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大林宣彦監督作品「可愛い悪魔(1982)」感想|これで人生狂わされたかった! トラウマ必至の「火サス」用作品

大林宣彦監督による『火曜サスペンス劇場』用作品『可愛い悪魔』を観ました。大林監督の「火サス」は以前もう一本『麗猫伝説(1983)』を観ましたが、本作はそれに先立つ第一作目とのこと。


さて、これはですね、かなり「いい」です。限りなく自主映画時代の、『いつか見たドラキュラ(1966)』的な雰囲気で作られた一本で、こんなのをテレビでやっていたのかと思うとニヤけてしまいますね。幼少期に偶然見た本作がトラウマになっている人、性癖がかたちづくられちゃった人、人生狂わされちゃった人、いずれもいそうな気がします。


「可愛い悪魔」パッケージ
「可愛い悪魔」パッケージ


この「火サス」シリーズには大林監督にしては珍しく直球の名作オマージュが盛り込まれており、『麗猫伝説』はビリー・ワイルダーの『サンセット大通り(1950)』が、こちらは『悪い種子(1956)』がベースになっています。ずばり「少女が怖い」っていうお話です。


『悪い種子』のマッドヒロインたるローダは実際めちゃめちゃ怖いのですが、本作で川村ティナさんが演じる少女も全然負けていません。お見事な怪演です。ふと、オードリー・ヘプバーンシャーリー・マクレーンW主演の『噂の二人(1961)』という衝撃的作品のことも思い出しました。これに出てくる少女メアリーがまたとんでもなくマッドで、近かったような。憎たらしい少女が出てくる映画って結構多いんですよね。近年でも『哀愁しんでれら(2021)』とかはまさにそのジャンルですよね。

本作は全体的にアクション(?)が本気なのも見どころで、冒頭の「転落死する花嫁」からしてアクロバティックだし、若き日の秋吉久美子さん(一応主演。少女に翻弄される様がとても魅力的!)はスタントなしで足首から宙吊りになるし、リアル火だるまの焼死体は出てくるし(『全自作を語る』に書かれた秘話がすごい)と大盤振る舞い。大林ファンで未見の方おられたらぜひ観ていただきたい作品です。最近DVDが出たばかりなので観やすいです。

(2021年106本目/TSUTAYA DISCAS