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映画「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021)」感想|処理しきれない快感

タイトル、長っ。ということでわたしは「フレンチ指パッチン」と脳内で呼んでいた映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を観てきました。


映画「フレンチ・ディスパッチ」ポスター
映画「フレンチ・ディスパッチ」ポスター


公開日のレイトショーに行ったのですが、ウェス・アンダーソン監督の最新作ゆえか客層がちょっと独特だったような。友人同士で観て上映終了後も熱く語り合いながら帰っていくみたいな、そんな光景を何組も見かけました。開口一番「ていうかシアーシャ・ローナンの使い方あれで合ってた?!」って問うてた子もいたな。わたしはあれで合ってると思う。

なお初日に観ておきながら、わたしウェス・アンダーソン作品は『グランド・ブダペスト・ホテル(2014)』しか観てないし、その『グランド・ブダペスト・ホテル』も寝ちゃった記憶しかなくて、少なくともそんな特別好きというわけじゃないのは確か。なんとなーくで初日に観た今作も、後半は結構うつらうつらとしてました。でも楽しかったなあ。

今回ひとつ分かったのは、ウェス・アンダーソン作品は映画館で観るのが楽しいんだなってこと。映画館で観るの初めてだったんですけど、スクリーンのあちらこちらで起きているいろんなことを追いたくても追いきれないあの感じ、これはテレビの小さい画面では体験できないですね。眠くなるのもそれはそれで気持ちよかったりするし。処理しきれない快感っていうのかな、こういうタイプの「映画体験」もあるんだなと。

処理落ち快感が顕著なのは、アンニュイ=シュール=ブラゼとかいう街の名前からくすりとしてしまうオムニバスの1本目。これ、観ててすごくヒッチコックの『裏窓(1954)』を連想しました。初めて『裏窓』を観たとき「うわあこれ隅々まで見尽くしたい……!!」ってすごくムズムズした気持ちになったのですが、大スクリーンで『裏窓』を観た当時の人たちの感覚を本作『フレンチ・ディスパッチ』で追体験できた気がしています(ちなみにその後ご縁があって『裏窓』は隅々まで見尽くす必要が発生したのですけども……それはまた改めて)

オムニバスの中で特に好きだったのは、やっぱりレア・セドゥ様ですね。衝撃的な袋とじグラビアから始まって、レア・セドゥ好きにはたまらん、しかも普通に面白い、ありゃいいエピソードでした。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)』のレア・セドゥが不完全燃焼だった身としては2021ベスト・オブ・レア・セドゥ確実にこちらです。特に電気椅子のシーンでの「指パキィッ」がシビれにシビれましたね。なんだ本当にフレンチ指パッチンだったんじゃん、と思った次第です。

(2022年19本目/劇場鑑賞)

個人的にヒットしたワードは、筋肉はずかしシャラメんとこで頻発する「ことごとく異議あり!」です。