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主に映画の感想文を書いています

2021年2月に読んだ本の備忘録

今月は少なめ。でも半藤一利さんの本をようやく読めたのはよかった!

スクリーンが待っている(西川美和 著)

スクリーンが待っている

スクリーンが待っている

映画監督・西川美和さんによるエッセイ集。最新作『すばらしき世界』にまつわる話が主で、構想・撮影・公開とその時々のエピソードが小気味よく語られていく。興味深いのは、撮影から公開にかけて時代がコロナ禍に突入するところである。映画人たちの戸惑いが生々しく記録されており、リアルタイムのコロナ禍でそれを読むのは何とも言えない感覚だった。今後こういった内容の手記は増えていくのだろうと思う。

昭和史 1926-1945(半藤一利 著)

半藤一利さんの追悼特番*1を観た流れで買った一冊。「昭和史のシの字も知らない私たち世代のために手ほどき的な授業をしていただけたら」という編集者からの熱望を受けて始まった昭和史入門講義を文字に起こしたもので、その分厚さ(約550ページ)とは裏腹に、とても読みやすい軽妙な語り口でさくさく進められた。

この巻では敗戦までが語られている。昭和天皇を筆頭に細かい人物描写がなされているため人間ドラマが見えやすく、例えば二・二六事件のことなどは初めておもしろいと思えた。なお太平洋戦争のお馴染みの局面についてはだいぶ省略されている(かろうじてそこだけはちゃんと勉強していてセーフ)。

今は「戦後編」のほうを少しずつ読み進めているところ。とにかく読みやすいのでおすすめです。