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主に映画の感想文を書いています

「スーパーマン(1978)」雑感

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先日『ザ・ボーイズ』の記事を書いた後にふと気付いた、盲点中の盲点。わたし『スーパーマン』観たことない…。ということで早急に観ました! スーパーマンも観てない野郎がザ・ボーイズ語っててすみません!!

スパイダーマン同様、新旧いっぱいある印象のスーパーマン。[スーパーマン どれ]とかベタな調査をした結果、1978年のクリストファー・リーヴ版をわたしのファースト・スーパーマンとしました。

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

普通に面白かったです
150分という長尺に思わずひるんでしまいましたが、いざ観てみると案外とても掴みがよく、まだ15分くらいかな…?と感じた導入部分で既に40分経っていたりと時間の流れが早くて最後まで飽きずに観れました。

理由のひとつには、結構いろんな時代や場面で構成されている、というのもあるかもしれません。なんせ冒頭は超SF的な異星だし、地球へやってきてからの幼少期〜青年期はアメリカの農業地帯みたいなところ。大人になってニューヨーク生活を始めると今度は「クラーク・ケント」の時間と「スーパーマン」の時間があり、マンハッタンを飛び回っていたかと思えば最終決戦?は西海岸。ヒーロー活動以外にもロマンチックな時間があって、さらには途中途中にヴィランの行動がインサートされたり…と非常にバリエーション豊かな絵面です。

もうひとつの理由は、ジョン・ウィリアムズの音楽! スーパーマンのテーマ曲がJWなのは知っていましたが、劇伴もめちゃくちゃいい仕事してました。スターウォーズや、スピルバーグの名作を観ているような気持ちにさせられること多々。仮にJWの音楽でなくてもそこそこ面白い作品だとは思いますが、JWであることで名作の風格がついているのは確かです。音楽の力ってすごい。

地味にいいヴィラン
スーパーマンの宿敵らしいレックス・ルーサーがなかなか良かったです。キャラクターもですが、グランドセントラル駅*1の地下にあるらしい秘密基地が最高にイカしてますね。劇中で最も内装の凝ってるセットなんじゃないでしょうか。なにせグランドセントラルと据え置きのデザインですしね!

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ランドセントラルをプールにするという贅沢

「『戦争と平和』を読んで単なる冒険譚だと思う人もいれば、チューインガムの包装紙を読んで宇宙の秘密を解き明かす人もいる。」っていう、『レディ・プレイヤー1(2018)』に出てきた台詞が聴けたのも得した気分です。

全体的に細かいところまで目の行き届いた脚本だと思うんですが(バスローブ濡れてんな〜と思ったら突っ込んでくれたり)、テッシュマッカーのお母さんを一番に助ける話はスルーしてた気がしてならない。ていうかあのミサイル地震騒動へのマン対応、ボランティアとはいえ総じて雑(笑)

そんなわけで、ホームランダーのルーツ(?)も知れたし*2、思いのほかいいものを観たなという満足感のある一本でした。シネスコサイズなのも古臭さを軽減していて観やすかったです。

(2020年49本目/PrimeVideo)

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

*1:ランドセントラル駅については、わたしのNY旅レポなどもあわせてどうぞ。70年代のニューヨークが見れるのもこの映画の嬉しいポイント!

*2:でもそういえば本作ではまだ目からビームを出していない気がする。

海外ドラマ「ザ・ボーイズ」シーズン1雑感

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Amazon PrimeVideoにて配信中の海外ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン1を観ました。これは…おもしろい…! タイトルからはピンと来ないと思うのですが、アメコミ的ヒーローのいる世界を痛烈に風刺した作品です。

舞台は現代のニューヨーク。超能力を持った「スーパーヒーロー」たちは企業とマネジメント契約を結び、あらゆる事件・事故を華麗に解決していきます。しかし活躍の裏では、いわば「ウルトラマンに踏まれた人*1」のような巻き込み事故の被害者もいました。そんな被害者たちが『ザ・ボーイズ』として復讐を企てる、というお話。

既視感のあるキャラがいい

最初の掴みはまずキャラクターたち。セブンと呼ばれるアベンジャーズ的なヒーローチームがいて、ヴォートという企業がそのマネジメントをおこなっています。エンパイアと並んでマンハッタンど真ん中にそびえ立つヴォート社のビルは、言わずもがなのほにゃららタワー。

セブンの面々はリーダー的存在のホームランダーを筆頭に、わざわざ書くのも野暮なくらいの「既視感」に溢れた顔ぶれ。アベンジャーズMCU)のみならず、X-MEN、DCユニバースなどアメコミ各方面からごにょごにょしたような彼ら彼女らが堂々と「ヒーロー」している世界はそれだけでシュール、シニカル、ニヤニヤしちゃいます。

そんなわけでこの物語の大前提として存在するのがそういった「アメコミヒーローもの」であるため、ある程度そのへんを観ている方におすすめしたい作品です。楽しめること間違いなしです。

案外キワモノでもない

序盤こそシュールさに笑うほかないお話ですが、慣れてくるとじつはこれ案外キワモノでもないなと気付きました。結構しっかりドラマがあるんです。

まずは「ザ・ボーイズ」。MCUでいうソコヴィア協定の一般市民側視点である彼らには、ヒーローに復讐を企てる、当然それなりの理由があります。ただ、恨み一直線のメンバーもいれば、ヒーローと恋におちてしまうメンバーもいる。「ヒーロー=能力者」は全てが悪だと考える人もいれば、そうは思わない人もいる。MCUはあまり「能力」について深く踏み込んでいるイメージがないので、このへんはX-MEN的要素かもしれません。(ちなみに個人的なツボは、ザ・ボーイズのリーダー格ブッチャーがヒュー・ジャックマン的お顔なこと)

対する能力者、「セブン」の面々。最初は名声に溺れる強欲な存在として表面的な描かれ方をしていますが、次第に背景が見えてきて、そう単純な話ではなさそうだなという見方になります。絶対的存在感のサイコパス「ホームランダー」はその複雑すぎる表情に深みを感じずにはいられませんし、まだ正義を信じる無垢な新入り女性ヒーロー「スターライト」が今後この腐敗した組織においてどんな立ち位置を選ぶのかも気になるところ。

一体どうなってしまうのか…!!というところでシーズン1は終了です。早く続きが見たい…! 一応2020年配信予定らしいですが、どうなるか。ブラック・ノワールは活躍するのか(一番気になるところ)。

下手すりゃ「本家」アメコミヒーローものよりもおもしろいのでは…と思ってしまうほど秀逸な作品なのでぜひご覧ください! R-18でグロいけど楽しいです!

発端

発端

  • メディア: Prime Video

*1:…がいるのかどうかは知らないし、ウルトラマンは善良系ヒーローだと思うので例えとして適切ではないが。