353log

主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

累-かさね-(2018)

土屋太鳳と芳根京子のW主演による、同名コミック(松浦だるま)原作の実写映画。まったくネタバレ見たくないという方はご注意ください。

あらすじ

天才的な演技力を持つが容姿にコンプレックスを持ちふさぎ込んでいる累芳根京子と、容姿は非常に優れているが芽が出ない舞台役者ニナ(土屋太鳳)。羽生田という謎の男浅野忠信によって引き合わされたふたりは、累の持つ「口紅」の不思議な力を利用したとある契りを結ぶ。累がその口紅を塗ってニナにキスをすると、一定時間だけふたりの容姿は入れ替わるのであった。

雑感(長いぜ)

土屋太鳳も芳根京子も大好きなわたし、非常にこれ楽しみにしておりまして。最近邦画づいてるなーと思いながら公開日に劇場鑑賞してまいりました。先週の「SUNNY」とは対照的にドロッとしたお話であることが容易に想像つきます(笑)

というわけで感想。はい、とてもよいものでした。なんというかですね、語弊はありますが「上質な映画」というわけじゃないです。どちらかといえばB級ホラー的なほうに近いです。ブッ飛んだ設定、ひたすらに胡散臭い浅野忠信檀れいが霊、他もろもろ、それこそわたし「『カメラを止めるな!』の第一幕がずっと続くやつ…?」とか思っちゃったほどです。

とはいえ。ザ・特殊メイク!な、ぐぃ〜んと口の切り裂けた芳根京子のキービジュアルをあれだけ前面に押し出されてB級じゃないものを期待する人もそういないでしょう。そしてなにより、この映画を公開日に観に来るような人は「土屋太鳳×芳根京子」という字面によからぬことを期待している人が大半でしょう! え、違うの? そうでしょ????(本日、異論は認めません)

なのでつまりこういうことです。期待していたものは供給された! とてもよいものでした!

というのを大前提としつつ。突っ込みどころが多すぎて手放しに絶賛できるような映画ではないかなという感想も、もちろんあります(笑) のっけからそもそも、あんな客入りの小劇場で細々とやってる程度で女優気取ってるニナなんなの???とか、あんな超常現象が起きといて話まとまるの早すぎない???とか、浅野忠信あまりにも胡散臭すぎない???とか、冒頭10分くらいで既に「は?」の山積みです。人によってはここで完全アウトかも。

累の容姿にしても、ゆーても芳根ちゃんですからね。口が割れてても愛せるし! 醜くはないし! っていうところは全編通した違和感としてあるっちゃあります。かといってこれをほんとに顔面崩壊みたいなビジュアルにしちゃっても感情移入できないのでしょうし、こういう系は難しいデスネー。「デッドプール」でウェイドの醜さをほどほどにしておいた話を思い出しました。

公式が「日本版『ブラック・スワン』とも言うべき」とか謳っちゃってるのもちょっとどうかなって感じですね。言われてみればまあ確かにとは思うものの。それはこっちで言うから黙ってて!っていう(笑) 公式さんが言うのはもうひとつの謳い文句「ダークシンデレラストーリー」くらいで十分!

などなどありますが。それらは忘れ去るとして。期待していたものは供給された! とてもよいものでした!(再)

まーとにかく、土屋太鳳と芳根京子がひたすらキスしてる映画でしたよ。キスの効力はきっちり12時間で切れるシンデレラ仕様なもんで、朝9時にキスして行ってきますして、夜9時までには帰ってきて顔戻してワイン飲むんですよ。上っ面の会話しながら。たまりませんね。あるとき12時間じゃ足りなくなって「12時間延長お願いします」って言うとことか、感謝の念に駆られましたよ。からのハイヒールで芳根ちゃんを踏みつける土屋太鳳とか、需要と供給のパス回しや〜!!!的な。感謝。ああ感謝。

性癖さらけ出しに偏りすぎておりますが、言わずもがな演技が素晴らしいからこそです。この映画、キスするたびに入れ替わる設定ですから、中身は芳根京子で外見は土屋太鳳、中身は土屋太鳳で外見は芳根京子、そして身も心も本人、っていう4パターンの人物像がめまぐるしく出てくるんですけど、その演じ分けがすごい。わかるんですよ、ちゃんと。土屋太鳳のナリしてるけどこいつ芳根京子のほうだわ、って。それぞれがそれぞれに見えるんです。土屋太鳳が芳根京子にしか見えないとき、とかもあるんです。

背格好が似たふたりを選んでキャスティングしたとはいえ、同じ塩顔系女子とはいえ、顔のタイプはだいぶ違いますからね。なかなかそんなうまく入れ替われないのではと思ってしまうところなんですけども。びっくりするくらい、「芳根ちゃんかと思ったら土屋太鳳だった」みたいな現象が頻繁に起こるんですよ。これはなかなかすごいなあと思います。

物語上では【累=芳根京子がすごい:ニナ=土屋太鳳はすごくない】の構図になっておりますが、それが繰り返し提示されればされるほど、現実世界においては「土屋太鳳が超すごい」という結論に至ってしまうのが本作の少々皮肉なところで、どちらも等しく好きだけど強いて言うなら芳根京子推しのわたしとしては少々複雑なところ。いやー、土屋太鳳すごいですよ。

「絶対的な演技力の違い」を観客に見せつけないといけないお話なので難しそうだな〜と序盤では心配していたのですが、最初のオーディションのシーンで度肝を抜かれまして。こりゃ即決だよっていう説得力。「天才的な演技力」の表現としてあまりにも完璧。終盤の「サロメ」も圧巻です。あの「サロメ」観に行きたいもの。予定よりも長尺の編集にしたということで、それも納得。そういえばわたしが土屋太鳳に惹かれたのっていつぞやの紅白かなんかでダンスを観たときだったなと思い出しました。ダンスで画面を持たせられる、すごい女優だと思います。

公式サイトで「サロメ」のダンスシーンが観れるようになってますが、なるべく劇場の大スクリーンで観てほしい画なので貼りません。土屋太鳳に射抜かれること必至です。ぜひ観に行ってください。ちと苦言に戻りますけど、よくこういう話で上演中の客席内に関係者が出入りするシーンありますよね。今回なら浅野忠信がクライマックスで出入りしていて。あのね、他のお客様へのご迷惑になりますのでやめろ!!!(現実と映画の区別がつけられないマン)

売れっ子菅野祐悟さんの劇伴もよかったです。四つ打ちのXファイルみたいなやつとか、妙にワクワクさせられました。珍しくサントラ欲しいと思ってしまった。原作も1巻だけ無料で読めたので読んでみましたが、なるほどそこから始まるのねーという感じで続きが気になりました。結構変えられているのかも。累のビジュアルについては、やはり漫画特有の抽象的な描き方で成り立つようなものだよなとも思ったり。

だいぶ長く書いてしまいました。土屋太鳳と芳根京子が好きでなんかそういうものを期待しちゃう系の人には絶対的におすすめします。ぜひ劇場でどうぞ!

(2018年199本目 劇場鑑賞)