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映画「ドント・ルック・アップ(2021)」感想|巨大彗星が地球に衝突するだけの話(どうせ死ぬので)

2022年の1本目は、昨年末からNetflixで配信されている話題作『ドント・ルック・アップ』。監督アダム・マッケイ、出演レオナルド・ディカプリオジェニファー・ローレンスメリル・ストリープケイト・ブランシェットティモシー・シャラメアリアナ・グランデ……ってどんだけオールスター映画なんですか。クリス・エヴァンスも出てるらしいです、気付けなかったけど。


映画「ドント・ルック・アップ」ポスター
映画「ドント・ルック・アップ」ポスター/「実話に基づくかもしれない物語」うまい。


物語をざっくり言うと、地球直撃確定コースの巨大彗星が発見されて、科学者たちは必死で訴えかけるのだけど政府もメディアも全然相手にしてくんなくて、あ、だめだ、人類滅亡しまーす。というお話。テイスト的にはかなり風刺性の高いブラックコメディで、パッと連想したのは「もしもアメコミヒーローが実在したら」をシニカルに描いたドラマシリーズ『ザ・ボーイズ』とかですね。それくらいアク強めの作品です。

笑えるけど笑えない、実際の世の中で見たことある〜〜〜、な部分については多く記事が出てると思うのでここでは触れないでおくとして(あたまのわるさが露呈するので!)、個人的にはそれ以前にもっと表面的な、いわゆる終末系SFとして非常に好みでした。そもそも観ようと思ったきっかけは、宇多丸さんだったかが「ハイテンションな『メランコリア』」みたいな説明をしていたからなんですよね(※本作に言及している放送が多すぎて出典見つけられず)

ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』、こちらは「135分かけて巨大惑星が地球に衝突するだけの話」でございます。わたしこれすごい好きで。なんですかね、サイコパスみたいな発言しますけど、抗えない死に瀕した人間の心境を想像するのが映画体験として堪らなく好きなんですよね。こういうバッドエンドって映画だからこそエンタメ化できるわけじゃないですか。ハッピーエンドはなるべく現実で味わいたいんで、バッドエンドにこそ映画の魅力があると思うんです、と、やや口から出まかせを言いました。

メランコリア』の場合は巨大な惑星が視界いっぱいに広がるそれはそれは美しい終末の景色でしたが、本作の場合はあの「衝撃波待ち」がなんともいいですね。手を繋いでお祈りして、必死に「たわいもない話」をひねり出して、ガタガタガタガタ……ゴトゴトゴトゴト……っていう。あのときシャラメいてよかったなあ、妙に心強いし勝ち組な感じするんだよなあ。どちらにせよ死ぬんだけど。この「どちらにせよ死ぬんだけど」が最強の刹那で堪らんのですよ。せめて痛くないといいなあ。

あとそうそう、初めて彗星を目視できたときの、科学者としての喜びのほうが上回ってそうなリアクションも良くて。計算通り会えたぞ!っていう。あのへんから心なしか映画としても高揚感が上がっていくんですよね。ていうか実際問題、気圧とかでメンタルにもかなり影響してくるのでしょうね。どうなるのかなあ。頭痛〜る振り切るのかなあ。

(2022年1本目/Netflix ポストクレジットまでエグみ満点で、おいしくいただきました。マーク・ライランスのキャラ、静かに狂ってて最高。