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主に映画の感想文を書いています

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)

ネタバレを大いに含みます。ご注意ください。

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2008年に「アイアンマン」から始まったMCU=マーベル・シネマティック・ユニヴァースの22作目にして、2012年から始まった「アベンジャーズ」シリーズの最終章といえる作品です。

さて、ついにエンドゲームを迎えましたね。当然公開初日に観まして、何を書いたものかとしばらく悩んでいたら令和になってしまった…。

とにもかくにもMCUの波にちゃんと乗れていてよかった!ということに尽きると思いました。こういう大きなエンタメの波って、乗り損ねることも多々あるわけでして。そんな中、ちゃんと乗ってた自分に感謝。

映画館はいつものごとく外人さんでいっぱい。MCU恒例の光景です。今回もほぼ全方位外人さんに囲まれての鑑賞となりました。激太りしたソーの初登場シーンでは「OMG!!!」の叫びがサラウンドで。それを追うようにスクリーンからも「OMG!!!」のリアクションが(笑) また、ハンマー持てちゃったキャップのシーンでは「What?!?!」ってそこらじゅうから聞こえましたね、とても楽しかった。

世界中で大人気!みたいなのってあんまり肌で感じられる機会がないですけど、MCUの場合はこうやって、地元のさほど大きくない映画館でも世界規模の盛り上がりを感じられるのが嬉しいです。

MCUというコンテンツのすごさ[再]

今作、MCU作品では異例の3時間という長尺で、かつストーリーも重い内容になることが予想されていました。よって膀胱の面でも精神面でも心配な気持ちがあったのですが、あっという間でしたね。5秒でした。それと意外なほど前半軽かったですね。これが3時間尺の成せる余裕か。

これまでの積み重ねで、MCUには舞台がいっぱいあります。宇宙にだって行けるし、時代だって飛び越えられる。今回はお話の特性上そういった多種多様な舞台をザッピングするように見ていくことになるので、全然飽きることはないし、むしろまだまだ見ていたいなと思える、そんな3時間でした。

一年前の「インフィニティ・ウォー」で、同時期公開の「レディ・プレイヤー1」と対比させてこんな感想をわたし書いております。

レディプレが多様なコンテンツをギュギュギュッと詰め込むことで快楽をもたらす作品だったのに対し、本作はMCUという自前コンテンツだけでそれと同レベルの快楽を実現している

アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー(2018) - 353log

今回もやはりこの「すごさ」に満ちてます。本作のハイライトとなるタイムトラベル要素は、「レディプレ」でいうところの「シャイニング入り」にあたる快楽。あっちが名作映画に入り込む興奮だったとすれば、本作はMCU過去作品の中に入り込むメタ的な興奮でございましょう。同レベルの興奮を自給自足できるMCUの強さよ。

ちなみに個人的には、ソーの全てを「未来は優しくなかったのね」と一瞬で察してくれるお母ちゃんが泣けてたまりませんでした。あとすごいくだらないんですけどアスガルドタイヤを切りつけながら……っていうのが降りてきたので一瞬歌わせてください。

二大巨頭の退場

「あれがさ!!!」と叫びたいポイントは山ほどあるのですが、今回最も大きな出来事はやはりトニー・スタークの死、それからキャプテン・アメリカの引退、の二点。

痩せこけたトニー(泣ける)がキャプテン“神かよ”マーベルにあっさり救出される冒頭のシーンを見て、ゆってもトニー・スターク、死にはしないだろうと信じていた人が多数なはず。と思ったらサノスがこれまたあっさり死んで、はい早速読めなくなってきましたよと。そんで本当にどうやら帰らぬ人となってしまいましたよと。喪失感はでかいです。

戦いには勝ったが主人公を失うという、あの如何ともし難い感情。これ先日ゲームオブスローンズの感想で例に出したばかりの作品をまた使ってしまうんですけども、でもやっぱ「七人の侍」でしょう! まさか菊千代が、三船敏郎が死ぬとは思ってなかったあの感情ですよ。とても近いものがあると思います。つまり名作ってことでいいですかね、いいですね。

七人の侍

七人の侍

やっぱり七人の侍はすごい作品なのだなあと感じさせられることが多い今日この頃。

久しぶりに「アイアンマン(2008)」を観直してみたら、対になるようなところがいくつもありました。「家族は?」と訊かれ「いない」と答えるトニー。「父が死んだ時、別れを言えなかった」と悔やむトニー。本作では妻と愛娘に3,000ウン回も愛され、父ハワードとも言葉を交わすことが叶いました。今なら、かつて投げかけられた「トニー・スタークがこんなところで死んでいいのか?」という問いにイエスと言えたのかもしれません。

アイアンマン(字幕版)

アイアンマン(字幕版)

エンドゲーム観たあとに最初のアイアンマン観直すとかなり涙腺に来ます。

キャップの引退は、スティーブ・ロジャースがそれと引き換えに新たな人生を得たというのが興味深いところです。キャプテンアメリカのようなスーパーヒーローであろうとも、自分の人生を生きたっていいんだ。他人のために自分を犠牲にしなくたっていいんだ。ちょっと今の世相が反映されている感もあるメッセージ性が、非常に刺さりました。

物語的にも、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)」で延期したままだったダンスの約束を、ちゃんとスローな曲でね、果たして終わるってのが、最高に素敵です。ドラマ「エージェント・カーター」を観ていた人にも嬉しいポイントが多々ありましたね*1ジャーヴィスとか。

エージェントカーター、おすすめです。

正直、17年間ウルヴァリンをやっていたヒュー・ジャックマンが頭をよぎり、いやいやもうちょっといけるんじゃない?!と思わなくもありませんが、何はともあれロバート・ダウニー・Jrクリス・エヴァンスもお疲れ様でございました。スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウも残念だけれど、単独エピソード(前日譚?)でまた会えるのを楽しみにしてます。

そうそう、「ポストクレジットがない」っていうの、めちゃくちゃ寂しくなかったですか。帰ってこないんですよ。つらくないですか。でも受け止めなきゃ…。

てなわけで、奇しくも平成の終わりにアベンジャーズの終わりを見届けることができて、繰り返しになりますけどこの波に乗ることができて、本当によかったです。平成最後の映画館はこれになりました。最高の締めでした。

少しずつMCUの再履修も進めてるので、願わくば伏線把握万全の状態でもう一回観たいなとも思っていますが、叶うかな…!

(2019年47本目/劇場鑑賞)

*1:そういえば今回コールソンが全く出てなくて意外でしたが、前作「キャプテン・マーベル」でコールソン=エージェント・オブ・シールドを出したから今回はエージェントカーターをフィーチャーしたのかなとか思いました。

メリーに首ったけ(1998)

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なぜ、なぜ今これを観たのか。ゲームオブスローンズが佳境に差し掛かり、アベンジャーズが終わろうとしているこのタイミングでなぜこれを観たのか。

理由としてはまあ、TSUTAYA DISCASから一ヶ月くらい借りっぱだったからいいかげん観て返さなきゃ、っていうことでした。タイミングをね、失っていたんですよ。

ではそもそもなぜこれがDISCASのリストに入っていたかということですが、その理由はふたつ。

  • レディ・プレイヤー1」の元ネタのひとつだったから
  • 「グリーンブック」と同じ監督の作品だったから

もともとリストには入っていて、グリーンブック鑑賞を機に優先順位が上がった、っていうことでした。

さてこの映画、タイトルはめちゃくちゃ有名でありながら例によって全くの未見。普通にラブコメを想像しつつ、鑑賞前にちらっとWikipediaを見たら「お下劣コメディ」というワードが目に入って「え、そうなの?!」と驚き。

正直あんまり小学生的下ネタは好きじゃないのでいっそ観なくてもいいかなあ…くらいの気持ちになりかけたものの、観てよかったです。納得の名作でした。

つってもですね、お下劣コメディなのは確かにめちゃくちゃお下劣コメディですよ。しょっぱなからもう、これが2時間続くんだとしたらどうしようと青ざめましたよ。まずトイレ広すぎでしょ、団欒に適しすぎでしょ。

でもそれ以上に、ちゃんとしっかり丁寧に作られている本気のコメディ、監督の言葉を借りるなら「本当のハートウォーミングコメディ」でした。一見アウトでしかないようなものが沢山出てきますが、きっと本当の意味ではどれもアウトじゃないんです。だから最後までなぜか気持ちよく観れるんです。

…とはいえー、「レディプレ」の元ネタであり本作のキービジュアルにもなっているところの「あの髪型」につきましては、その衝撃の理由を知って脳内で大爆笑とドン引きがせめぎ合いましたね。元ネタ解説にあった「理由を知ったら爆笑必至」ってそりゃ、そうとしか書けないわ!

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完全アウト

キャメロン・ディアス、可愛いですね。彼女の顔が大写しになるたび、これは口が大きいのか顔が小さいのかどっちなのか…とこれまた脳内会議が開かれていました。

男のほうはこれ誰だっけ見覚えある顔してんだよなと思い続けて、ベン・スティラーだと判ったのはエンドロール。二度見しました。というのもわたしベン・スティラーがもれなく苦手だったのです。好きな作品ひとつもなかったんです。覆っちゃった。本作のベン・スティラーはとても愛せます。

「グリーンブック」の時に知りましたが、この監督は作品に障害者を多く登場させるという特徴があるそう。確かに、健常じゃない人たちが想像以上に出てきます。と言っても、さほどメッセージ性は含ませずに。特別な気遣いをせずに。監督によるとこれは、障害を持つ友人からリクエストを受けたことが発端になっているのだとか。

タブー視されそうな物事へのあけすけな触れ方は、最近観ている海外ドラマ「glee」を思わせるようなところがあります。アメリカのコメディ作品に大きな影響を与えた一本ということですから、gleeもルーツを辿ってみれば本作にぶつかるのでしょうね。

ところでちょうど今朝、「ZIP!」の映画特集でちょびっとこの作品、出てきました。お茶の間に「あの髪型」が流れちゃいました。朝から。

「テッド」くらいのお下劣ハートウォーミングコメディが許容できる方には間違いなくおすすめです。ちなみに本作の主人公もテッドです。

(2019年46本目)

こういうのは町山さんの解説が最高にしょーもなく、かつ有益で良いですね。