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映画「シュリ(1999)」雑感|南北分断ラブロマンスの先駆け的作品

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韓国映画といえばこれ!と言われることも多い作品『シュリ』を、ここにきてようやく観ました。有名なわりに配信が全然ないんですよね。年末年始用にTSUTAYA DISCASでまとめ借りした中の一枚です。

なんとなく、あくまでなんとなーく、本作を『アメリ』みたいなオシャレ映画かなとか長いこと思っていたわたし。「リ」だけやん。実際は全然違いまして、翌年公開の『JSA』同様に朝鮮半島の南北分断を背景とした許されざる関係のお話。つまり『愛の不時着』へと繋がっていく南北分断メロドラマのはしりと言える作品なのでした。

JSA』はわりと静かな地味めのテイストで作られていたと思いますが(ちなみに超ざっくり『JSA』のあらすじを書いておくと、軍事境界線で警備にあたる南北の軍人たちが仲良くなっちゃう話)、本作は対照的にかなりド派手なエンタメ超大作の作りになっています。わかりやすく言うと「クライマックスがスタジアム」なやつ。コナン君とかでありそうな規模の展開です。

ストーリーのほうも振り幅が広く、長期潜伏している北朝鮮側の工作員とそれを追い続ける韓国側の情報部、もはや身近な人間も信用できない疑心暗鬼のサスペンス。そして悲劇の分断ラブロマンス。さらには思いのほか過激なバイオレンスアクション(一箇所すっげえびっくりした。『ザ・ボーイズ』かよ)等々、これはまあヒットも納得といった要素が詰まっています。

キャスト的に言うと主演枠のハン・ソッキュさんとキム・ユンジンさんに関してはわたし全く存じ上げなかったのですが、そのかわり(?)準主役枠がソン・ガンホチェ・ミンシクですよ! 豪華! ふたりともまだ線が細く、特にガンホ先輩の若々しさは必見です。

しかしいくらエンタメ超大作とはいえ、この当時からすでに南北分断を背景とした作品で国外にまでヒットを飛ばしているというのは今も昔もさすが韓国映画と言わざるを得ません。また、南北融和ムードが高まっていたはずの金大中政権下にこんなダイレクトな描写の作品を公開しヒットさせたというのも、なんかすごいなと思います。

(2020年216本目/TSUTAYA DISCAS

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  • メディア: DVD