ドキュメンタリー専門配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」にて『軍事国家ミャンマーの内幕』を観ました。
ライムスター宇多丸さんが「アトロク」で何回かおすすめしていて、今きっとその経由で視聴数も増えている作品じゃないでしょうか(Spotifyはこちら。6:00くらいから本作の話をしています)。
ここ最近ミャンマーが大変なことになっているのはニュース等でなんとなく知っているけど詳しくは全然知らないし、アウンサンスーチーさんについても名前はよく存じていながらやはり全然知らないなというレベルだったので、初歩的な知識から直近2019年時点の情勢まで見れる本作はとてもいい教材でした。
様々な「そうだったんだ」がありましたが、特に驚いたのはアウンサンスーチーさんの最終的な役職「国家顧問」。彼女はミャンマーの憲法(軍部が狙い撃ちで制定した条項)によって大統領への道を閉ざされており、じゃあどうするのかっていうと、なんと「大統領より上位の役職を作ってしまう」というウルトラC、それが国家顧問。なんじゃそりゃ、すごい。
最終的な役職とは書いたものの、2021年現在はくだんの軍事クーデターにより国家顧問のポストごと消されて実質剥奪状態にあるそうです。少し遡ると2017年には、法の抜け穴を整備して彼女のために「国家顧問」を作り出した顧問弁護士が白昼堂々と殺害される事件も。フィクションのようなことが次々に起きています。
また、一見小難しそうに思える「ロヒンギャ問題」なども彼女の生い立ちから順を追って説明してもらうと案外すんなり理解できる話で、勝手に平和のシンボルみたいな印象を持っていたけど単純にそういうわけでもないんだなと。若い頃のアウンサンスーチーさんのほうがビジュアルと中身のイメージが一致しているかも。
そんなわけでミャンマーのことをいくぶんか身近に感じられるようになったのはいいんですが、最新の状況が状況なだけに心配も増してしまって、一体どうなるんでしょう。注目していきたいと思います……。
(2021年52本目/アジアンドキュメンタリーズ)
月額990円のサブスクリプションのほか、単品購入でも視聴できます。
ミャンマーとアウンサンスーチーさんのことが書かれている、本家「そうだったのか」はこちら。鑑賞後に読み返したのですが、一度映像として見ると文章でもすんなり入ってきますね。
- 作者:池上 彰
- 発売日: 2008/06/26
- メディア: 文庫