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映画「哀しき獣(2010)」感想|牛骨バトルが夢に出そう

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チェイサー(2008)』『哭声/コクソン(2016)』のナ・ホンジン監督作品『哀しき獣』を観ました。ナ・ホンジン監督はこの3本しか長編を撮っていないので、一応コンプリートです。

主演はハ・ジョンウとキム・ユンソク。前作『チェイサー』の主演ふたりですが、ともに全く違う役どころを演じています。さらに『哭声』のクァク・ドウォンも出ていて、おじさん渋滞気味。このへんのおじさんたち、ちょっとまだ時々見分けがつきません。

本作の背景には「延辺(えんぺん)朝鮮族自治州」という地域の存在があります。北朝鮮とロシアに接した中国の自治州で、朝鮮族とは韓国系中国人のこと。合法または非合法に韓国へ出稼ぎに行く人も多いのだそう。Wikipediaには「漢字とハングルを併記している独特の景観で知られる」とあり、4つに分けられた本作のチャプターがこのスタイルで表記されるのは多分そういう意味なんですね。

そんな地域に暮らす主人公(ハ・ジョンウ)は、出稼ぎに行った妻から音沙汰がないことにヤキモキしている様子。細々と稼いだ金もつい麻雀でスっちゃうし借金も一向に返せないしでお先真っ暗な気持ちになっていると、裏社会のお偉いさん(キム・ユンソク)から「ちょっくら韓国で一人殺してきてもらえたらお金あげるよ」と借金返済サポートのありがたい提案が。

どうせお先真っ暗なので密航船で韓国に渡った主人公。ご指名のターゲットを殺すべく張り込みつつ(ファミマがハ・ジョンウを誘惑!)、空いた時間でついでに奥さん探しも、なんてことをしているうちにターゲットは他の誰かに殺されちゃうし自分は運悪く容疑者にされちゃうし、え〜〜なにこれどうすんの〜〜って感じのお話です。

まさかの寝落ち

『チェイサー』と『哭声』、どちらも傑作でした。であるからしてこの『哀しき獣』、面白くないはずがないと確信してたんですが、意外なことに本作だけはなんか合わなかったようで、寝落ちと覚醒をひたすら繰り返しながらの鑑賞に。

前半は、オフィスビルの階段でセンサーライト相手にあれこれ作戦を練るハ・ジョンウとかわくわくさせられるものがあったのですけど、『ブルース・ブラザース(1980)』ばりのド派手な逃走劇が始まってからは「おもしれー」とは思いつつ、まぶたは重く、頭はカクンカクン。

アクション映画があんまり好きじゃないっていうのも理由としてはひとつあるだろうし、無口な主人公が好きじゃないってのも本作のハ・ジョンウには当てはまる。ついでに坊主頭も好きじゃないのでビンゴ! でもそれ以前にストーリーや人間関係が分かりづらかったような気がします。キムさんだらけだしさ(韓国映画の深刻な問題)。

ざっと調べてみると似たような感想を持っている人が多く見受けられたので、周りの評価に影響されやすいわたしは「じゃ、そういうことで!」と都合よく納得しておきました。おしまい。

P.S. 薄れゆく記憶のなかで見た「キム・ユンソクの牛骨バトル」は印象的でした。そうだ、タイトルにしよう。

(2021年25本目/PrimeVideo)

哀しき獣(字幕版)

哀しき獣(字幕版)

  • 発売日: 2014/08/01
  • メディア: Prime Video
たまには合わない作品もあるさ(ややしょんぼりしながら)。