映画「トップガン マーヴェリック(2022)」感想|“この世界では死なせない”っていう話に弱い
『トップガン(1986)』の続編『トップガン マーヴェリック』、観てきました。ちょっとあんまり映画館へ行けていない時期で、新作鑑賞のハードルも上がっていたのですけど、アトロクで宇多丸さんに先んじて日比さんや宇内さんが盛り上がっていた*1のもあり行ってまいりました。
やたら評判が良かったので斜に構えて見始めたのですが、終わってみればいやはや、満足度、高っ。手に汗握って、感動して、めちゃくちゃストレートに面白い……。今年の「ザ・映画」は『ウエスト・サイド・ストーリー(2021)』が不動の一位かと思いきや、ここに来て頭上を超音速でかすめていく『トップガン マーヴェリック』おそるべしです。
前作から30余年。相変わらず無茶しまくりで上から睨まれている異端児パイロットのマーヴェリックは、教官として「トップガン」に送られます。ギラついた精鋭ルーキーたちにインポッシブルなミッションを叩き込むことになるマーヴェリックですが、しかしその中にはかつて事故で亡くした相棒グースの息子ルースターが。「あんたのせいで親父は死んだ」--わだかまりを抱えながら果たしてミッションは達成できるのでしょうか。
あれ?間違えてリバイバル上映来ちゃったかなと焦るほどそのまんまなオープニングから始まり、前作をなぞるような構成で進んでいく今回の物語。ナンパしたチャンネーが教官だった(アイタタ……)前作、奢らせたおじさんが教官だった(アイタタ……)今作、いいですね早速この感じ。
それにしても何がそんなに満足度を高めてくれたのだろうと思い返してみると、「ミッションの共有と反復」「全肯定のご都合展開」、そして「この世界では死なせない」の3点あたりかなと思いました。
ミッションの共有と反復
わたしアクションシーンをあまり楽しめない人間なんです。なんか速いし何起きてるかわかんないし、アクションシーンに入ると「暇だな」って思っちゃう。今回のドッグファイトも普通に見せられたらさほど印象に残らないと思うんですけど、ケイパーものよろしくミッションの詳細共有と反復練習が徹底されているので「本番」の我が事感が半端じゃない。さあ胸に象が乗っかるぞ〜!さあ集中砲火浴びるぞ〜! 同じコースの繰り返しでこんなに面白いのってすごい。
全肯定のご都合展開
間一髪のところをちゅどーんと一発助けてもらうご都合展開、よくあります。今回もやたらスケールのでかい「ちゅどーん」が複数回登場します。でもなんだろう、この「よっしゃ!!」としか思えない全肯定の感じ。「待ってました!」ですよ。だってまさかトムが死ぬわけないじゃないですかってのもあるけど、マーヴェリック本人の力じゃなくて教え子たちによるものってのがまた素晴らしい。ドッグファイトだけど人間ドラマ。ハングマンの笑顔、最高。
この世界では死なせない
過去と対峙するマーヴェリック、今作のテーマのひとつですかね。何が何でも全員生還。この世界では誰も死なせない。観ながら『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)』を連想してました。「あのとき」から実際に十数年〜数十年の時を経て、スクリーンの枠外でも後悔は彼を蝕んでいて。こういう「映画を映画で救済する」タイプの続編展開、わたし弱いんだなあと。
あとは、全体通して好きなのが「マーヴェリックなめられてる感」と、それに伴うカタルシス。大人気なさすぎる初回授業(キル!キル!キル!)、規範違反の命懸けプレゼン、たまらんですね。宇多丸さんがちょろっと言ってましたけど*2、確かにトム・クルーズ、イーストウッドのフェーズに入ってる感じありました。こういう老兵映画が増えてきそうだなあ。それはそれで楽しみだなあ。
まだまだ感想出てきそうですが。なんとなーく行かずじまい、みたいなことにならなくて本当によかったです。これはぜひ映画館で、どうぞ。
(2022年94本目/劇場鑑賞)
今わたしめちゃくちゃギター弾きたいです。