韓国ドラマ『梨泰院クラス』でトランスジェンダーのシェフ役としてブレイクしたイ・ジュヨンさんの主演新作映画『野球少女』を劇場鑑賞しました。
野球には(ていうかスポーツ全般)興味がないのですが、『梨泰院』ファンとして彼女の活躍は押さえておきたいし、「ムービーウォッチメン(fromアトロク)」の課題映画にも選ばれたとなっては観ない理由がございません(いまのところ今年は全作コンプリート!)。
さて、あらすじ。イ・ジュヨンさん演じる主人公スインは、高校で野球部に入っています。夢はプロ野球選手になること。しかしスインには性別という大きな壁がありました。女子がプロ野球を目指すなんて無理だ、諦めたほうがいい。周囲はどうにか彼女を妥協させようとしますが、止められれば止められるほどスインの意志は固くなるのでした。
これ正直そんなに観たいと思えるような筋書きではないなと思いながら書いてるんですけど。まあなんか、すごいベタな物語をどうしても想像しますよね。実際この映画でも序盤は「150キロ出せないとプロにはなれん」と言われてボールを血まみれにしながら猛練習、みたいなシーンがあります。じゃあ本当にそういうスポ根ストーリーかというと、ちょっと違うのです。
短所を伸ばそうと四苦八苦するスインに対して、コーチは「短所はカバーできない。長所を伸ばすんだ」と言います。彼女の短所は(体格的に限界のある)球速、長所は(球速のわりに速い)回転でした。球速至上主義だった彼女は不本意ながらアドバイスに従い、これまで注目していなかった自分なりの武器を磨いてみることにします。
これって野球やスポーツに限った話では全然なくて、自分が腕を磨きたい全てのジャンルに当てはまることなんですよね。おもしろい文章を書けるようになりたいとか楽器が上手くなりたいとか、わたしもいろいろありますけど。思い描いているベクトルとは違うとしても自分の「長所」をちゃんと見つけてあげて、正しく育てられるかどうか。そんなことをすごく考えさせられました。
というのは「(広義の)少女」視点の話ですが、「少女」を見守る立場の人々にとってもこの映画は得るものが大きいと思います。野球興味ないから楽しめないかも。フェミニズム作品っぽいから肩身狭いかも。そんな心配は無用です。性別年齢関係なく広い層に響くであろう、とてもいい映画でした。
キャストの話
ところで本作、キャストが嬉しくてですね。主人公スインを親身にサポートするコーチ役が、な、なんとソ・ドンジェ!!!(と興奮しているのはわたしだけかもしれませんが最近どハマりしたドラマ『秘密の森』でソ・ドンジェという雑魚イケメン検事を演じていたイ・ジュニョクさんのことを指しています)
いやあこれは運命なのかな。ここんとこ『秘密の森』キャスト関連で興奮してばっかなんですけど。導かれたとしか思えないタイミングですわ本当に。
……とのぼせていたら終盤にはなんと!!ユ・ジェミョンが!!出てきたじゃないですか!!(と興奮した人はそこそこいると思いますがユ・ジェミョンさんは『梨泰院クラス』で宿敵チャン会長を演じた方でもっと言うと『秘密の森』でイ・ジュニョクさんの上司イ・チャンジュンを演じた素晴らしきおじさまです)
サプライズかと思ったら予告編にも出てたんでおおっぴらに今書いてますけど、でもキャスティング的にはサプライズ要素ですよね〜〜。役柄的にもチャン会長的な「ですよね〜〜」とイ・チャンジュン的な「!!」がミックスされていてようございました。
そんなわけで知識が増えてきて、もうすっかり韓国映画ドラマ界が楽しすぎるわたしです。この沼いいですよ、おすすめですよ、いかがですか。
(2021年44本目/劇場鑑賞)
ちなみにこれで今年の劇場鑑賞20本目でした。がんばれ負けるな映画館。