2種ほど贅沢に食べてから観ましたよ。クォーターパウンダーがまだあればなお良かった。と観ながら思った。

(2019年111本目)

というわけで、クエンティン・タランティーノ監督作品10本(キル・ビルを1本扱いにすると9本) 全部観ることができました。どの作品もそれぞれにコンセプトがあり、違った楽しみ方ができてとても楽しかった。と同時に、分かりやすく共通するタランティーノ印があるのも嬉しいところ。

ここまでの10本では、質感的に両極端な「デス・プルーフ」「イングロリアス・バスターズ」あたりが特に好きでした。あ、もちろん「ワンハリ」は既に殿堂入りです。公言通りであればあと1本しか観れないんですよね、寂しいな。

タランティーノを観よう」シリーズ

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ごちそうさまでした。