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映画「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所(2021)」感想|コロナ禍における保健所の働きに密着したドキュメンタリー

シネマ・チュプキ・タバタにて、ドキュメンタリー映画『終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所』を観ました。タイトルの通りコロナ禍における保健所の働きにスポットを当てた記録映像で、2020年初夏から2021年3月までの約10ヶ月間、カメラは中野区保健所に密着します。


映画「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所」ポスター
映画「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所」ポスター


未知の感染症に医療が逼迫していく状況下で「保健所」がどんな役割を果たしていたか、知っている人はどれほどいるでしょうか。わたしは恥ずかしながら全く何も知りませんでした。それどころか「保健所」というワードにネガティブなイメージを持っていたほどです。しかし180度、そのイメージは変わることとなります。

本作から受ける印象は「お役所仕事」的なものとは対極。発症者ひとりひとりに対して30分〜1時間と時間をかけ、事例ではなく人間として思いやりを持って対応していく姿が心に残り、敬服しかありませんでした。第2波第3波と事態が厳しくなっていっても、たとえ延命処置の意思確認など明らかに管轄外の業務をしなければいけない状況になったとしても……それは死守されているように感じました。

あれだけ次から次へと感染拡大が広まっていくなかで、ここまでひとつひとつマンパワーかつオーダーメイドの対応が昼夜行われていただなんて、こうして見せてもらわない限りは知れなかったし想像すら難しかったかもしれません。つくづくドキュメンタリーとは足りない想像力を補ってくれるものである、ともあらためて思わされました。

公開館は現在非常に少ないですが、これはもっともっと多くの方に届くべき作品です。自主上映の受付もあるようですのでご興味持たれましたらぜひ公式サイトにてご一読ください。

予告編も公式サイトからご覧いただけます。

(2021年204本目/劇場鑑賞)