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映画「マトリックス(1999/IMAX上映)」感想|2021年に初めてマトリックスを観た人の感想

マトリックスを観たことがありませんでした。公開当時は中学生、かな。弾を避ける「アレ」をクラスの誰もがやっていたような時代ですが、映画館に行く習慣はおろか映画を観る習慣もほとんどなかったので本物は見たことがありませんでした。

数年後、自分で趣味趣向を選んでいく年頃になったわたしは『攻殻機動隊(主にSTAND ALONE COMPLEX)』にハマります。するとまた厄介なことに〈『マトリックス』は『攻殻』のパクりだ!〉みたいな2ch全盛期あるあるの歪んだ知識が入ってきてなぜか敵視することになってしまい、そんなわだかまりで今に至るまで結局わたしは『マトリックス』を観ないまま、というか観るタイミングを失ったまま来てしまったわけです。

まあ未見のビッグタイトルはときに話のタネになったりもするので別にいっかなと思ってるほうではありますが(ちなみに『ロッキー』『ターミネーター』あたりはまだ完全に未見)、ここにきて『マトリックス』シリーズに18年ぶりだかの新作が出ると言うじゃありませんか。これはいいかげん和解の時なのではないか。そこに現れた一週間限定のIMAX上映。これだ!!

という経緯で、わたしはついに、22年越しに「マトリックスを観た側の人間」になりましたよ。しかも当時の誰も観たことのないIMAX上映で。やってやりましたよ。


映画「マトリックス」ポスター
映画「マトリックス」ポスター


IMAXで観る初めての『マトリックス』は、まず冒頭の縦コードを全身に浴びる、それだけでもう満足感がすごい。それからその後すぐ、左上に四角いポインタが点滅しますよね。あれが、IMAXって天井までスクリーンあるでしょう、だから点滅するたび左上の天井が白く照らされるんですよね。やけにアガっちゃって。今U-NEXTで観直しながら書いてますけど、受ける印象全く違うんです。こうじゃない。わたしの『マトリックス』オープニングの記憶は、白く照らされる左上の天井。テレビや配信では味わえない映画体験をしてやったぜという気持ちです。

そこからまた、キュルキュル変わり続ける数字たちにどんどん寄っていって、歪んだゼロに飛び込んでいくでしょう。あそこなどもIMAX最前列かぶりつきですとね、スターツアーズのライトスピード感覚なんですよ。ああ観れてよかったと、このへんでもうIMAX料金はペイしてました。残りはまあ、モーフィアスの肌がぶつぶつしてんなあとか、そんな感じでした。IMAXでガン見されるとは思ってないもんね、仕方ないよね。

お話のほうもわたし全然知らなかったんですが、なるほどそういう、生きてる世界疑い系でしたか。これは後世で影響を受けていないものを探すほうが難しい。今ならVRでかなり近いことできますし物語への入り込み度も公開当時の比じゃなさそう、と思って久々にOculusQuest2をかぶってみたら久しぶりすぎてリモコンの電池切れてました。


それと、これはもっと早く囁いてもらいたかったところですけど全然『攻殻』じゃなかった。もっとなんか超あからさまにフォロワーなのだと思い込んでました。そもそも主人公が男な時点でわたし的には攻殻じゃないのかもしれない。あらぬ疑いを長年かけ続けてごめんなさい。

誰もが真似した例の「アレ」はわりと終盤のお楽しみなんですね。しかもちょっと避けれてないんですね。知らなかった。革新的なのであろう映像表現を全編通してこれでもかと使いまくってくれるのは楽しいですが、今見るとデモンストレーション映像みたいで少し可笑しみのほうが勝ちます。エポックメイキングとは得てして。

ラストではまた左上の天井が白く照らされて、レイジ共々アガらせていただきました。これがあの頃みんな夢中だった映画か。せっかくなので続編2作も観て、新作『マトリックス レザレクションズ』で初めてリアルタイムに『マトリックス』を観てやろうと思っております。

(2021年211本目/劇場鑑賞)


ちなみに『マトリックス』へ架けられていた橋はもう一つあって、それは今年のはじめ、ウォシャウスキー姉妹によるドラマシリーズ『センス8』にハマったことでした。

こんな素晴らしい作品を作った人たちが『マトリックス』も作ったというのか、それは観なければ。そんな機運がありました。結局観るまで一年かかっちゃいましたが。

追記:レザレクションズ観ました。