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久石譲「草の想い〈大林宣彦監督作品『ふたり』主題歌〉」をアレンジ・演奏しました

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大林宣彦監督の映画『ふたり(1991)は初見こそつい最近ですがなかなか思い入れの強い作品です。という話は2本も記事を書いてしまいましたのでそちらをお読みください大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」本編と、“ウソからマコト”極まるメイキングの雑感 - 353log大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」2回目の雑感|脚色のことや、ありったけの感想など - 353log

さて、コロナ以降たまに上げている演奏動画、今回はそんな『ふたり』猛プッシュ期間の締めくくりとして、主題歌(正確にはテーマソングでしょうか)である久石譲さん作曲の『草の想い』をアレンジ・演奏してみました。


あらためて補足しておくと、この曲は劇中さまざまなかたちで繰り返し登場します。ヒロインである石田ひかりさん&中嶋朋子さんの歌唱や鼻歌として、劇伴として、そして極め付けはエンドロールです。

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

このバージョンはなんと、大林監督と久石譲さんによる「おじさんふたり」のデュエットとなっています。知らない人からしたらなんのこっちゃな歌声が突然流れることになるわけですが、作家が前に出てくるこの感じは大林ファンからしたらたまらないものがあります。ということで、このバージョンを僭越ながらカヴァーしてみました。大林監督といえば自作についてとにかく語る方です。わたしも真似して、自己満足に過ぎませんがこの「自作」について語ってみようと思います(笑)

オケについて

最初はスマホひとつで完結するようなプチ動画を撮ろうかなと思っていたのですが(動機:めっちゃいい曲だから弾きたい)、比較的オケ作りやすそうだしちゃんと作ろうかなと心変わりし、ポチポチと打ち込み作業開始。久石譲さん特有のチープなんだけどチープじゃない打ち込みサウンドがもとよりとても好きで、今回基本的にはアレンジそのまま、音色だけやや新しくなった感じ、な方向性で作りました。

打ち込みはいつも通り耳コピで少しずつ進めていきましたが、ところどころ自分なりの解釈を加えました。いちばんやりたかったのは転調するところのキラキラです。原曲を聴いていたときにあの音が脳内に鳴ってしまったので、それを具現化したかったというのがひとつのきっかけです。転調直後の8小節間に同じくキラキラなメロディを鳴らすのもやりたかったことでした。要はキラキラが好きなわけで、ちなみにこのルーツは森高千里さんの作編曲を多く手掛けられた斉藤英夫さんにあると自己分析しております。そんなキラキラと、要所要所に登場するポルタメントのかかったシンセリードが原曲からの主な変更点です。

キーは原曲通り、テンポはイントロ部のみ少し速くしています。イントロは当初なくてもいいかなと考えていたものの、聴き込むうちにこりゃ欠かせないなと予定変更。淡々と刻まれるベースラインが格好良いんですよね。打ち込み作業を進めるにつれ原曲のアレンジに惚れ込み、そのほかの部分も結局はほとんど原曲に忠実なかたちとなりました。転調以降の16分刻みとかも久石節なバッキングで最高です。

追記:オケのみのバージョンをアップしました。

ギターのメロディについて

歌モノをフルコーラスでインスト化する場合、展開に沿ってアレンジや音色に変化をつけないと単調に聞こえてしまいます。以前作った『春よ、来い』ではギターオーケストレーションなどでどんどん分厚くしていく手法をとりましたが、今回は単純に楽器を変えてみました。

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前半で使用しているのはYAMAHAのミニギター「ギタレレ」。わたしが小学5年生のときに買ってもらった、最初に手にしたギターですエピソードはこちらから。購入からもう四半世紀近く経つこの楽器を、今回おそらく初めてちゃんとマイクを立てて録音してあげました。音程・音色の悪い部分もありますが、何も知らずに聴けばきっと普通にガットギターの音ですね(リバーブがいい仕事してくれました)。このパートはオケも「静寂」をイメージしたので、全体的に雰囲気が出てよかったと思います。

後半ではいつもの赤テレことフェンジャパの赤いテレキャスターを使用。当初のイメージではもっとサスティンのあるいかにもなリードギターサウンドを想像していましたが、いざ乗せてみると控えめなほうがいいかなってことでドライブ低めの音作りにしました。ハモりも最低限に抑えています(最後の一節ではギタレレに再登場してもらいました)。今回じつはオケへの思い入れが非常に強く、あんまりギター重ねちゃうとせっかく作ったオケが聞こえないじゃん!となったのでした。

製作環境について

GarageBandで打ち込み&録音しました。GarageBandAppleが無料で提供しているDAWソフトですが、いやはやすっかりこれで事足りるなあと感動している今日この頃です。MIDIキーボードすら使わず、MacBookのキーボードによる簡易的なリアルタイムレコーディングでどうにかなっちゃってます(ほとんど全ての音を文字打ち用のキーボードで演奏しています笑)。とはいえ、そろそろMIDIキーボード買ってもいいかもしれない。

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以前のですが、だいたいこんな感じ。

ギタレレの録音は、家にあったマイクで適当に(置き場所とかわからないので、本当に適当……テキトーに。映像からフレームアウトしたあたりにあります)。テレキャスのほうはPOD X3 LIVEからライン入力です。

映像は録音時にミラーレス一眼で同時録画し、編集(iMovie)で合わせています。なにぶん部屋が狭いのでアングルの選択肢が少なく、もうちょっといい感じにできないかなと毎回模索中。

以上、「“わたし的解釈による『草の想い』”メイキング〜需要のない〜」でした。それはともかくとして、ある意味で最も自分らしい「追悼・大林宣彦」になったのではないかと思っています。この演奏動画が微力ながらオリジナルの『草の想い』そして映画『ふたり』を語り継いでいく助けになれば嬉しいです。

ふたり

ふたり

  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: Prime Video