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主に映画の感想文を書いています

ドリームガールズ(2006)

f:id:threefivethree:20190110191147j:plain:left:w180先日行ってきた「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2019(感想記事)」のおかげで、これまで聴いてこなかったような音楽をよく聴いている今日この頃です。そのなかのひとつが、ミュージカル&映画「ドリームガールズ」の楽曲「I Am Changing」。力強くソウルフルなこの曲にすっかり惚れてしまいました。

そんなわけで早速映画版を鑑賞。1981年初演の同名ブロードウェイ・ミュージカルを原作としており、楽曲も基本的にそのまま引き継いでいるようなのですが、この楽曲たちがとにかく粒揃い。出てくる曲出てくる曲ひたすらにハイクオリティで、お気に入りの「I Am Changing」も霞むほどです。作曲のヘンリー・クリーガーさん、すごい方です。

ところでこれどういうお話かというと、レコードレーベル「モータウン」発祥の地デトロイトを舞台に、実在の黒人女性ボーカルグループ「ザ・スプリームス」のメンバーとそれを取り巻く環境をモデルにして描かれたフィクション、です。なので、そのあたりに詳しい人が観るとよくできていておもしろいのだとか。

…という言い方をしたのはつまりそういうことで、わたしの場合はそのへんに全く疎いため、正直わりと眠くなってしまったんですよね。曲の良さでぐいぐい最後まで引っ張っていくタイプのミュージカルかな?と思っていたら話がだんだんヘヴィになってきて、あれ??そんな悲劇にまでいく??みたいな感想を抱いちゃったりして。

でもこちらの記事を読んでいたら、眠さのヒントがありました。

バックグラウンドを理解していないと『ドリームガールズ』のストーリーを大きく誤解する可能性がある

超映画批評『ドリームガールズ』60点(100点満点中)

詳しくは記事を読んでいただくとして、わたしの場合まさにこちらで書かれていることに当てはまっておりました。背景を理解していないことによるストーリーの誤解と、それにより感情移入が難しくなったことからの眠気。

まず、よく聞く「モータウン」ってそもそも何なのか。モータウンレーベル発祥の地デトロイトアメリカにおいてどういう地域なのか。モータウンが広めたブラックミュージックは白人音楽にどのような影響を与えていったのか。そういった背景を知ることでようやく登場人物に感情移入ができるようになる気がします。

ただ、同じく1960年代のアメリカと黒人たちのことを描いた「ヘアスプレー(2007)」や「ドリーム(2016)」などの作品が背景を知らずともしっかり分かるように作ってくれていることを考えると、もうひと踏み込みしてくれたらより良かったんじゃないかなと個人的には思いました。

ヘアスプレー (字幕版)

ヘアスプレー (字幕版)

あれほどエモーショナルな楽曲群に自分の感情が追いつけないのは勿体なかったです。映画を楽しむには知識が要るなあというのを改めて感じさせられました。

総合的にはノリきれてない感想になってしまいましたが、それは別としてとにかく有り得ないくらい曲がいいのでそれだけで50%は確実に楽しめます。可能な限りの大音量でノリノリに観ることをお勧めします。で、残り50%をどれだけ楽しめるかはモータウンと時代背景への理解度にかかっている、そんな映画です。

ちなみに

ディーヴァに疎いのでエンドロールまで気付かなかったんですけど、ビヨンセが出てます(今更な特筆事項)。「バーレスク(2010)」のクリスティーナ・アギレラもエンドロールで知ったような…。

ビヨンセが演じている役どころのモデルはダイアナ・ロスなのだそうで、そそそ、そういえばこのあいだThanksgivingパレードでダイアナ・ロス見てきたよ?!と遅ればせながら興奮するわたしなのでした(NY旅行記参照)。あれ本当に本人なのかなあと疑ってましたが普通に本人だった模様。

f:id:threefivethree:20181123003754j:plain ※わたしが撮ったダイアナ・ロスの生写真です。

(2019年2本目)

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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NY旅行記【帰国日① チェックアウトと未練の朝食】

NY旅行記32本目。この記事の続きです。 ついに帰国日。後ろ髪引かれすぎて坊主になる勢いの未練たらたら353氏をどうぞ。

ニューヨーク 曇り時々晴れ 8℃

2018年11月25日 日曜日。ついにこの日が来てしまった。今日は帰国日。日本の悪夢で目が覚め、二度寝して寝坊した。

結局昨晩はほとんど帰り支度をしなかった。早起きして荷造りを済ませ、朝のセントラルパークを散歩してからチェックアウト。なんていう計画は白紙とし、急いで準備をする。

テレビを初めてつけてみる。いかにもアメリカっぽい番組をやっている。華氏の天気は暑そうだ。

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まだムードはThanksgivingの週末。料理のコーナーが始まったが、きっと推測するにこれは「ターキーの残り物アレンジレシピ」だろう。日本でいう鏡餅レシピ的な。おもしろい。

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ロケッツのCMを見て、行きたさが募る。いつかまた冬に来ることがあったら今度こそ行こう。

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当然、普通に事件や事故などの日常的ニュースもある。

昨日街歩きをしているとき、カフェの窓際で気だるそうにレポートか何かをやっつけている女の子がいた。ここにはここの日常があるし、ここに生まれ育ち、早く抜け出して違うところへ行きたいと思っているような子もいるはず。ずっと観光客の距離感でここに住めたらいいけれど、それには億万長者にでもならないと。

チェックアウトとおじさん

パッキングを済ませ、お世話になった部屋とお別れ。考えてみれば日本でも4泊なんてしたことなかった。いきなりニューヨークでの4泊、よく体調崩さなかったもんだ。というかむしろずっとコンディション最高、お肌の調子も良かった。ますます帰る理由が見当たらない。

最後なのでルームメイクのチップは多めに置いて(まあ同じ人とは限らないが)部屋を出た。隣の部屋はもう掃除中だった。なんか勝手な偏見だけど、そういうところもっと緩いのかと思ってた。普通に日本と変わらないんだな。

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フロントへ降りると、日本語おじさんあらわる。初日以外いなくて安心していたけれどわたしのチェックイン&アウトには同席してくださるらしい。スーツケースの緑色をやたら褒めてくれる。「アーミー好きなのかい?」いや、別にそういうわけじゃないけど笑顔だけ振りまいておく。カメラも褒めてくれる。「いい写真撮れたかい?」それはもちろんYES!!だ。

※ちなみに日本語おじさん、ジャパニーズ一発ギャグ以外は英語を喋ります。

チェックアウトを済ませ、なんだかんだお世話になったおじさんには二度目のチップ握手。最後にホテルの外観を撮っていると、「撮るかい? っていうか一緒に撮らないかい?」とおじさん。せっかくだから撮ってもらおう。でも誰に?

するとおじさん、ちょうど出てきたお姉さんに声をかけた。普通にお客さんである。が、お姉さんも快く、縦に横にとアングルを変えて何枚も撮ってくれた。急いでいたかもしれないのにありがとうお姉さん。

これで終わりだったら良かったけど、おじさんやっぱり最後までちょっとしつこかった。「写真送って!」とスマホを出していろいろ言ってくるのだが、iPhoneじゃないとサクッと送る方法が思いつかない。「ごめんちょっと無理!」とヘコヘコして今度こそお別れした。面倒だったけど優しくしてくれて嬉しかったよ、ありがとうおじさん。ありがとうPark West Hotel 旅メモ: 総じて良いホテルだったと思います!

最初で最後の朝ごはん

ここまで地下鉄の運行が乱れることはなかったのだが、この日は迂回ルートになるらしくホテル最寄りの駅が使えなかったので、昨日の朝と同じく西のほうの駅まで歩いていくことに。スーツケースを転がしてはいるけれど、気持ちとしては「ここから旅立つニューヨーカー」だ。決して日本に帰る観光客ではないのだ。思い込みは大事。

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街並みを噛み締めながら歩いているとスタバが見えてきた。チェックアウト即休憩の予定はなかったけれど、名残惜しいしここで朝食をとることにした。じつは今回の旅、まともな朝食を一切食べていないのだ。ティファニーですら昼食だ。最後ぐらいゆっくり食べよう。

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ここにきて初めてベーグルを食べた。クリームチーズを塗っただけのベーグルがこんなにうまいとは。店員さんは相変わらずクリスマスソングを熱唱しているし、最高の朝である。

f:id:threefivethree:20181125111527j:plain:right:w200今頃トーキョーは明日の深夜1時。なんて損な話だろう。のどかなスタバで朝食を食べてまた楽しい一日を始められたらいいけれど、いいかげん帰る気持ちに切り替えないとね。

さよならマンハッタン

あたりをぐるっと見渡してから地下鉄の駅に潜る。エレピの優しい音色が構内に響いている。ホームに降りると、弾き語りをしているおじさんがいた。すごくいい声。「今日誕生日だから祝ってほしい」という通り掛かりの人にはすぐさまハッピーバースデーを歌ってあげていた。最後に素敵なパフォーマンスを見れてよかった。

最後の地下鉄もまた名残惜しい。もう当分はメトロカードのスワイプができないのかと思うと泣けてくる。車内では小学生くらいの男の子がご婦人に席を譲っていた。さすがレディファーストの国。

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ペン駅に到着。数日前にマンハッタンへ初めましてをしたあの場所で、今度はさよならをする。左にメイシーズ、右奥にエンパイア。夢か現実かわからない風景ナンバーワンはもしかしたらここかもしれない。さよならマンハッタン。さよならニューヨーク。最高に楽しかった。

次回、JFK空港へ向かいます。