映画「ミセス・ノイズィ(2020)」感想|視点って、だいじ。
やらなきゃいけないこととやりたいことが火花を散らしている今日この頃、とりあえず今この瞬間なにも生み出していないのでせめて映画の感想を書いておくことにします。
今回鑑賞したのは『ミセス・ノイズィ』。劇場で見逃していたという以前に何だか聞き覚えの強いタイトルだなと思ったら、2019年の東京国際映画祭(わたしが唯一行った年)でかかっていたんでした。
東京国際映画祭のサイトからシンプルなあらすじを引用しますね。
その戦いは、1枚の布団から始まった──。小さな口論から火がついた隣人同士の対立が、ネットや報道を巻き込んで、やがてふたりの女の運命を狂わせていく。(【ミセス・ノイズィ】| 第32回東京国際映画祭)
引っ越してきたら隣が「騒音おばさん」だった、というお話。序盤はとにかく不快この上ないご近所トラブルものなんですが、そのうちベランダ越しのバトルが始まると一転コミカルに。なんだ、こりゃ痛快ですな。……と思いきや。
本作の感想をひとことで言えば「視点って、だいじ」。いやはや、視点って大事なんですよ。もうそれしか言えない。喜劇的エンタメ作品としても寓話的作品としても非常によくできた映画でした。おすすめです!
主人公を演じる篠原ゆき子さん、最近どこかで……と記憶(正確にはWikipedia)を辿ったら、『あのこは貴族(2021)』に出てらしたんですね。サバサバした、それでいて妙にクセのあるお姉さん。主要キャラではないながらも確実に好きなキャラだったので覚えています。
強烈な「騒音おばさん」を演じるのは大高洋子さん。こちらはまさしく「怪演」な役どころと、えっこれ本当に同じ人??と疑ってしまう後半とのギャップが本作の深みに直結。何度でも言うけど役者さんってすごい。
その他とりまく人々のなんともいや〜〜な感じ、SNS時代の予期せぬ大転落劇など、さまざまな要素がうまく絡まっていました。細かいところだと、本の装丁(主人公は小説家)が嘘っぽさのないディテールだったのもノイズにならなくて良かったなあとか。
おすすめしておきながら現時点(2021年5月)ではまだ配信も始まっておらず観づらいのですが、来月から都内のミニシアターでは順次公開が始まるようですので(公式サイトによるとシネマ・チュプキ・タバタ、キネカ大森、新文芸坐の3館)お近くの方はぜひ!
6/3(木)から上映となるシネマ・チュプキでは、日本語字幕&音声ガイド(任意)付きでご覧いただけます。日本語字幕のチェックを担当しました。
(2021年76本目) 公式サイトの著名人コメント一発目に「『カメ止め』を凌駕」とあり、ああ確かにリプレイの妙は連想させるものがあるかもなと思ったりしましたが、インタビューを読んでいたら天野千尋監督はENBUゼミナールの出身なんですね(カメ止めはENBUゼミナールのプロジェクトなのでなんとなく繋がったというだけ)。
こちらは監督によるノベライズです。