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主に映画の感想文を書いています

グリース(1978)

ジョン・トラボルタオリビア・ニュートン・ジョン主演のミュージカル映画。「午前十時の映画祭」にて鑑賞。「グリース」とはポマード的な、整髪料のことみたいです。リーゼントを堪能できる一本でござい。

あらすじ

舞台は1950年代のアメリカンハイスクール。ひと夏の恋で終わったはずのダニージョン・トラボルタとサンディオリビア・ニュートン・ジョンは、新学期の高校で運命的に再会する。サンディが偶然転校してきたのだ。再会を喜ぶふたりだったが、ダニーは不良グループのリーダーである手前、気持ちに反して「あの夏」とは別人のような対応をしてしまう。そんな彼がサンディを無事取り戻すまでの物語。

雑感

本作のことは「ラ・ラ・ランド(2016)」のオマージュ元を徹底的に洗っていた頃に初めて意識したのですが、なんだかものすごくバタ臭そうだったので当時はパスしてました。同様の理由でパスしていた「ヘアスプレー(2007)」を先日鑑賞したら非常によかったため、今回「午前十時〜」のタイミングで鑑賞。はい、よかったです。「ヘアスプレー」の音楽が好きだったらかなりドンピシャで楽しめると思います!

ただ、バタ臭いのは間違いありません。オープニングのアニメやフォントからしてもうめっちゃバタ臭いし、なによりバター顔トラボルタが主演な時点でどうやっても臭くはなるのです。でもトラボルタって、最初こそ「うわーでたー」って思っちゃうけど観ていくうちにあの顔がたまらなく好きになってきてしまう不思議。デカい体に優しい顔、揺れ動く優しい心、人徳の塊みたいな俳優さんです。

観ながら「この安心感、最近誰かにも全く同じものを感じたんだけど誰だったかな」と思い巡らしていたんですが、東出昌大!だ! 最近感じたというのは「桐島、部活やめるってよ(2012)」でした。奇しくも高校生に見えない高校生役。でっかくて、優しげで、カーストの壁にとらわれないあの感じ。つまり東出昌大は日本のジョン・トラボルタ!…では、ないかな(笑)

そしてもうひとり、ヒロインのサンディを演じるオリビア・ニュートン・ジョン!が!可愛い! 男も女もゴミ溜めみたいな50年代ヤンキールックのなかに咲く一輪の花、ってやつですよ。相対的可憐さが半端ない! もちろん絶対的でもあるけど、本作でサンディがひときわ可憐なのはやはり相対的な演出効果が大きいです。オリビアの歌唱がまた素晴らしい。ミドルテンポのナンバーで聴ける伸びやかな歌声、骨抜きになりそうです。杏里の「オリビアを聴きながら」ってオリビア・ニュートン・ジョンのことだったんですね、知らなかった…!(ちなみに本作と同じ1978年リリース)

アメリカンハイスクールものって日本人からしたら完全に異文化だしそういうジャンルとして消化するしかないようなところありますが、本作では彼らが比較的「高校生っぽく=わかりやすい幼さで」描かれていて、ちょっと新鮮でした。ダニーがいろんなスポーツを試してるとことか、なんだ高校生じゃんって感じで微笑ましい。あのきっかけのシーンでサンディが親しくしてた男、ビジュアル的にはナヨッとして見えたけど「ジョック」って呼ばれてたから体育会系なんでしょうね、見えないな…。

異文化ながら「理由なき反抗(1955)」「アメリカン・グラフィティ(1973)」あたりの50〜60年代アメリカンハイスクールものにどことなく親近感を覚えるのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで育ったからなのかな。ファッション、不良とクルマと女、おもしろいもので刷り込まれた「懐かしさ」があります。

さて本作。楽しい!明るい!曲がいい!と手放しに絶賛したいところですけども、ひとつ致命的に気に入らないところがありまして、それって多分この映画のキモな部分で、そこが気に入らないってことはこの映画向いてないってことになるんですけど(笑) はい、サンディが生まれ変わったシーンです。お前!!そんなケバいのは許さんぞ!!という父親の心境であります。

いや〜〜〜だってそこまでの時間ずっとあんなに可憐だったじゃないですか〜〜〜ダニーもお前それがよかったんじゃないの〜〜〜なに「それだよ!!」みたいに目光らせちゃってんの〜〜〜納得いかねえええええ!!!!!!

といった感じでございました。納得いかねえ。ダニーと俺の趣味が合わねえ。なので、大変申し訳ありませんがラスト5分くらいで80点マイナスさせていただきます(しくしく)。

あ、そうそう、個人的にんまりポイントはなんといってもダンスパーティーでダニー&サンディのカップルが「フレッドとジンジャー」って呼ばれたところですね。トラボルタは確か「サタデー・ナイト・フィーバー(1977)」でもアステア呼ばわりされていたはず。このふたりの名前をいろんなところで見るにつけ、嬉しい気分になります。以上、グリースでした!

(2018年181本目 劇場鑑賞)