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映画「ジョゼと虎と魚たち(2020)」感想|口の悪い清原果耶さんは声優でも絶品

長編アニメーション映画ジョゼと虎と魚たちシネマ・チュプキにて日本語字幕・音声ガイド付きで観てきました。『ジョゼ虎』のタイトルは知っているも、観るのは関連作含め今回が初めて。なんなら「仲間たち」だと思ってたくらいです(今でも打ち間違えそうになる)。


アニメーション映画「ジョゼと虎と魚たち」ポスター
アニメーション映画「ジョゼと虎と魚たち」ポスター


内容も全然知らなくて、ヒロインが車椅子なことすらポスターを見てようやく知った感じ。どうやらわたしアニメはストライクゾーンがあまり広くないので大きな期待もせずに観ましたが、好きでした! よかった!

まず作画が非常に好みなのと(ここ大事)、なによりヒロイン・ジョゼのキャラですね。鑑賞直後のわたし曰く「花本はぐみを想像していたらガツンと一発食らわされる」どギツいキャラクター、即落ちでした。しかもこれ声の出演が清原果耶さんなんですよ。『まともじゃないのは君も一緒(2020)』しかり、口の悪い清原果耶さんは絶品…!!

あ、ちなみに「花本はぐみ」とは漫画『ハチミツとクローバー』のふんわり森ガール美大生ヒロイン「はぐ」こと花本はぐみさんのことです。あなたのラブコメ好きはどこから? わたしはハチクロから。


原作や実写映画版はノータッチなのでどれくらい独自の解釈でアニメ化されているか知らないのですが、本作はかなり振り切った演出になっているのも好みでした。なんたって冒頭の、タイムリープでもするんじゃないかって勢いのアウトオブコントロール坂道急降下であるとか(しかも終盤で繰り返されるという。あれはさすがに管理人再起不能じゃろ)、海でのキラキラキャッキャウフフであるとか、マジかよと思いつつも、あれくらい極端にやってくれるとむしろ潔い。好感。

坂道タイムリープといえば(時かけといえば)(細田守監督といえば)、かの名作『サマーウォーズ(2009)』ともかなり似た要素を持つ作品かなと思いましたね。突然舞い込んだ謎のバイト。強いおばあちゃん、そして──。監督のタムラコータローさんは細田組で助監督をされていた経歴もあるとか。おそらく原作から上記の要素はあるようなので偶然ではあるにしろ、アニメ作品として見るとオマージュみを感じてしまうのはおもしろいところです。


内容的には、車椅子生活のヒロイン・ジョゼと接していくなかで「管理人」が街中の「やさしくなさ」に気付いていくちょっとしたシーンがありますけど(電車に乗ろうとする一連のシーン)、あれはわたしもかつて同じ経験をしました。もう20年近く前でしょうかね、当時ネット上で(それこそはてなダイアリーで)親しくなった方と「オフ会」でお会いして、車椅子の方だったんですよね。

その方とはかなり親しくなったのですが(先月もリモート飲み会をしました)、一緒に行動するなかで管理人と同じく街中の「バリアフリー」について身をもって体験することが非常に多くて。飲みに行くにしろ、構造的に入れないお店のなんと多いことよ。わたしにとって初めての、「バリアフリー」というものを意識する経験でした。

それから十数年が経過して今ようやく今度は音声や視覚のバリアフリーを意識するようになったところですが、こういうことって本当に自分自身が当事者の方と接してみないと全く実感を伴わないどころか全く見えてこないことだと思っています。そんなことを考えながら観ていました。

東京・田端のバリアフリー映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」ではこのアニメーション映画版『ジョゼ虎』を、日本語字幕と音声ガイド付きで3/15まで上映しています。難しい魚の名前も一目瞭然な日本語字幕、作品の世界観を尊重しながら今回のために制作された音声ガイド、どちらも作品の魅力を増幅してくれるものです。ぜひこの機会にご鑑賞ください。

(2022年29本目/劇場鑑賞)

韓国リメイク版もあるみたいで、めちゃめちゃ合いそうなんですよね。観てみようかな〜。その前にオリジナルの実写版か。